今回紹介するのは米国モンスターケーブルM350i RCAインターコネクト。国内価格は定価7000円/1mペアと低価格帯の製品になります。なんで今更こんなディスコンの忘れ去られたケーブルの話をするのかというと、私、このケーブル大好きなんですよね。安いのに (注:今更ですけれども、米国での価格は当時の日本国内定価の半額以下です)、美味しい。そして単線。いま一斉に画面の向こうの単線厨がアップしはじめました!(謎)・・・あとにも先にもMonster Cable社のRCAケーブルはその殆どが複雑な撚り線構造ですので、単線ケーブルの製品ってのはなかなかに珍しいのです。
●より正確な信号の伝送を実現する2芯構造
●確実な接続を保証する24金メッキのターバインプラグとスプリット・センターピン
●高密度の銅ホイルを巻き上げたシールドで、高周波ノイズを軽減
●最新素材、高密度ポリマーを用いたPEX絶縁体
●各帯域どうしの干渉を防ぐマイクロファイバー絶縁体
●耐久性・柔軟性に優れ経年変化に強い外部被覆、デュラフレックス・ジャケット
広帯域にわたって外来ノイズを遮断。正確な伝送と耐久性を両立。
中高級、ハイエンドユーザーに推奨。
当時の輸入元であるONKYOの広告から引用です。ハイエンドユーザーに推奨とはこれ如何に!?(・・・・・・遠い目)。構造的には単線2芯ツイストケーブル構造で純度は不明。あくまで90年代後期~2000年代半ばに製造販売されていたRCAケーブルですから、たぶんOFCですらなかったりすると思われまする。まぁ音的にもナチュラル系で情報量はさほど多くないですので、OFCやPCOCCから想起されるクールな分解能を期待するとがっかりすると思われます。
15年くらい前に一部ネット界隈のオーディオマニアの間で持て囃されていたことがあったのですけれども、ネタ元はこれだと思います。徳島のクラシック音楽専門レコード店ArtRecordsさん。今でもサイト続けていらしたのですね・・・うれしい涙出た。以下引用です。
モンスターケーブル社の7000円のピンコード(M350i)
細くても振動しにくい構造のコードが良い結果を出してくる。
ピンコードなら太い5C-2Vより細い3C-2Vのほうが良いし、モンスターケーブル社の良品M350iも3C-2Vなみの細い単線を使っている。
太いことはいいことだと、なんとなくオーディオ雑誌に思い込まされていたから、細めのコードの音の良さを実感したときは、悩んだ。この事実をどう説明する?どう受け入れればいい?
よく考え抜かれたバランスのいい設計で、音楽性に優れ、音場もよく広がります。このコードにはほんとにびっくりしました。コードの品質が金額では決まらないことをはっきり見せつけてくれます。ツイストはかかってますが単線を二本だけよじったものを導体として使っていますから、ほぼ単線と同じストレートないい音がでます。
市販のコードでこれを超えるものは価格に関わらずなかなかありません。安い割にということではなくて、どんな高価な凝ったコードと比較しても絶対的な品質が高いんです。
ちょっとレンジが狭くて、ハイエンドとローエンドにアクセントを付けた演出を感じます。ツイストペア構造の利点と欠点がはっきりわかるコード。
ちなみに2006年にイギリスWHAT Hi-Fiのレビューでボロクソに書かれています…。 わっち2000年にM350i試聴した記憶があるので、イギリスに上陸したの遅かったのですね。
要約すると・・・
付属品よりはマシ。まぁアグレッシブ
音が薄いし混濁している、いわゆる水準レベル。
酷い・・・。 でも概ね当たってます。WHAT Hi-Fiは商品の欠点を隠さずクリティカルに批評してくれますので、オーディオ評論とは本来こうあるべきと云う見本なのです。そんなdisられまくりのケーブルがなんで好きなの~?って問われると、音楽性が高いのですよこれ。ひたすら明るい音であまり深みは無いのですけれども、そう、程々にストレート&アグレッシブで基本的に楽しいのです。陽気で屈託無く愉しめる音。ジャンルを問わず音楽の生命力を伝えてくれるのですね。※ていうか、批評を権威化して安易に阿ってしまうのは、それ自体がクリティカルな態度では無くなってしまうのですよ。くぱぁ。。。
付属品よりはマシ。これは言い過ぎ。日本で実売5000円くらいで売られてるエントリークラスのケーブルなんて今も昔も大抵このレベルの音質だぉ。。。薄いのは、モンスターケーブルのケーブル同士で比べるとその通り。腐っても単線ですので音像の音密度はなかなか優秀です。音像は撚り線のエントリークラスにありがちな膨張感はありません。ピアノやバイオリンなどサーフェスがマッタリしているようでいて、立ち上がりはキレがあって速かったり。ただ音場がな~。あんまし広くは無いんですね。薄いのは音場なのです。単線という事もあって位相の狂いや滲みは無いのですが、F特が中域寄りでやや狭いのと、音場情報の細かい音が広がりながら早めにしゅわしゅわと消えてしまう。奥行きもあんまりそこそこ。まぁでも機器のレベルがあんまし高くないコンパクトな箱庭システムや、音質より音楽性を追求した組み合わせなど、そもそも15~25年くらい前のレトロモデルを当時の音色で慈しみたい場合は、M350iの少しレンジが狭いくらいのナチュラルな音色の方がしっくりくるのですよ・・・ふふふ♪
Monster Cable M350Iの音質的な特徴をまとめると、音色が明るい。陽性の方向で音楽性が高い。深みは足りてないのですがとにかく音楽を愉しめるサウンド。単線ケーブルらしいタイト&ストレートで中域にまとまりのある素直でキレの良い音。音場の情報量やレンジの広がりが価格相応で弱点ではある。低域は上位のM1000iなんかと比べてしまうと些かボリュームが足りてないかも。でも中低域から中高域まではタイトでストレート&快活なサウンドですので、これはこれで別にいいのです(えっへん)。
色々オーディオケーブルを取っ替え引っ替えしていて、音質にばかり意識が行き、音楽性という基本理念を見失いそうになったときに、も~めんどくさい、これでいいや!ってな勢いでM350iを繋ぐと、ああ、これこれ、これだった~\(^o^)/っと腑に落ちる訳でありんした♪
敢えて弱点を挙げると、モンスターケーブルらしくターバインプラグとスプリット・センターピンのコンタクトが鬼のように硬いので、一度挿したら抜き差ししたくない。背面RCA端子の取り付けが脆弱な機種だと割とマジで壊すかもってレベル。画像のRチャンネル側がちゃんと挿さってないのはこれ以上挿すのに危険を感じたからです(苦笑) M350iに限りませんが、Monster CableのRCAプラグはこの点だけかなり要注意なのでした。
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