4年ぶりにBOSEのお話。今年2015-9月にBOSEが大々的に新製品を発売したのですけれども、今回かなりの製品が一斉にマイナーチェンジを施されたのと、米国ブランドの高級ラジカセとして根強い人気があるウェーブミュージックシステムなどは、11年ぶりにフルモデルチェンジされた事もあって個人的に興味津々。。。
《ワイヤレスを使いこなせない方へのプレゼントには、そのままCDもラジオも聴けるウェーブミュージックシステムがお薦め♪ 新設計で大幅性能向上しました。》
実はBOSE製品、円安を理由に7月1日に21年ぶりの一斉値上げに踏み切っているのですけれども、秋にモデルチェンジするならどうせ旧機種になるので値上げしなきゃ良かったのにと思ってしまいました。そんな中ではありますが、丁度良いタイミングで新製品体験会のイベント紹介状が何故か私の所にも来てたので、物見遊山半分で渋谷のボーズ本社に行って参ったのでありまする♪
BOSEのイベントに行くのって実は初めてだったりするのですが、今までいろいろ参加した他の音響メーカーの試聴会とは少し違って、新製品の機能とプランドイメージ等々のプレゼンが中心の内容でした。肝心の新製品の音質についてはあとで個別に試聴してね~ってスタイルでしたが、そこそこ参加者さんがいることもあってフリータイムの会場はうるさいし、結局イベンド時間内にあんまり試聴出来なかったという・・・常設ディスプレイコーナーなども全部通電されてなかったりして・・・むぅ(;゜ロ゜)。なんだか、一通りの新製品をただ見に行っただけみたいな感じで終わってしまい、プレゼンは面白かったけどオーディオマニア的にはしょ~じき若干物足りないイベンドで御座いました。
《おみやげに出たばかりCOMPLETE BOOKを貰いました。BOSEが提案するのはライフスタイルそのものであり、良い意味でファッションの一部であるという事が良く伝わるフォトイメージブックです。BOSEファンの人はカタログを兼ねて一冊持っておくべし♪》
BOSEの社内ブレゼンを聴いていて思ったのは、今更ですがこの会社が売りにしているのは、音楽のあるライフスタイルの提案こそがまず第一義に来るということ。一般のオーディオメーカーの場合は音質とか音楽再生の品質がベースのフィロソフィとしてプライオリティの最上位にあって、そこから外観とか使い勝手とか想定価格とかが組み合わされて最終的に製品化されていくと思うのですが、BOSEの場合は、まず最初に使う人達のライフスタイルのイメージが先にあって、個々人のライフスタイルにどうやってオーディオを実用的に”邪魔にならないように”落とし込んでいくのか?という部分が開発コンセプトの最上位にあると云えると思います。
すなわち、BOSEの場合は音響メーカーなのに必ずしも「音質」を頂点としてでは無く、先ずは「使う人間」を中心にして製品が開発されているのです。むろん音質も大切なのですが、それ以上にリスナーの方を向いている。これって、高音質の為にはリスナーのライフスタイルと住空間に妥協を強いるのが当たり前のオーディオメーカーとしては、なかなかどうしてあっぱれなスタンスだと思うのですけれど、BOSEが欧米で長年高く評価され、米国15%/欧州10%というオーディオ業界最高レベルの市場シェアを獲得しているのは、そうした普通のオーディオメーカーとは異なるコンセプトへのユーザーの共感が主因になっているのではないかな~と感じました。
一般的な音響メーカーと違って「音質」を最優先事項にしていないという事は・・・常にライフスタイルが求める機能性の実現を前提にした上で、次にその制約から出来る限りの音質を練る手法を取っている訳です。この「ライフスタイルが求める機能性の実現」にかける研究技術へのコストや人材投入がちょっと普通では考えられないほど半端ないのがBOSEならではと云うか、研究結果の成果として、機能とサイズ、設置条件の制約を意識すると、このサイズで!よくぞ実現した!的なかなり手品っぽい音が飛びだしてくるわけです。
家族にも自身にも無茶振りをする傾向があるオーディオ原理主義的なスタンスで、ライフスタイルの物理制約をオーディオ機器の評価軸に敢えて入れないとすると、え?この値段でこの音~?みたいな製品も中にはあったりして、そこらへんについては各々のオーディオ機器に求める価値観によって評価が大きく変わってしまうのは、ある意味致し方ないことかも知れません。
なんというか、普通のオーディオメーカーにはライバルメーカーと比較した上での価格=構成部品等々の物量と音質という不文律があったりしますけれども、BOSEの場合は研究開発費×ライフスタイルコンセプトの実現レベルで価格の上下がある印象。ですので単純にオーディオマニア的な目線でボーズ製品のコストパフォーマンスについて価格比較をしても、あんまり意味を成さないのではないかと思っています。
それに加えて、「BOSE」というブランド名は一般店頭や一般誌での露出が多い事もあってか、高級オーディオの音に触れたことのない一般の人々には圧倒的なブランド力と知名度を誇っていたりします。その反面、トップシェアのオーディオメーカーにもかかわらず、原理主義的なオーディオマニアは昔からあまり高く評価されていないというか、はっきりいって泳ぎ目でスルーされている傾向があったりして、こだわりが強いオーディオマニアの皆さんと一般層の人々との温度差がなかなか凄いことになっていたり・・・(@_@;)
なんでここまで「音質」を最優先事項にしていないって書きたくなるのかと言いますと、BOSEの音がそれだけ良くないから?・・・いやいやそれがそうでもないんですね。残念なことにBOSEの音を聴こうとしないオーディオマニアの皆さんの多くが実際以上にBOSE製品の価値を見くびっている節があるような気がして、その認識の差みたいなのに昔からうっすら違和感があった訳ですけれども、これってばむしろ売る側のビジネススタンスに一因があるのでは無いかと新製品発表会を見ていてそこはかとなく感じてしまいました。
《ご覧の通りスピーカーに見えません。SoundTouch wireless music systemは新型からホワイトが無くなってしまったのが残念ですけれど、家庭用だけでなく複数の部屋がある模様替えの多い商店などのBGM分配用途に向いていると思いました。WirelessでUIが使いやすいです。》
冒頭でも触れたとおり、プレゼンの中で新製品一式の音出しデモンストレーションが殆んど無いのです。私はスピーカーから出てくる音を聴きに行ったのに、まともに音を聞けなかった(゜Д゜)ぽか~ん。いちお~マイナーチェンジされた新型SoundTouch wireless music systemの3機種については、機能説明のために触り程度にはデモってましたけど、デモソースがかな~りテキトーで、これって音響メーカーのデモとはたして云えるのか?個人的に若干かなり疑問に思ってしまったのも事実です。アメリカで開発されたものを遠く離れた日本のマーケットで売るという時点で、国内マーケットへはある種アプローチの違いが必要になると云うことなのかも知れませんが。
《世界的に空前の大ヒット続けるSoundLink Miniにも新型が出ました。なんとSoundLink Miniって32秒に一台生産されているそうです。参加者の方にくじ引きで貰えた人が数名いらして・・・うらやましひ。特に新しいパールホワイトがお洒落♪プレゼントにもお薦めです。》
これで一番不憫なのは、個々の小さな、しかし誰にでも手が届くであろう価格の製品にワールドクラスの莫大な研究費が投じられたであろうと思われる諸々のボーズ製品の方。米国で超小型スピーカーのSoundLink Miniの開発を担当されたロマン・リトフスキー氏などのエンジニアの皆さんが、相当音質にコダワリを持って取り組んでいるのは、設計時に想定された条件とサイズの空間できちんと聴けばたぶん誰にでも判ります♪
低域の充実や近未来的で仮想現実的な音場空間など、音作りのフィロソフィに明確な思想を感じますし、もちろん製品によってコンセプトイメージの実現具合には幅はあって、以前にも箱庭的ピュアオーディオで絶賛したMicro MusicMonitor M3((製造終了)みたいな小粒でもピリリと辛いPCスピーカーから、現時点の開発力ではまだまだ発展途上かな?と感じる製品も中にはあったりして、そこは他社製品同様に玉石混淆だったりするのですが、せっかく中にいくつか音質的に魅力的な製品があるのですから、もっと音質と音楽再生能力の高さを前面に出してアピールをしても良いのではないかと、極限まで小型化された製品群を横目になんだか勿体ないな~と感じてしまいました。
と云うことで、ブランド指向の強い国内マーケティング上はHi-Fiオーディオとしての性能アピールが些か置いてきぼりで、それよりも音質と関係ない部分での技術力アピール?とブランドイメージによる指名買いを狙っている感が強い気がしましたので、私としてはボーズ製品達のピュアオーディオ・ビジュアル的な名誉回復のために、箱ピュアでは敢えて勝手にマニア目線で”BOSEその真の実力”に光を当ててみたいのですけれども、これって、今は亡きAmar G Bose博士からするとありがた迷惑だったりするのかしらん?(^^)ゝ(・・・つづく)
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これほどBOSEの魅力とブランドに対する考察のブログ(てか解説)は、はじめてです。まさにそのとおり!のパレードでした。今後も楽しみにしています。