英国 Musical Fidelity V90 DAC 小型D/Aコンバータのレビューでございます♪

今回は2014年に元々はメインシステムのAV機器用に購入した英国の小型D/AコンバーターMusical Fidelity V90 DACを紹介します。例によって箱庭ピュアオーディオ管理人が蒐集している手の平サイズの安価な小型DACの一つで、世界的に評判の高かったMusical Fidelity V-DACV-DACⅡの後継機種。

Musical Fidelity V90 DAC

Musical Fidelity V90 DACの先々代V-DAC/先代V-DACⅡの購入については以前から何度か検討していました。しかし入出力端子が本体の短辺両側にあり、システムに組み込んだ際に使い辛そうだったのと、本国ではブリスターパック入りでオーディオアクセサリーコーナーに吊し売りされていて、いかにも安っぽい玩具な雰囲気を醸し出していて今一歩購入する気になれませんでした。しかし3代目に当たる今回の新V90 Seriesからは、超小型サイズながらもリアパネル側に端子を集約した一般的形状のアルミケースに収められ、商品パッケージも普通に高級感のある白い化粧箱に変更されています。

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Musical Fidelity V90 DACの導入経緯

当時既に代理店のハインツ&カンパニーさんが開店休業状態で、新製品となるMusical Fidelity V90シリーズの国内正規輸入が無く、英国から個人輸入する形を取りました。先代モデルのMusical Fidelity V-DAC2、先々代V-DACについては国内販売されており、探すとそこそこレビューがありましたが、V90は先んじて個人輸入された方のブログレビューが1つあるのみ。「ういトマのブログ(Wayback Machine)」さんなのですが、いつの間にか消滅しており残念。。。※リンク先はWEBアーカイブです。

とは云え海外でコンパクトなV90シリーズはそこそこ売れているみたいで英文レビューについては豊富。現地価格は英£199/米$299でそれほど高くなかったのもあり、既存のMusical Fidelity製品から音質を推測しつつ未試聴でのお取り寄せです。実は自分用と知人用と2台一緒にお取り寄せしたのですけれども、当時はたしか£1が190円くらいでしたので、関税や送料も含めて今思うにかな~り割高な時期に買ってしまったなぁと。

V90 DACの製品概要とDAC回路構成について

V90 DAC D/Aコンバーター
V90 Amp プリメインアンプ
V90 HPA ヘッドホンアンプ
V90-BLU Bluetoothレシーバー
V90-LPS MM/MC PHONOアンプ

V90 DACのデジタル入力は16-24bit PCMでDSD非対応。DACチップは32bit Burr-Brown PCM1795。24bit-192kHzアップサンプリング固定。本体サイズは170×47×102mm/600g。回路的には先代V-DACⅡとは異なる新設計で、先代V-DACⅡや先々代のV-DACで多用されていたアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ等が廃止され、全て固体コンデンサに置き換わりました。DACチップも24bitのBurr-Brown PCM1796から32bitのBurr-Brown PCM1795に変更されています。但しあくまで24bit動作であり32bitへのアップサンプリングは為されていませんので、コストか供給の問題かも知れません。TI即ちTexas Instrumentsと呼ばずBurr-Brownと敢えて書くのは管理人のこだわりです。

Musical Fidelity V90 DAC inside

製造国は近年のミュージカルフィデリティ製品(Mシリーズ)と同じく台湾製。V90 DACの中身はこんな感じです。触ると判りますが組み立て製造品質そのものは非常に優秀。3年ほど前に英Musical FidelityがオーストリアPro-Jectに買収されていますが、その後発売された製品を見る限り、Musical Fidelityの製品開発と製造面で今のところ大きな変化は無さそうですが、今後は色々変わりそうな感じ。ちなみに現在ミュージカルフィデリティの正規代理店はロッキーインターナショナルさんに移管されています。

3系統のデジタル入出力端子 ※実質4系統も可能

Musical Fidelity V90 DAC 背面パネル

V90を導入した理由の一つが、なるべく複数のデジタル入力端子があるDACが欲しかったこと。これまで集めた手の平サイズの小型DACは、安価なこともあってデジタル入力が1~2系統(S/PDIF同軸or光)+USBばかりでしたが、V90に関してはS/PDIFが2系統(実質3系統 同軸or同軸/光)+USB入力も備えています。切り替えセレクタは同軸/(同軸+光)/USBの3系統。同軸+TOS光入力については自動切替になっており、電源ON若しくはセレクタ切り替え時に信号が流れている側を自動認識。同軸と光の双方同時に信号が入っている場合は同軸が自動優先される設定です。TOS(光)側の音を出したい時に競合して認識しない場合、V90 DACの電源を1回落とすか、同軸側に繋がれているデジタル機器の電源を落とせば認識します。この方法でUSBに加えてS/PDIFデジタル入力3系統での運用が実質的に可能です。

また旧型のV-Series V-DAC/V-DAC2については、入出力端子のレイアウトが短辺右から入って左から出ていくポータブル的形状になっています。これはヘッドホンアンプのV-CANⅡでは全く問題無いものの、ホームオーディオの据え置きDACとしては使い勝手があまり良くありませんでした。それが新しいV90-Seriesではトグル式の電源スイッチと入力セレクタが前面、入出力端子は全て背面になり、据え置き型として扱いやすいコンポーネントのレイアウトにリニューアルされています。

Musical Fidelity V90 DAC 音質レビュー

さて肝心の音質です。管理人がMusical FidelityのA級プリメインアンプA1 juniorを使っていたのはまだ20代前半の頃。箱庭ピュアオーディオのサイトを書き始める更にずっと前の話です。その頃のMusical Fidelityと云えばA級アンプのホットでエネルギッシュな音質を前面に押し出した濃厚且つアナログライクなものでしたが、V90 DACの音質は当時のMusical Fidelityイメージからすると共通点を見いだすことが難しいくらい、全く異なる現代的な傾向の音質です。やや彩度の低いニュートラルな音色で音場型。音像は薄めですがグラデーションのキメが細かく繊細。如何にも現代英国トレンドといった印象のステージイメージで、昔のMusical Fidelity A1では無く、むしろAUDIOLABの音質に近いように感じます。

フルサイズのMusical Fidelity製品で印象が近かったのは2000年代半ばに発売されたA3シリーズの系統でしょうか。※現行M Seriesは更に近そうですが未試聴。ただA3はクラスが格上だけあって更に音場感豊か且つウエットで艶やかでしたが、Musical Fidelity V90 DACはアルミケースのザラッとした艶消し表面仕上げの影響もあるのか、ややマット調でロマンスグレーな地味目の音色。この辺りはアルミニウムケースがツルツル仕上げだった先代V-Siries(V-DACⅡ/V-CANⅡ)の方が仕上げの高級感があって良かったですし、音的にもう少し質感に潤いがあれば良いなと。

Musical Fidelity V90 DAC front

特に新品当初は霧の中にいるみたいな音場で、しかもどこかパウダリーで乾いた印象があり、音が馴染んで気にならなくなるまでにかれこれ1年くらい掛かりました。V90 DACの場合、これは全ての電解コンデンサに固体コンデンサが使われている影響が大きい気がします。固体コンデンサは数値性能や部品寿命と引き換えに、一般的なフィルムコンデンサに比べて聴感上の音質に潤いが無く、違和感が払拭されるまでエージングにかなり時間を要する印象があります。

V90 DACのWHAT Hi-Fiのレビューでは先代V-DACⅡに続き★5を取れず★4。For/Againstで、本格的なDACには程遠いとかなり辛口に指摘されている点は正にその通りだと思います。僕の印象としても、エントリークラスにありがちな薄さと云いますか、全体的にソフトで緩めの音場感、スムーズで詳細且つ美しくグラデーション豊かな中音域、スピード感はあまりなく、快活では無い・・・どちらかというと穏やかでパッシブなイメージでしょうか。破綻無く小綺麗に纏まってはいますけれど、これといった鮮やかさが無く、何処か食い足りない印象ではあります。この様に書くともっさりしている様に誤解されそうですけれど、そうでも無くて、総じて上品且つニュートラルであっさりとした音質傾向です。

WHAT Hi-Fiでは、USB接続でよりエキサイティングで高解像度の音質を求めるならHRT microStreamerがV90 DACよりお薦めで、より多機能なD/Aコンバータが欲しいならCambridge Audio DacMagic 100がお薦めと締めています。

しかしながらCambridge Audio DacMagic 100については海外の口コミ比較でもV90 DACが上と書かれているのを見かけます。また個人的にも以前にDacMagic 100の上位機種に当たるDacMagic Plusを所有していましたが、これと比べても尚(好みは別にして)Musical Fidelity V90 DACの方が音質的には優れているように感じます。要するにエントリークラスとしては良い意味で無難に纏まっていて、それなりに聴かせ所を押さえた優秀な音質と云って良いと思います。※箱庭ピュアオーディオでの音質評価は後述するMusical Fidelity V-CANⅡ付属トランス式ACアダプタを使用した上でのレビューです。

同時購入した2台の個体差

冒頭で知人の分も含めて2台同時購入したと書きましたが、納品前に故障が無いか音出しテストをしたところ2台の音質がそこそこ違う事に気付きました。オーディオ製品は、同じ機種同士を比べると実際のところ新品であってもある程度音質が違うものですが、その件についてはあまり触れられないですよね。いわんや年数の経過した中古オーディオとなれば個体差での音質的な乖離があまりにも大きすぎ、中古のみで機材の本来の音質ポテンシャル(及び良し悪し)を見極めるのはエスパーで無ければ無理だと思っています。もちろん箱庭管理人自身は24時間365日ウチュウデムパを受信しているエスパーなのですけれども(゜ワ゜)。

Musical Fidelity V90 DAC rear2

今回の2台の場合、あくまで新品の同一機種ですので、さすがに前述した音質レビューで書いた範疇に収まる極々類似した音質ではあります。しかし一台目はより中域に明るさと朗らかな暖かみがあり、リッチで音楽的なイメージ。2台目は中域がより大人しく、温度感が下がり音場寄りのパッシブで繊細な印象でした。1台目はリラックスした中にも中域に音楽的な厚みがあり、2台目は中域が薄まるぶん音場がフラットで上下に広くなります。1台目がより本来のMusical Fidelity V90 DACらしい音質傾向だと思うのですが、2台目のややアンニュイで翳りのある神経質な繊細さが個人的につぼってしまい、敢えて僕自身は2台目の方を使うことにしました。とは云えメーカーが狙っている音質的な設計中央値はたぶん1台目の方に近いのではと思っています・・・。それにしても、これだけ高精度なビルド品質でパーツ点数が極限まで絞られているにもかかわらず、それでも尚、聴感上ではっきり判る個体差が存在するのには少々驚きました。

ACアダプタによる音質の違いについて

イギリス本国のオーディオ機器は220-240V仕様のため、機材をそのまま海外通販で購入してしまうと日本国内では一般家庭での使用が出来ません。※エアコン用200V電源(要配電盤工事)を転用する方法はありますが、これでも電圧が足りない可能性は十分あります。しかし今回のMusical Fidelity V90 DACに限らず、低価格な小型DACやアンプ等々は100-240V対応のユニバーサルACアダプタ仕様のものが多く、こういった製品については基本的に100V/50-60Hzの日本でもそのまま使用が可能です。

YAZAWA ヤザワ HPJP5

ちなみに管理人のV90 DACは新発売から程なくして英国のオーディオ専門店経由で購入したため、ACアダプタの差し込みプラグの形状が英国仕様(BF)となります。これを日本(Aタイプ)で使うには電源差込プラグの「BF⇒A」変換アダプタが別途必要になります。本当は日本とプラグ形状が同じ米国経由で入手出来れば良かったのですけれど、発売初期だったためか見つけられず。購入後ほどなく米国のAmazon.comでも買えるようになってしまい目が点でした(@_@;)。しかも為替的にも送料的にも米国経由の方がずっとお安く・・・orz。

ACアダプタのプラグ変換(BF→)用に選んだのはYAZAWA(ヤザワ)HPJP5。オーディオ用ではありませんがニッケルメッキの変換プラグで製造品質は良好。音質的にも変換アダプタとしては許容範囲で意外にもそんなに悪くは無い印象です。

ミュージカルフィデリティ V-PSU2

実は先代のVシリーズ(V-DACⅡ)には別売の強化電源としてV-PSUII POWER SUPPLYという製品がありました。この強化電源があればACアダプタよりもローノイズで安定した高品位な電源をV90シリーズの各製品に供給が出来る訳です。しかし新型のV90シリーズの場合は別売強化電源ユニットが発売されず、基本的に付属のチープなスイッチング式ACアダプタを使用せざるを得ません。※社外品でV90シリーズに対応するトロイダルトランス式の外部電源を作ってくれるガレージメーカーは国内外にあります。

Musical Fidelity V90 DAC付属のACアダプタは12v-500mA DCスイッチング電源。極々小さく簡素なものです。機器側のDC入力端子は珍しいΦ1.3mm(外形3.5mm)の小さなプラグ。内径2.1mmや2.5mmが多い汎用のACアダプタを使う場合には変換アダプタが必要になるのですけれど、経験上ここにDCプラグ径の変換アダプタを咬ますとかなり音質が悪くなってしまい、出来れば避けたいところです。もしかすると音質がそれほど悪くない変換プラグが存在するかも知れませんが、とりあえず手元にあるものは残念ながら明らかに音質が劣化する酷いものしかありませんでした。

Musical Fidelity V-CAN2

そこで思いついたのはお蔵入りしていたMusical Fidelityのヘッドホンアンプ V-CAN2(V-CANⅡ)。国内代理店の正規品と云う事もあり、日本側でしっかりしたトランス式のACアダプタを付属させているのですね。ACアダプタには「ハインツ&カンパニー Made in Japan」と書かれてあり、よって英国Musical Fidelity側で同梱したものでは無いと思われます。ちなみに実測375g。これはV90 DACとDCプラグのサイズがΦ1.3mmで同じ且つ、電流規格も12v-500mAで全く同じもの。ちなみに御蔵入りしていた理由は別に音質が悪かったからではなく、単純に普段ヘッドフォンで音楽をあまり聞かないから。※ここの所ヘッドホンはもっぱら電子ピアノ(クラビノーバ)専属です。V-CAN2(V-CANⅡ)のレビューは後日気が向いたら書くかも知れません。

ミュージカルフィデリティ トランス式ACアダプタ

この日本仕様トランス式ACアダプタで音を出してみたところ、元々V90に付属していたスイッチング式ACアダプタに比べてはるかに本格的でしっかりとした音が出ます。比べると英国向け標準付属品は音抜けが良くハイスピードですけれど音が軽い。

実はV-CAN2(V-CANⅡ)の付属ACアダプタに気付く以前、汎用の12V/500mAのトランス式ACアダプタ(安定化電源型)をサウンドハウスや秋葉原のパーツショップから幾つか取り寄せて試してみたのです。しかしどれもこれもV90 DACとの相性がイマイチで、付属のスイッチング型ACアダプタの音質を超えられませんでした。2.1mm⇒1.3mm変換プラグで音質がガクッと落ちる部分もあるのですが、それ以前にトランス式のACアダプタは質が良くないと鈍重でもっさりと濁った音がします。しかしハインツ&カンパニーの付属品についてはバランスが良く、スピード感が鈍るトランス式の弱点を抑えつつも、トータルでの音質は純正スイッチング式ACアダプタに比べて2回り以上改善する印象になります。撮影のために外した為、このエントリを書きながら久しぶりに純正スイッチング式ACアダプタでの出音を確かめていますが、歪み感が少なく耳当たりの穏やかな聴き易い音質ではあるものの、低域方向がやや軽く音場の透明度も今一歩。WHAT Hi-Fiでの辛口評価やリラックスした印象はこのスイッチング型付属ACアダプタがボトルネックになっていたのだろうと推測します。

V90 DACの使いこなし。インシュレーター編

ミュージカルフィデリティV90ケース

低価格にもかかわらず2mm厚のソリッドアルミニウムケースが使われていて剛性に優れるのは良いのですが、箱の響きにややもすると潤いが足りず、固体コンデンサと相まって響きの艶が仄かに欠けている印が拭えません。ポン置きでは音場を満たす粒子情報が僅かに煙たくなり易いのがMusical Fidelity V90 DACの抱える欠点。もちろんそういった傾向の音色が好みであれば全く以て問題ありませんが、個人的にはもう少し響きに艶と潤いが欲しいと感じてしまいます。

そこでいくつかの安価なインシュレーターを試してみたのですけれど、特に相性が良かったのがAET SH-2007B。※紛らわしいですが、A2000系合金(非マグネシウム系)アルミ素材のSH-2007Aではなく、工業用真鍮で光沢のある重い方のBタイプです。このSH-2007Bインシュレーターはゆったりとした潤いのある豊かな響きが持ち味ですが、丁度Musical Fidelity V90シリーズのマットな響きに適度な潤いを与えてくれるため、煙たい印象が払拭されてニュートラルな良い塩梅になります。スピード感はあまり出ないインシュレーターですけれど、そこはMusical Fidelity V90 DACも同様ですので、音場型のキャラクターがより強調されてエレガントで高級な雰囲気になりました。試していませんが同素材で高さが2倍(14mm)のSH-2014Bの方が更に効果的かも知れません。弱点はツルツルした素材のためDACが滑りやすい点でしょうか。また、Musical Fidelity V90 DACには黒いプラスチックの小さな足が元々付いているのですが、どうも外せないのでそこを避ける形で3点支持にしています。

V90 DACの使いこなし。デジタルケーブル編

現在 Musical Fidelity V90 DACはメインシステムのサブ系統用DACとして、CDプレーヤーMARANTZ CDR630及びSACDプレーヤーONKYO C-S5VLと繋がっています。MARANTZ CDR630とV90 DACを繋げているのはTOS光デジタル側が石英グラスファイバーのAUDIOTRAK GlassBlack2+/50cm。同軸デジタル側にAcoustic Revive DIGITAL-1.0R-TripleC-FM。ONKYO C-S5VLとの間は単結晶石英のaudio-technica AT-SDP2000/1.3m。この3系統でCD及びSACD(4.14kHz/16bit PCM変換データ)での音出しが出来る様にしています。

Musical Fidelity V90 DAC Digital cables

この条件でMARANTZ CDR630本体のPHILIPSビットストリームDAC経由アナログ出力と比べると、流石にMusical Fidelity V90 DACの方がより現代的で高解像度、音場の広さもあって1ランク上質な音が得られます。デジタルケーブルについては音源に合わせてAcoustic Reviveの同軸とGlassBlack2+の光を切り替える事で、それぞれ異なるニュアンスの音調を得られるようにしていますが、使用頻度が高いのはどちらかと云うとGlassBlack2+。Acoustic Revive DIGITAL-1.0R-TripleC-FMを敢えて併用する理由は、アモルメットコアの影響からか挿すだけでDACの聴感S/Nが向上するため、並列型ノイズリダクションとしての効果が期待出来る為です。尚、接続方法としてはアモルメット側をDAC入力側にする逆接続。

GlassBlack2+の音質は音数が多く透明感の高いスパークリングな美音系。Acoustic Revive側はよりS/N感の高まったソリッドでシャープな傾向ですので、音源がモヤる場合にはDIGITAL-1.0R-TripleC-FM側で音出しをする方がシャキッとして良い塩梅です。

ONKYO C-S5VLとのデジタル接続には、今となっては貴重な純石英コアのaudio-technica AT-SDP2000/1.3mを使っています。TOSデジタルケーブルの最高峰は純石英コアと言われていますけれども、AT-SDP2000については実のところより安価な純石英ファイバーコアのGlassBlack2+の出音には敵いません。単純に手元にある残りのTOSの中で一番良かったのがこれでした。※大半のプラスチック(アクリル)ファイバーの光デジタルケーブルと比べると、流石に石英コア/石英ファイバーの音質はグレードが違います。

ONKYO C-S5VL SACDプレーヤー

C-S5VL本体のアナログ出力に比べると、Musical Fidelity V90 DACを通した音はより低域方向が充実した普通のバランスになります。※これはV90 DACの低域が厚いのではなく、C-S5VLの低域がやや薄過ぎる為です。V90 DACを通すとトーンが落ち着き耳当たりの音質傾向ではありますが、C-S5VLの持ち味であるゾクゾクするような透明感は失われ、ごく普通のニュートラルなイメージになってしまい、この組み合わせで外部DACにV90 DACを敢えて繋げる意義は正直微妙。。。単にTOS入力が余っているからおまけで繋げているだけですね。加えてC-S5VLはデジタル出力のオンオフ切り替えがリモコンで出来ず面倒なのもあり常用はしていません。

V90 DACの使いこなし。RCAケーブル編

Stereovox HDSE

設置の都合で1m(でもギリギリ)以上のRCAインターコネクトケーブルが必要になりますが、管理人手持ちの質の良いRCAケーブルは短尺物が多く、1mを超える高級ケーブルは数を持っていなかったりします。その中で残りものから消去法的に使っているのがStereovox HDSE。やや乾いた音調もあって必ずしも好相性な選択肢とは言い難いのですけれど、他がもっと合わないので仕方なく。。。ここに潤いと明るさを加味する方向で相性の良いRCAケーブルを見繕う事が出来れば今以上に良くなりそうな雰囲気はあります。

V90 DACの使いこなし。電源BOX編

ACアダプタ駆動の製品はその先の電源BOXなどについて蔑ろにされがちですけれども、実際には内蔵電源の機材と同様に電源BOX等々で大きく音質が左右されます。以前はメインシステムのJ1 project PT-4に繋げたりもしていましたが、どうも音色が変に濃く重くなってしまい相性があまり良くありません。メインシステムサブ系統のFURUTECH e-TP60は綺麗な音ですが・・・ACアダプタの電源コードが届かず。そこで試しに昨年プラズマテレビ等のビジュアル機器系統用に導入したaudio-technica AT-PT900側へ繋げてみたところ、これまでMusical Fidelity V90 DACでは想像出来なかった、しっかりとしたワイドレンジ且つゴージャスな音にメタモルフォーゼしてしまいました。

この組み合わせの弱点は音調がクール寄りで温度感が低くなり過ぎてしまう点。ここは壁コンセントの変更や壁コンセント~AT-PT900間の電源ケーブル選択で、温度感を上げて明るくなるようにバランスを取る必要がありそう。※4mと云う長さの問題から使える高品位電源ケーブルが手元になく、現状では暫定的にサンワサプライのOAサプライ用キャブタイヤケーブルを使っています。

~まとめ~

小型で粋なD/Aコンバーターを何故か蒐集している箱庭ピュアオーディオ管理人にとって、Musical Fidelity V90 DACは特別音質が優れているとか、絶対に欠くべからざる特徴を備えたDACとまでは云えません。それでも機材として大きな欠点が無く、そつなく纏められたブリティッシュサウンドと、出来の良い小さな筐体が醸し出すシックで小洒落た雰囲気は、所有欲を満たしてくれるに十分なものがあります。

エントリークラスのD/Aコンバーターとして、ローエンドのCDプレーヤーやプアなPCオーディオの音質を底上げする用途であれば、Musical Fidelity V90 DACは安価で良く出来た製品ですし、中華DACと比べて価格的にも遜色ありません。尚且つ英国設計のMusical Fidelity製品ならではのセンスを感じる音楽的なサウンドが愉しめます。海外のバジェットHi-Fiマニアの間では、こういった安価で小洒落たDACを既存の古い機材に組み込む事で、オーディオにあまりお金を掛けずに愉しむ文化が浸透していて羨ましくもあります。部品点数が少ないからこそ得られるすっぴんに近い薄化粧の美的センス。あまりお金を掛けずにそんなサウンドを求める皆さんであれば、このMusical Fidelity V90 DACに限らず、海外に数多あるシンプルでコンパクトなD/Aコンバータにも目を向けられる事で、より豊かで愉しい音楽ライフに繋がるのではないでしょうか。

+For
過不足感の無いニュートラルな現代ブリティッシュサウンドが得られます
実質4系統の豊富な入力端子
優れた製品製造品質

-Against
付属のACアダプタは些かチープ
先代モデルにはあった純正のアップグレード電源(V-PSUII)の設定が無い
古いMusical Fidelityのサウンドを期待すると裏切られます

categoryCategory:イギリス/Musical Fidelity(ミュージカルフィデリティ)
categoryCategory:D/Aコンバーター略してDAC

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コメント一覧 (1件)

  • DACを検索していてたどり着きました。基板写真を見る限りでは、電解コンデンサーの極性表示カラーが黒なので、高分子アルミ固体コンデンサーではなく、通常のアルミ電解コンデンサーだと思われます。OSコン(三洋→パナソニック)などに見られるように、高分子固体コンデンサーは、紫や青などを使っている場合が多いです。千石電商や秋月電子通商などで「チップコンデンサ」を確認してみてください。本家のホームページでも、特にコンデンサーについて言及されていないので、特殊な物は使っていないのではないかと思います。また、基板上の「Cxx」表記の茶色い部品はチップ積層セラミックコンデンサーです。ですので「すべて置き換わった」というのも無理があると思います。

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