【ミニPC ASUS VivoMini VC65を敢えて選んだ理由】
序章|ぱ~と1|ぱ~と2|ぱ~と3|ぱ~と4|メモリ増設|3画面化
BIOS更新|事前準備|分解とCPU交換| CMOSクリア|CPU交換(再)|終焉
このページではミニPCの分解に必要な各種ツール、次のページでASUS VivoMini VC65の分解方法について詳細に図解します。管理人の所有機はVC65-G108Zになりますが、デバイス仕様上は「ASUS VivoPC VC65_VC65R_VM65_VM65N Series」となっています。よってVM65シリーズも含め、歴代ASUSのミニPCの他機種でも、概ね同じような内部構造の機種であれば、それなりに参考になる部分が色々あるかも知れません。
また、現行VivoMini VC65-C1シリーズの場合でも、マザーボードの細かい仕様については異なりますが、大雑把なハードウェア構成や箱そのものは基本的に同じものです。尚、ASUSの歴代VC65シリーズのラインナップについてはこちらに掲載しています。
~事前に用意するもの~
《工具類》
・プラスドライバ #3番対応で太いもの ※CPUクーラー脱着用
・PH0/+0若しくは+00程度の細長い精密+ドライバ、要帯磁。本体分解用
※ビット交換型の精密ドライバーセットは軸が太い為に使用不可
・5mm六角ナットドライバー。マザーボード基板脱着用
・ネジを入れる小皿
・シャーペン ※無線LANボードの配線を戻す為に便利
《クリーニング用品》
・掃除機
・エアダスター ※必須です
・無水IPA(イソプロピルアルコール)若しくは無水エタノール
・CPUグリスクリーナー ※パンドー29D、KURE1419、Zippoオイル等々でも代用可
・キムワイプ、シルボン紙、ダスパー、シルコット等の使い捨てワイピングクロス。
《CPUソケットとCPUクーラー周り》
・ヘアドライヤー ※グリスが固着したCPUを外す為
・高性能&長寿命タイプのCPUグリス
・15倍拡大ルーペと極細の縫い針 ※ピン曲がり修復が必要な場合
《CMOSクリアと電池交換》
・コネクタ/リード線付きバックアップ電池(CR2032)
・或いはコネクタ付きコイン電池ソケットとCR2032電池
・セメダインBBX 各種補修用
《その他、あると良いもの》
・ミニ三脚付きLEDライト ※作業性向上にほぼ必須
・広いテーブルと明るい部屋
・作業中に体の静電気を放電出来る環境
・帯電しにくい衣服
・爪切り直後はNG。手先の器用さはプライスレス♪
工具類
PCの分解に必要なドライバー類を用意します。
手前から説明すると、シャーペンは本体背面ロックの上げ下げと、内部の無線LANカード型モジュールの配線を戻す時のガイドに使います。前から2番目は本体分解用に使う細長い精密プラスドライバで規格はPH0/+0。画像の製品はVESSEL クリスタラインドライバー 精密タイプ No.6900 +0×75で焦げ茶色の古いタイプ。後の青いドライバセットにも同規格の精密+ビットが入っていますが、VivoMini VC65シリーズは5cm程の細い穴の奥底にネジがあるため、ビット差し換え式ドライバでは軸が太過ぎてネジ穴に入りません。余談ですが、穴の底からネジを掬い上げるのには適度に帯磁している方が使い易いです。3番目の大きいドライバーはCPUクーラーの脱着で使う#3番のプラスドライバ。画像は新亀製作所 3350 パーフェクト2WAY。3350は±両用で精度も良く、#1~#3迄のネジに広く対応できるので重宝しています。太さ#3以上ないとCPUクーラーのネジを舐めてしまうので注意。長さはより短いドライバーでも大丈夫です。
奥の青い4番目は色々な規格のビットが入った精密ドライバーセット。様々なネジが使われるオーディオ弄りで色々と使い勝手が良いのですが、今回はマザーボードの取り外しに5mmの精密六角ナットドライバー(画像左にあるピットの右から2番目)が必要で、開けてみたらなんと入っていました\(^o^)/。さすが59種入りセットすねっ♪。5mmの六角ナットドライバーやソケットレンチをお持ちの方は少ないでしょうし、この種の精密ドライバーセットが一つあるとイザという時に重宝します。外したネジはサイズ別に小皿に入れて無くさないようにしましょう。
クリーニング用品
クリーニングの基本はエアダスター。ファンを内蔵するPCは細かいところに埃が色々と入り込んでいますので、埃が無くなるまでとにかくガシガシ吹き飛ばします。後述するCPUファンのプロペラや細かな放熱フィン内部に入り込んだ細かな埃についても、掃除機で吸い出すには意外と限界がありますが、エアダスターでしたら一発で綺麗になります。※とは云え埃が目に見えて多い場合は先ず掃除機で大まかにクリーニングした上でエアダスターを使ってください。また、後述するCPU取り付けの直前に、CPU背面とCPUソケット上の微細なゴミを吹き飛ばすのにもエアーダスターは必須ツールです。
風圧だけでは取れない汚れについては、キムワイプ、シルボン紙、ダスパーΣなどの精密機器、光学機器用の使い捨てワイパーに、安全性の高い揮発性のアルコール類、IPAイソプロピルアルコール、(無水)エタノール、無ければ消毒用エタノールを適量含浸させて拭き取ります。ちなみに上のIPAは50%濃度ですので今回の用途には向きません。キムワイプ、シルボン紙、ダスパーなどは、布クロスと違って微細な糸くずが出にくいこと、折り畳むことで細かな部分にも届くこと、安価でガシガシ使い倒せる点が優れています。
管理人の場合、一眼デジタルカメラレンズのメンテナンス用にNikonシルボン紙が沢山あるので専らシルボン紙を流用していますが、小津産業(製造元)ブランドのダスパーΣも中身は同じものだそうです。ダスパーはティッシュ箱に入っていますので、シルボン紙よりも使い易いですよね(滝汗)。また、クリーニングペーパーに+αの補助的な使い方ではありますが、化粧用のシルコットには洗浄液の吸水性が良く、弾性があり優しく拭き取りが出来るので、CPUグリスの拭き取りや取り外したCPUクーラーにこびり付いた汚れの拭き取り等々で重宝します。その他にもシルコットは各種精密機器のクリーニングや、CDやDVDの拭き取り用途にもお薦め。日本中のスーパーや薬局等にお安く置いてあります。
家庭用の掃除機は、ブラシのアタッチメントを繋げてざっくりと、PC内部の細かな部分はバキュームアタッチメントキット CD-83KTN3を使うとより安全にクリーニング出来ます。直接大きなノズルをPC内部に近づけた場合、静電気の発生と、吸引力で手元が狂うとマザーボードの電子部品に当たって破壊しかねないのでご注意ください。ちなみに管理人は昔から代々スウェーデンElectroluxの掃除機を使っていますが、画像左手前のブラシノズルは毛先が比較的柔らかいマキタのラウンドブラシで、そのままElectroluxエルゴスターでも使えたりします。
そして固着したCPUグリスの剥離に使う溶剤。CPUグリスが柔らかいうちはIPA(イソプロピルアルコール)や無水エタノールでも簡単に剥離しますが、経年で乾燥し固着してしまうとそこそこ拭き取りに手間取る事があったりします。専用のCPUグリスクリーナーと謳われているものも成分は99%IPAだったり。そこで例えば電子機器用品で良く使われるKUREクイックドライクリーナー1419、パンドー29D、或いはZippoオイル(ホワイトガソリン/ベンジン)等々の溶剤であれば、CPUグリスの剥離力も高く安価で大容量です。多用途に使い回しが利くのもメリット。但しそれぞれの溶剤で揮発性、発火性、毒性、樹脂・プラスチック部品への攻撃性などはまちまちですので、使用する際にはそれらに十分ご注意ください。
CPUソケットとCPUクーラー周り
グリスが固着したCPUを安全にCPUクーラーから剥がすためには「CPUが未だ暖かいうちに」と良く言われますが、実際にはPCを分解している間にCPUクーラーはあっという間に冷めてしまいます。そこで便利なのがヘアドライヤー。マザーボード上のCPUクーラーにドライヤーの熱風を適度に当てるのが一般的ですけれど、VivoMini VC65ではCPU・CPUクーラー・CPUファンが一体で外れますので、それを手に持った上で、もう片方の手でCPUクーラーの背面にドライヤーの熱風を当てます。熱風の安全性ですが、元々CPUやCPUクーラーは高負荷時には80度を超える温度に達する発熱部品(100℃くらいまでいける?)ですので、ヘアドライヤー程度の熱を短時間浴びせるくらいでは大丈夫だと思います。どうしても心配な方は温度表示付きのドライヤーを使われるのが良いかも知れません。
針とルーペは誤ってCPUソケットのピンを曲げてしまった場合に修正するためのツール。まさかこんな間抜けな事を自身がやらかすとは思いもしませんでしたが、CPUソケットからCPUを脱着するその瞬間のほんのちょっとした手ぶれであっさりピン曲がりを起こします。もしやらかしてしまった場合は、曲がりが少しであればルーペと針を使って自力修復を試みることも出来なくはありません。但しかなりの集中力と器用さが要求される為、不器用だと更なる大惨事に繋がりますので、これはあくまで自己責任でお願いします。
それからCPUグリス。最初は12年前のエントリで書いたシルバーグリスの余りを使ったものの、3回分で切れてしまいした。その後、最近はどれが最も性能の良いCPUグリスなのかを色々調べて数日悩みつつ、最終的にチョイスしたのがAINEX JP-DX1 ナノダイヤモンドグリス。台湾とロシアのナノテクノロジーで作られた云々と書かれた台湾製グリスです。ASUSも台湾製ですし相性良いかな?なんて。。CPUグリスの能力について実はどれも大差無いといった話もあります。しかし実際に使ってみると平均温度や最小/最大温度、特に温度の下がり方がグリスでかなり違い、どんな分野でも「違いは無い」系の話を鵜呑みにしてはいけないと改めて思い知らされました。
AINEX JP-DX1 ナノダイヤモンドグリスはやや粘度が高めのCPUグリスですので、塗布前に前述のドライヤーで注射器を温めるとよりグリスの伸びが良くなります。またプラスチックのヘラが付属していますけれど、これについては昔のテレフォンカードやオレンジカードみたいな素材の、薄くてしなりのあるプラ板の切れ端の方が、付属のヘラよりももっと塗りやすいと思います。
CMOSクリアと電池交換
CMOSクリアで必要になるものかこちら。
コネクタ/リード線付きバックアップ電池、或いはコネクタ付きコイン電池ソケットとCR2032コイン型リチウム電池。そして滅多に無いとは思いますがカプラーを壊してしまった場合の補修用にセメダインBBXがあると何かと便利です。詳しくは下のページに纏めました。
その他、あると良いもの LEDライト VIJIM VL81とSanDony 自撮り棒 三脚
照明の補助用にミニ三脚付きLEDライトがあると作業性が圧倒的に良くなります。管理人の場合、PCデスクでは暗いので明るいキッチンで作業しているのですが、普段はそれなりに明るいと思っていても、精密作業となると細かい部分が影になり無意識にストレスを感じていました。そこでLED補助ライトを使用すると視認性が段違い。作業ミスを防ぐためにも補助ライトの使用は強くお薦めしておきます。むしろ部屋がそんなに明るくなくても補助光がしっかりあれば精密な作業が楽に出来ます。CPUソケット上の埃やピン曲がりに気付けたのも、作業中にLEDライトで斜め横から照らしていたお陰でした。
ちなみに僕はVJIM VL81 LEDライトを使っているのですが、ホットシューがあるバッテリー内蔵タイプで、元々は屋内デジタルカメラ撮影時の補助ライトとして購入したもの。小型三脚スタンドも本来はデジカメ用に調達したものですが、専らLEDライト用のスタンドになっています。
この二つの組み合わせはコンパクトな上に、LEDライトの照射方向、明るさの強弱、色温度、三脚の高さ(伸縮80cm+ライト高)や足の開き加減などもかなり自由で非常に使い勝手に優れています。精密作業の際にはテーブル上の邪魔にならない位置に置き、柄を少し延ばして横から斜め下方向へ照らすようなイメージです。注意点としては三脚の設置部分がプラスチックでそのままでは滑りやすいので、僕は3Mのクッションゴムを貼り付けています。これで安定性も向上する上に、撮影でオーディオ機器等の上に置いた場合でも機材に細かな傷を付ける心配が無くなります。
基板剥き出しのメモリやCPUなど、静電気で壊れてしまう部品がマザーボード上には色々とありますので、木綿など帯電しにくい衣服、そして冬場など明らかに湿度が低い日は念のため避ける方が無難。キッチンで作業をする理由の一つは、手が届くところにステンレスのシンクがあり、作業中に適宜シンクに触れることで静電気の放電が出来るから。
PC工作用に静電気防止手袋なども市販されていますが、ツルツルした素材で滑りやすく細かな作業がやり辛くなる為、個人的には直ぐに使うのを辞めてしまいました。それから爪切り直後は部品の取り外しが結構やりにくいですので、少なくとも親指と人差し指の爪はほんの少しだけ残していた方が色々と楽です。特にピアノ弾きの管理人は爪を短く切ってしまっている事が多いもので・・・。そして手先の器用さはプライスレス。器用さと集中力に自信が無い方の場合、たぶんきっと厳しい部分が色々ありますので其処は覚悟して下さいませませ\(^o^;)/
【図解編】 ASUSミニPCの完全分解とCPU交換方法@VivoMini VC65に続く。
【ミニPC ASUS VivoMini VC65を敢えて選んだ理由】
序章|ぱ~と1|ぱ~と2|ぱ~と3|ぱ~と4|メモリ増設|3画面化
BIOS更新|事前準備|分解とCPU交換| CMOSクリア|CPU交換(再)|終焉
Category:ASUS VivoMini VC65 & UL20FT
コメント一覧 (2件)
再びお邪魔します。
ウチでも先日CMOS電池を交換するだけのためにHPのノートパソコンをバラバラにしたのでした。
こうした作業後、ネジを入れておいた小皿になぜか2,3個残っていたりする(??)ことがママあって、動作を確認すると問題無しなのでまあいいかとかありがちです。
それで学習して100円ショップで縦横約16cmで4×4の仕切の付いた透明なプラスチックのアクセサリーケースを調達、ネジを外した工程順に入れて行ってます。再組立ての際はその逆を辿って。
アクセサリーケースは蓋付きではないもので何かの拍子にひっくり返したら……とか若干心配なものの、今のところ悲劇は起こってません;;
作業が翌日以降も続くとかなら、蓋付きにしたほうが良いでしょうね。
静電気防止手袋(滑り止め付き) はウチにもありますが使ってないのはご同様です。適宜金属に触れながらというのは大事ですね。
近眼、乱視に老眼まで抱えているのに照明装置無しで作業しているもので、たまにネジが何処かへ転がって見つけるのに苦労することも。
ミニ三脚付きLEDライトの購入を真剣に検討してます。ではまた、
>Kuniさん
いつもながら遅レス失礼します。体調崩れてまたけっこうしんどいのです・・・(滝汗)
CMOS電池交換にチャレンジされましたか!
今丁度その記事を執筆しているところです。色々あって
VivoMini VC65でのCMOS電池交換はかなり大変でした。
VJIM VL-81を購入された件はTwitterで拝見しました。
このLEDライトのために1ページ記事を作っても良さそうですね。
Kuniさんのところでもお役に立つと良いのですが、
あくまで伸縮ミニ3脚があった上での使い勝手とフレキシビリティだと思いますので、
これ単品だけでは少し暗いですし、使い道が限られてしまうと思います。