アリーナ・イブラギモヴァ&セドリック・ティベルギアン デュオリサイタルの感想です♪

昨土曜日は、ロシアの若手ヴァイオリニスト、アリーナ・イブラギモヴァと、フランスの中堅ピアニスト、セドリック・ティベルキギアンのデュオリサイタルに行きました。この二人のデュオは以前にNHKのクラシック倶楽部でも放送されていましたし、個人的には、イギリスのウィグモアホールで収録されたベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全集ライブ3枚に、Hyperionで録音しているモーツァルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタを2枚ほど持っています。

イブラギモヴァ&ティベルギアン

会場はいつものフィリアホール。曲目は、前半がベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第3番、ヤナーチェクのヴァイオリンソナタ JW Ⅶ/7、後半がジョン・ケージ6つのメロディ、そして最後にシューマンのヴァイオリンソナタ第2番でした。ちなみに彼女のヴァイオリンは1775年製アンセルモ・ベローシィオとのことです。

internal6/24~29 今週聴いたCDとSACD備忘録 ※二人のCDレビューを少し載せています

ベードーヴェンのヴァイオリンソナタは、弾き始めという事もあったのか、ティベルギアンとイブラギモヴァのバランスが微妙に合っておらず。ピアニストのティベルギアンの扱いはあくまで伴奏では無くデュオですので、ピアノの屋根は全開なのですが、音量が相対的にヴァイオリンよりも大きくなってしまい違和感がありました。

2曲目はヤナーチェクのヴァイオリンソナタ JW Ⅶ/7。今日のプログラムで一番好きな曲。ここから以降は二人の音量バランスも良くなります。アリーナ・イブラギモヴァは今時の若手女史らしく楽譜にiPadと無線の足踏みセンサーを使っていたのですが、この曲だけは紙の楽譜。というか、iPadに表示されてるちんまい音符、ヴァイオリニストは譜面台から結構離れているのに良く見えるな~みたいな(^-^;)

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後半はジョン・ケージの6つのメロディ。この曲予習無しで初聴きでしたが、シンプルな心地よい小曲集で、食わず嫌いで予習をしなかったのは間違いでした・・・反省。そして最後はシューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番。僕の頭の中にある同曲とは音楽的解釈がかなり違っているのと、ピアノが技術的に気になる部分がちょくちょくあり、曲の中にのめり込むことまでは出来ませんでしたが、ヴァイオリンそのものは迫力満点の佳演だと感じました。アンコールはシューマン(ヨアヒム編)夕べの歌、一曲のみ。イブラギモヴァの色彩感のグラデーションに引き込まれる繊細な演奏で、これが一番良かったように思います。アンコールのこの曲のスコアだけはティベルギアンもタブレットを使っていました。二人のデュオとして、たぶんこの日については本調子とは云えなそうな印象もありましたが、総じて安定した演奏で聞き終えた後も良い余韻が残りました。

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セドリック・ティベルギアンは僕と同世代で98年ロン・ティボーの覇者(2位が梯剛之君)なのですけれども、今回実際に生で聴いた感じ、今はあんまり指が回るピアニストでは無いな~と。昨年もロシア系の若手女流ヴァイオリニストとフランス人男性ピアニストの組み合わせで、アレクサンドラ・スムのヴァイオリンを聴きましたが、この時に伴奏をしていたフランスのピアニスト、ジュリアン・クエンティンのほうがずっと上手だと思います。とは云えイブラギモヴァ&ティベルギアンのデュオは人気があるようで、会場も9割くらい埋まっていて、演奏家として似たようなクラスと組み合わせとなるアレクサンドラ・スムの時とは偉い違いだなぁと。。。(スムは個人的に過小評価だとおもふ・・・)

internalアレクサンドラ・スム ヴァイオリン・リサイタルに行って来ました

なんと云いますか・・・ティベルギアンには単なる伴奏ピアニストとは違った独特の甘い味わいと個性が解釈と云うよりも音色そのものにあって、そこが魅力でもあり、好き嫌いの分かれるところだと思います。ハイペリオンから出ているモーツァルトのヴァイオリンソナタ集に僕が感じる違和感の正体について、僅かにヴァイオリンよりもピアノをメインに扱っているかのような録音バランスに問題があるのかと思っていたのですが、実は単純にティベルギアンの音色と個性が個人的に好みでは無くて、どうしてもそれが気になってしまうのだと生を聴いてみて良く判りました。Hyperionの録音そのものはウィグモアホールでのライブ録音よりもずっとリアルで、こうやって聴いてみると生演奏により近い鮮度で収録されています。

反面、本来の目的であるアリーナ・イブラギモヴァのヴァイオリンは素晴らしく、ピアニッシモの多彩な弱音表現、強靱で終始安定したフォルテなど、何より目の前に広がる瑞々しく豊かな色彩感にはハッとさせられます。フィリアホールの音響もあるのでしょうが、思っていたよりも、エッジとメリハリの利いた演奏と云うよりは、音階の繋がりがなだらかでグラデーションのきめ細やかな地に足の付いたヴァイオリンで、ファンが多いのも頷ける演奏会でした。

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