劇場版「リズと青い鳥」を観てきました。

リズと青い鳥、京都アニメーションが制作した武田綾乃原作「響け!ユーフォニアム」のスピンアウト作品です。アニメのCMで頻繁に予告編をやっていて、ず~っと観に行きたかったのですが、最寄りの映画館が2ヶ所とも今年から休館&廃館になってしまい、車で行けそうな近場では上映館が見当たらず打ち切り間際?まで、ずるずると先延ばしていました。

MOVIX橋本

調べたら神奈川県内の相模原にあるMOVIX橋本で未だ上映していて(2018/6/1)、映画を観るためだけで行くには少しばかり遠出にはなりますが、なんとか滑り込むことが出来ました。※時期が遅かったせいか6週目の入場者特典として配っていたらしい35mmフィルムは貰えませんでした(残~ん念)。

リズと青い鳥

なんか、劇場で映画を観るのはかなり久しぶりです。2016年公開の「この世界の片隅に」と「君の名は。」は、双方超ロングランだったにも拘わらずずっと体調不良で結局行く事が出来ず、それ以来一度も行ってない気がするので最後に観たのは何だったかなぁ・・・「思い出のマーニー」、「ガールズ&パンツァー」?。となるともう3年半も映画館に行って無いのか~(@_@;)

リズと青い鳥20180601

MOVIX橋本については過去に「時をかける少女」で1回だけ来館したことがあったりします・・・調べてみたら2006年上映なんですね。7~8年前の気がしたけど12年も前だったか。あの時も同じく平日の夕方で客席が満席に近かったのを覚えていますが、今回は同時にいたお客さんは20人くらいで閑散としていました。持病の関係で感染症リスクを取れないので映画やコンサートは空いている公演にしか行かないようにしているので助かりました。ちなみに今回もいつも同様、テレビCM以外の情報は一切無しで(公式プロモーションすら遮断した上で)劇場に足を運んでいます。

リズと青い鳥 感想

ネタバレになるので内容は敢えて書きませんが、端的に云えば繊細でパッシブで非常に私好みの作品でした。吹奏楽部の現実的な要素が割と占めるテレビアニメ版の熱血ストーリーよりも、物語ライクで幻想的に心情を綴った「リズと青い鳥」の方が好きかもです。基本的に、響け!ユーフォニアムでの久美子や麗奈などのメインキャラはモブに近いサブキャラになっていて、サブキャラだったオーボエのみぞれとフルートの希美がヒロイン。ユーフォ本編ではストーリーに暗い影を投げかけていたこの二人の関係の顛末が、音大への進学絡みで語られています。

そういやオーボエのみぞれが、音楽室での雑談中にツェルニー30番練習曲の3曲目のピアノ演奏を披露していました。少し謎めいた感じにアレンジが加えられていて、希美の背中を追って歩くみぞれのように、僕には何となく「のぞみ、みぞれ、のぞみ、みぞれ、のぞみ、のぞみ、のぞみ、みぞれ?」って聴こえてしまいました(^^;)

※此処でさらりと描かれているのは、みぞれの行き場のない心情に加えて、みぞれが単なる吹奏楽のオーボエ奏者としてではなく、ピアノも含めて、音大進学に向けてこれまでに積み上げてきた音楽の基礎と準備が、希美とは違って既に備わっている点だと思います。

驚いたのは音響の良さです。だいたい、おしなべて映画館というものは音はデカいけど音質は・・・という印象しか無かったのですが、リズと青い鳥は作品の音質が劇場を想定して相当に練られているのだと思います。当日はMOVIX橋本のシアター2でしたが、超大型のちょっとしたハイエンドシステムで音楽を愉しんでいるような、響け!ユーフォニアム系列の作品に相応しいBGMと演奏の素晴らしさをダイレクトに感じられるクオリティに仕上がっていました。作曲や演奏の質に全く不満を感じさせないだけでなく、とにかく背景音、環境音など含めた小さな音へのこだわりが半端なくて、劇場で、ハッタリではない質的な感動を呼び起こす音を出せることに驚きました。

リズと青い鳥は、響け!ユーフォニアムほど分かり易いエンターテイメント作品ではないのですが、ストーリーは細やかな心情描写と音楽が中心で、はまって何度も、何度も繰り返し劇場に足を運ぶ人が続出するのが解る作品です。私には体力的に無理ですけどもね・・・。でもこういう作品があるからこそアニメが止められないのです・・・(^^;)。

サントラCDもそうですが、リズと青い鳥のBlu-rayディスクが発売されたらぜひ手に入れたいです。きっとお高いでしょうから、アニメに滅多に課金しない身分としては躊躇しますけれども。。。

それにしても、新山先生のみぞれと希美に対する態度の違いが解りすぎて辛ひ・・・(滝汗) このリズと青い鳥を含め、一連の響け!ユーフォニアム系列作品が個人的に心に響く・・・心を抉るところは、音楽の才能という厳然たる格差・・・ギフトの存在を肯定的に捉えつつ、持たざるものの憧れの裏側にある嫉妬の葛藤を両者の視点から描いている点です。音楽の才能を超人的で理解不能な何かとして描いたり、逆に持たざる子達の等身大の想いを否定することなく、答えを作中の演奏表現そのものに帰依する事で、お互いが真に認め合う姿を青春群像劇として美しく昇華しているところに感動しました。

リズと青い鳥 山田尚子イラストカード

6/4日追記:一週間も経たずに結局またリピート観賞に行ってしまいました・・・(^◇^;) 今度はより大きなTheater 9で。ちなみに今回は7週目の入場者特典としてイラストカードが貰えました。山田尚子監督の描いた素晴らしく綺麗なイラストですけれど、やっぱり一点ものと云う事で先週分の35mmフィルムが欲しかったなぁ。。。(^^;)

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コメント一覧 (4件)

  • いつもTwitterでお世話になっております、ジャイアンです!
    「リズと青い鳥」は私も観に行きたかったのです。ですが、私のの地元では上映ナシ。最寄りは隣県の県庁所在地(岡山市、私は広島県)という、公共交通機関で行くだけで2時間はかかろうという遠方(新幹線ならトータルでも1時間かかりませんが、交通費が…)。と言う訳で、ディスクがリリースされるのを待つしかないという状況です。予告編を視聴して「これは私のツボにはまってそう」と喜んだのですが、上映館リストをチェックして泣きました。久々に劇場で観たいと思わせてくれる作品だったのになぁ…

  • これ、マイナーなアニメ作品の辛いところですよね。神奈川でもみなとみらい以外は割と変なところでしかやってない感じで、私がウロウロしている港北ニュータウン近辺の大規模シアターではどこも上映無し。MOVIX橋本は多摩ニュータウンの学生が沢山いるから、なんとか一日一回上映してるのかな~と。東京も需要の割に上映館が極端に少ないので逆に満席らしいですね。広島では今観たらバルト11という所でやってるみたいですが、遠いですか?

  • 私は広島県でも東端の福山市ですので、岡山の方が近いし、移動時間も費用も抑えられるという地理なんです。実は歴史的にも文化的にも、安芸の国広島よりは、岡山の方がまだ近いかなぁという、びみょ~な土地なんですよ。地元広島県が舞台だった「この世界の片隅に」も上映されませんでした。文化的には岡山と広島に挟まれたエアポケットのような場所です。二つの大手資本系シアターがありますが、この手のコアな作品は、まず公開されることはないですねぇ。
    音が良いのは分かりきっているので、こーゆー作品こそ劇場の音響下で観たかったですね!

  • >「この世界の片隅に」も上映されませんでした。
    ん~これは衝撃的。伝統的に潜在的な地域対立でもあるのでしょうか?と云いつつ、私は原作は有名になる前に読んでたりしますが、劇場版は上で書いたとおり未だ観てなかったりします(^^;)

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