【各社のSSDを独断と偏見のみに基づいて比較してみる】
比較2017|850EVO|比較2019|860EVO中編|860EVO後編|870QVO|WD SN770
以前にこちらのエントリでも少し紹介していますけれど、メインPCのデュアルSSDが「Samsung 850EVO 250GB+860EVO 1TB」の構成でも暫くすると容量が逼迫してしまい、2020年9月に改めて2TBのSamsung 870QVOを追加しました。2022年現在、箱庭的ピュアオーディオのブログ製作用PC ASUS VivoMini VC65は「860EVO 1TB+870QVO 2TB」での運用になっています。
Samsung 870QVOは現行最新モデルとは云え、Samsung製SSDに於ける立ち位置はあくまでローエンドモデル。低価格化のために1セルに4ビットを保持する高集積QLC NANDを採用したSSDであり、「PRO>EVO>QVO」の3種で一番性能が低いのですが、2TBのSSD容量をなるべくお安く手に入れるために、やむを得ずローエンドのQVOを選びました。※OSではなくあくまでデータストレージ側で使うつもりなので妥協できるかな~と…( 3△3 ).。o
Samsung 870QVOへの巷のあやしい評価について
SSDとしてSamsung 870QVOの実力と巷の評判をまとめるとこんな感じになっていました(゜ω゜)。。。
正直QLC NANDの巷の評判は、1セルに4ビットを詰め込む高集積仕様から、信頼性が低い、寿命が短い、ランダム書き込み速度が遅い等々、正直かなり悪いと云えます。但しそれらの評価の多くは実際に使ってみた結果と云うよりは、QLC NANDの一般的な技術資料上から読み取ったもの。製品化された2代目Samsung QVOシリーズが実際にどうなのか?については、往々にしてQLCは低品質だから駄目に決まっているみたいな推論の域を出ないようにも見えます。
TBW@書き込み寿命は優秀なSamsung 870QVO
実際のところ、SSDの書き込み寿命を表すTBWで比較した場合、最新モデルだけあって、2世代前の850EVOモデルに比べ、870QVOの方は耐久性そのものが実は2倍以上になっています。その上、そもそもSSDの性能で常にリードするSamsungの製品ですので、QVOでもWD、SanDisk、Crucial等、ライバルメーカーのミドルクラスSSDと同等以上の速度と耐久性が確保されている上に、実売価格は(特に2TB以上の大容量モデルでは)相対的にリーズナブルな傾向になっています。
モデル | 容量 | STBW – FirstWiki | 保証期間 |
---|---|---|---|
840EVO | 250GB | – | 3年 |
850EVO | 250GB | 75 TBW | 5年 |
850EVO | 2TB | 300 TBW | 5年 |
860EVO | 1TB | 600 TBW | 5年 |
860EVO | 2TB | 1200TBW | 5年 |
870QVO | 2TB | 720TBW | 3年 |
2022年4月現在、気付けばOSドライブ(C:/D:)側の860EVO/1TBの書き込み量は3年使用で20TBを超えていますが、データストレージ側の870QVO/2TBは1年半で未だ4TB程度です。今後も母艦PC及び次世代機のサブストレージとしても使い続ける想定として、いずれにしても残りTBWとしては十分と云えそう。
Samsung 870QVOの読み書き速度@体感
実際に2TB 870QVOを導入して1年6ヶ月使用してみた印象ですけれど、最新世代の「MKX controller」の性能が向上していることもあるのか、正直なところ860EVOと体感では違いが良く判りません。Samsung Magicianでベンチマークテストをすると、管理人の環境下ではむしろ870QVOの方が、Rapid Modeのオンオフに関わらず僅かに速いっぽい(゜ω゜)。。。
OS側ドライブとして余裕を持たせている860EVOに比べ、870QVOは1年半で既に容量ぱっつんぱっつんですけれども・・・その条件でも速いです。※↓はRapid Modeでの測定。SSDの速度測定が厳密に出来るPC環境ではありませんのでそこは悪しからず。
ここはやはり最新世代のSSDですので、確実に性能で上回るためには先代モデルの860EVOでは既にやや力不足なのかも知れません。公式スペック上でも
実は870QVOの方が少し速くなっています。4bit QLCの870QVO方は、NANDの書き込み速度が3bit MLC(TLC)の860EVOよりも概念として劣っている筈ですけれど、実際には最新世代のコントローラー技術が素の読み書き性能をひっくり返してしまう様です。870QVOの実効速度を性能的に上回るには、つまるところ現行モデルの870EVOを持ってくる必要がありそう。
違いが出るとしたら、QVOを書き込み側に設定した大容量ファイルのSSD間転送時に、途中でガクッと速度が落ち、転送速度が鈍くなる可能性があります。但しあまりそういった用途が発生しない管理人の環境下では、速度低下が起こる原因として860EVO⇔870QVOのどちらが先に足をひっばるのかまでは判定できません。とは云え、普段から数十~数百GB単位の大容量ファイルを頻繁に転送しまくる方は、QLCのローエンドSSDは避けた方が無難だろうと思います。
Samsung 870QVOの発熱温度
発熱温度は860EVOと同等でASUS VivoMini VC65の筐体内で34~37℃程度@室温24℃。SSDのアクセスが多い状況では40℃台前半まで上昇します。但しあくまで熱がこもりやすいミニPC内での温度ですので、外付けSSDにした場合にはもう少し温度が下がると思います。
※スクショでは860EVO(ドライブC:D:)側の温度が少し高めですけれど、ドライブベイの左右を入れ替えると表示温度も逆になります(即ち860EVOと870QVOでの優位差無し)。結論として廃熱が苦手な小型PC、ミニPC、NUC、ノートPCであっても現行SamsungのSSDであれば全く以て問題ありません。※画像で27℃表示がされているH:ドライブは↓で紹介している外付けUSBポータブルHDDです。
Samsung 870QVOを1年半使ってみた感想
お財布事情から選んだ870QVOですけれど、巷でQLC NANDがかなりディスられていることもあり、安物買いのなんとやらにならないか?内心かなりの不安がありました。でも実際に840EVO、850EVO、860EVO、870QVOと使っている印象からすると、家庭内での使用、ブログ製作、テレワーク等での事務作業用PCとしてであれば、870QVOでも十分以上の性能があるように感じています。
860EVOに比べて明らかに劣るみたいな感じは全くありませんし、むしろ、最新世代のコントローラー「MKX controller」のお陰で、実用性能と安定性が更に良くなっている印象。サンプル一つで本当の信頼性は証明出来ませんけれど、870QVOを使っていて、もたつくなぁとか、ここは低品質だな~と感じさせることは正直ほぼ無いと云って良いです…( ੭ ・ᴗ・ )੭♡
~まとめ~
QVOはSamsung的にはあくまでローエンドモデルですので、サーバーなどの負荷の高い用途で使った場合の故障率では、上位モデルに比べ成績が落ちるでしょうから当然お薦めしません。各所のレビューで技術的にディスられまくりの第5世代「4bit MLC V-NAND」、即ちQLC NANDですが、信頼性の面ではSLC、MLCやミドルクラスのTLC「V-NAND」と比べれば落ちるのは事実であり、過酷条件での使用には向かない点への理解が必要です…(ρ゚∩゚)
870QVO × Rapid Modeでの性能はこちらの記事で詳しく紹介しています。
870QVOは繰り返しの上書きによる消耗が多くなる1TB未満のモデルが無く、保証が3年と短い(EVOは5年)点を鑑みても、SamsungとしてもOSドライブとしての使用より、大容量データストレージ向けサブドライブとしての運用を暗に推奨しているように思います。とは云え既にこれだけのTBWが確保されていますので、一般向けオフィス事務用途やテレワーク、家庭用PCに於いては、QVOでも既にオーバースペックとも云える耐久性が確保されています。
住み分けとして、日常的に数十GBを超える大容量ファイルを転送する用途や、OSドライブで万が一の故障率の低さ・・・もとい信頼性を重視するのであれば、870QVOより870EVO/860PROがお薦め。そこら辺りの判断はあくまでみなさんそれぞれの用途次第ですので、TBWの消耗が激しくならない環境下では、比較的安価でレスポンスなどの実用性能面と安定性が高く、コストパフォーマンスに優れる870QVOを選ばれるのは十分にありかと思います。
あとはやはり、仮に何かあったときの為に毎日のデータバックアップは忘れずに。SSDが物理的に壊れなくても、遥かに高い確率でPCやOSのソフトウェア的トラブルからいつ何時大切なデータが壊れてしまうとも限りません。ちなみに管理人は日々のバックアップに無料のBunBackupを長年使用していますが、軽量高速な動作且つシンプルなUIで、非常に優れたバックアップユーティリティだと自信を持ってお薦めできます。こんな感じで皆様に使って欲しいフリーソフトを最後に紹介しつつ今回のSamsung 870QVOのレビューを締めたいと思います…( ੭ ・ᴗ・ )੭♡
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