【QUAD L-ite2 英国製超小型ブックシェルフスピーカーのレビュー】
序章|前編|後編|シングルワイヤ|バイワイヤ|疑問|ジャンパー
箱庭ピュアオーディオ管理人、た~しか以前に高価な市販のジャンパーケーブルに疑問符?等と偉そうに宣っていた気がしますけれど、その後に色々ありまして、、、あろうことか遂に変節してしまいました\(^o^;)/ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいm(__)m。
とまぁ一体誰に謝っているのか若干意味不明ですけれど、ふふふ、気を取り直して?英国QED社のフラッグシップスピーカーケーブルGenesis Silver Spiralの内部芯線をベースに作られたジャンパーケーブルのレビューに行ってみたいと思いますっ♪
小型スピーカーとジャンパーケーブルの必要性
現在管理人が山積み確保?(滝汗)している小型スピーカー群でバイワイヤリング接続に対応する機種はQUAD L-ite2とCambridge Audio Sirocco S30(工事中)。サブシステムCでレギュラーの座を射止めているQUAD L-ite2に、これまでも色々な低価格スピーカーケーブルの端材で作ったジャンパーケーブルを使ってみたのですけれど、どうもイマイチしっくり来ません。。。流石にSP付属の金メッキ真鍮ジャンパープレートよりは、大抵のスピーカーケーブル(の切れ端)であれば歪み感が少なくなって幾分マシではあるのですけれど、なんかこう、所詮はペアで£140の安物スピーカーの音からはどうしても抜けられない感じで悶々としておりました。
ここ数年でそれこそ20数種類くらいのスピーカーケーブルを取っ替え引っ返えしつつ、ジャンパーを使わずにスピーカーケーブルを2組使って基本的にはバイワイヤリング接続で運用していました。音場の広さやレンジ感などの「音質」的にはバイワイヤリング接続の方がシングル接続よりも優れるものの、反面、ジャンパーを使ったシングルワイヤー接続の方が音楽的なタイミングに優れる面があり、「ノリの良い楽しさ」と「オーディオ的な高音質」がトレードオフの関係になっていました。
とりあえず現状収まっているのが相性の良かったSUPRA RONDO 2.5(工事中)です。ただこれでも尚、安物バジェットHi-Fi感丸出しだよね?みたいな状況からは脱せず。。。サブシステムAに充てていスピーカケーブルTAG McLaren F3-10SPK(工事中)を繋げてみると流石にサブシステムCでも次元の違う音はします。て云うかm数百~千数百円程度のスピーカーケーブルではどうしても超えられない壁があるっちゃある。あんたが集めた安物スピーカーケーブルを全部束ねたらハイエンドスピーカーケーブル買えるんじゃないの?って誰かに言われましたけど、あ~きこえな~い、きこえな~い(# ゜Д゜)。
これまた気の迷いで中古のハイエンドEnsemble HOTLINE スピーカーケーブルを入れてみたこともあるのですけれど、こちらは生憎1日で却下しました。高くても合わない物は合わないのですっ(≧◇≦)。それはともかく、バジェットクラスのスピーカーやプリメインアンプからでも、機材の値段を超えるようなスピーカーケーブルを繋ぐと、その価格からイメージするサウンドとは異なる、想定外の音はいちお~出るのです。問題は相性。お高いスピーカケーブルに手を出して失敗したら目もあてられませんから、妥協点として安価で相性の良いスピーカケーブルを見つけるのがウェルバランスへの近道・・・ではあるのですけれど、ここでふと気が付いた。
ジャンパーケーブルであればハイエンドスピーカーケーブルの導体を使ったものが、ものによっては案外お安く、下手をすると0が一桁少ない価格で買えたりしない?(あるいは自分で作れない?)・・・これってもしやミルミルごくり!?。要するに、ハイエンドジャンパーケーブルを使えば、スピーカーケーブルそのものが普及価格帯だったとしても、実質ハイエンドSPケーブル相当の音質になるのではありませんこと!?な~んて捕らぬタヌキの皮算用をしてみた訳で御座います\(^o^;)/
QED Signature Genesis Silver Spiral 導体構造について
そこで海外のオーディオアクセサリ販売店で良さそうなジャンパーケーブルはないかしら~?と物色していて見つけたのが今回のQED Signature Genesis Silver Spiral ジャンパーケーブルでした。これまで使ってきたQEDの安価なスピーカーケーブルやデジタルケーブルの傾向からして、たぶんこれならQUAD L-ite2との相性的に行けそうな気がした訳でございまする。ちなみにお馬鹿なわたくし、ペア2本売りの価格を見て購入したものが届いてあらびっくり。ペアって事はスピーカー1本分相当でしょうに4本セットだと勝手に勘違いしてましたっ(≧◇≦)。冷や汗かきながら慌てて追加ペアを発注しましたが、結局2倍の出費(£62.5)と追加送料で概ね諭吉さん一枚が必要になってしまいました。半額だと勘違いしていたのが導入の切っ掛けですので、最初からこのお値段だと判っていたらぶっちゃけ手を出してなかったです(滝汗)。
当時は未だQED正規代理店のイースタンサウンドファクトリーさんで取扱が無かったのですけれど、今は国内で丁寧に製作されたものがイギリス本国と変わらないお値段で販売されていますので、海外通販よりもESF国内正規代理店直販での購入をお薦めします。
届いたジャンパーケーブルの見た目はこんな感じ。Genesis Silver Spiralは10AWG/5.5SQと極太のスピーカーケーブルですから、中身の1本だけでもけっこう太くてΦ8mm位。元々のQED Signature Genesis Silver SpiralはΦ16.6mmで、透明なアウタージャケットを剥くと、ジャンパー線として流用可能な導体が2本(バイワイヤー(Bi-Wire)タイプでは4本)と、同数の白いドレイン線が出てきます。導体それぞれは銀色のホイルでシールドされ、中には更に中央の絶縁材へスパイラル状に巻き付く形で銀メッキ5N無酸素銅(OFC)撚り線が1本あたり9本入っているらしい。オーディオでんき堂スクェア湘南さんに加工シーンの紹介があったのですけれど、なんと云う面倒な構造でしょうか(@_@;)。とても自作する気になれない仕様ですので、これはもう製作してくれた方にほんと感謝するしかありませんm(__)m
QED AIRLOCバナナプラグ/Yラグ端子部分も硬く、しかも導体そのものが硬くてあまり屈曲性が良くありませんので、ジャンパー線として使う際には長さに注意が必要です。手持ちはバナナトップからY端子先端までの実測が約28cmですが、QUAD L-ite2の箱の割にそこそこ大きなSPターミナルでも、曲げに少々ギリギリ感があります。AIRLOCを両端バナナプラグ仕様にしていたら、無理に折り曲げないとたぶん入らなかったと思われます(滝汗)。両端のQED AIRLOCですが、バナナプラグYラグ端子共にかなり精度が高いです。このプラグの品質(+専用工具による圧着)もジャンパーケーブル/スピーカーケーブルとしての音質にかなり貢献していますので、QEDのスピーカーケーブルを導入される際にはグレードが下のものであっても、出来ればなるべくAIRLOCプラグ加工をオーダーメイドされることをお薦めします。ちなみにAIRLOCバナナプラグタイプの方は金属×樹脂の円筒ボディがあるため、見た目にも高級感があり音質への影響力がYラグ端子よりもずっと大きそうな印象です。
QED Signature Genesis Silver Spiral 音質レビュー
さて肝心の音質レビューです。先ずもって音色がゴージャス♪いかにも銀線といった風情の明るい艶が乗った太めのサウンドで、これぞまさしくリッチ&ファット。テラテラとした高級感のある音色はこれぞハイエンドと云いますか、音楽性が高く、いわゆる一昔前の高級ケーブルにありがちな良い意味で厚化粧な脚色系のサウンドでございます(滝汗)。またこれはQEDの他のケーブルにもある程度共通していますが、間接音が多く音場の広がる現代トレンド的な3D描写タイプと云うよりは、音像そのものが迫力を持って濃くリッチに描かれる、少し古い時代のオーディオ的な描写をするタイプです。バランス的には下寄りのピラミッドバランス。相対的に高域はマイルドで歪み感極少。音像に纏わり付くリッチな響きと粒子情報が素晴らしく、全体的に豊かな情報量が溢れ出る印象。Silver Anniversary XTでは空間を舞う細め白雪といった趣でしたが、Signature Genesis Silver Spiralでは粒子の一つ一つが晴天下のダイヤモンドダストの如く光を反射していて、なんとも明るくゴージャスな鳴り方です。総じてQED Signature Genesis Silver Spiralは外観の見た目通りの音がそのまま出てくるタイプのスピーカーケーブルと云えると思います。
相対質量的にはずっと大きなスピーカーケーブルSUPRA RONDO 2.5 (しかも片側2.5m)の音質は完全に霞んでしまい、もう完全にSignature Genesis Silver Spiralに支配された鳴り方。たぶんスピーカーケーブルを丸ごとQED Signature Genesis Silver Spiralにした場合と比べても、ジャンパー部分だけで推測6~7割くらいの支配力を達成出来ていそうな雰囲気で、当初の目論見は完全に成功してしまったと云えそう・・・(゜ワ゜)。もちろん最高の結果を得たければスピーカーケーブル丸ごとQED Signature Genesis Silver Spiralを使うのがベストではありますけれども!
スピーカーケーブルとジャンパーケーブルの接続方法について
ところがこの状態で数日聴いていると、どうもなんだか帯域バランスが下に寄りすぎるきらいが。。。超小型キャビネット×11cmウーファーで低音がまともに出ていない筈のQUAD L-ite2ですら、なんだか中低域~低域方向がややもすると厚すぎる・・・のです。比較的ストレート&フラット傾向のスピーカーケーブルSUPRA RONDO 2.5そのものからは最早とても想像出来ないレベルで。
バランス的にこのままでは楽曲の持つ本来のサウンドバランスを色々と損なってるよね・・・と云うことで、2WAYのベーシックなセオリーとしてウーファー側に繋いでいたスピーカーケーブルを敢えてトゥイーター側に繋げてみました。合わせてQED Signature Genesis Silver Spiralも上下入れ替えます(一応注文時にオプションで方向性を「Banana to Spade」にしました。見た目には違いが判りませんが、導体に方向性があると思われます。)。これで音出しをしてみたところ、今度は見事にウェルバランス。低域のもったりした過剰感が消え、高域方向も、細めの普及価格帯スピーカーケーブル的な薄いハイバランスでは無く、中域を中心にリッチで濃厚な「キラキラテラテラ」サウンドになりました。音楽性的にも元々の明るく濃厚な歌い回しの雰囲気に更にリズミカルな流れが生まれ、更に活き活きとした印象にd(^_-)。
ロジウムメッキYラグ端子 ORB HL-YSi-Rの追加
これでまぁ低域~中域はバランス的にも質的にも十分と云えるのですけれど、高域についてはあと一歩抜けてくれたらなぁ・・・という印象が未だ少しだけ無きにしも非ず。これはQUAD L-ite2のトゥイーターがシルクドームで、元々の性質としてハイがピーン!と抜けるタイプの鋭利なキャラクターでは無いのもあるのです(中高域が神経質と囁かれた先代兄弟機の11Lや12Lに比べるとL-ite2は高域方向のレンジ感が明らかに不足しています)。たぶん元々高域がツッコミ気味のB&W等々になるとむしろバランスが取れそうな雰囲気。そこで考えた・・・使っていないORBのロジウムメッキYラグ端子が確か引き出しの奥で眠ってたよね?
ORB HL-YSi-Rはネジ止めタイプのYラグ端子では無くスピーカーケーブルの先端にカシメて使うタイプなのですが、上質なロジウムメッキが施された純銅Yラグ端子でそこそこ良いお値段がします。一度スピーカーケーブルにカシメてしまうと元に戻りません(再利用出来ません)。失敗したらイヤですので、とりあえずですが音質確認のため、SPケーブルSUPRA RONDO 2.5の導体を通した上でカシメずにスピーカー端子に共締めしてみました。ぶっちゃけバナナプラグやYラグ端子による音質変化って、一々カシメなくても重ねて抜けないように共締めしてしまえば殆ど同じです。
※ちなみに管理人は純銅製で大変上質な金メッキorロジウムメッキを施したORBのYラグ端子(Yプラグ)を愛用しています。
結果は大成功♪。ロジウムらしく高域方向が補完されつつ、ORBメッキ特有のツルッとした艶感と硬さが加わり、QED Signature Genesis Silver Spiralのみではやや過剰に感じられた撚り線的な粒子感と柔らかさが整えられ、高級感のある音色が更に1ランク上の高級感を感じさせるサウンドになりました。Signature Genesis Silver SpiralとHL-YSi-Rは色で例えると両方とも白色発光系で輝きの乗った音色。この二つを合わせて使った結果、桜色や煉瓦色と一部で形容されるCREEKのサウンドが完全に脱色され、元々の音楽のイメージにサングラスを掛けたようなセピア色の着色を完膚無きまでに払拭することが出来ました。それでいて温度感は程よい暖かみがあり、決して冷たい音にはなりません。これでまさに長年の弱点がここで克服されて大正解\(*^o^*)/。そうですね・・・目を瞑るともはやCREEKでは無くてAura designの音にメタモルフォーゼして聴こえるといったら判る人には判るかも。※HL-YSi-Rはスピーカーターミナル側のみで使用。高域がロールオフせずにしっかりと出ているシステムでの使用は(たぶん刺さるようになるので)推奨しません。尚、対するアンプ側にはaecoのバナナプラグABP-1111Gを使用しています。
QED Supremus スピーカーケーブル
そう云えばQED Genesis Silver Spiralをフラッグシップと書きましたが、正確には旧フラッグシップ。2016/9月に更に上位のスピーカーケーブルQED Supremusが出てしまったので今では2番手です・・・と云うかSignature Genesis Silver Spiralの設計はかなり古く、知る限り日本で最初に紹介されたのが2006年の東志が代理店の時代ですから、英国で発売されたのは更にそれ以前かと。※当時は単純にQED Genesis及びQED GENESIS BWと云う名前でした。そんな感じで古き良きブリティッシュサウンドの流れを汲むリッチテイストを求めるならQED Signature Genesis Silver Spiral。QEDの最先端技術が提示する現代3Dハイエンドサウンドを狙うならQED Supremusが良さそうな雰囲気。超絶お高いSupremusはレビューを読んだだけで実機の試聴経験は無いのですけどねっ(滝汗)。
~まとめ~
良くも悪くもQED Signature Genesis Silver Spiralは個性の強い脚色系のキャラクターが持ち味。好みに合えば大成功、合わなければ大失敗と評価が分かれてしまいそうな強力なシステム変調能力があります。また、聴感上の周波数バランスがかなり下に寄ったピラミッドバランスですので、元々高域が弱く低域の過剰なシステムでは場合によってコントロール困難に陥る可能性も。とは云えジャンパーとしてであれば、主線となるSPケーブルを「ウーファー側」「トゥイーター側」間を取って「たすき掛け」とつなぎ替える事で、ある程度聴感上のバランスを変えることが可能です。上手く行けば逸品館さんがレビューされているように、システムの音質を(価格が2倍から3倍に感じられるレベルへ)一気に引き上げるが如く強烈な効果を発揮します。高価なジャンパーケーブルなんて酔狂だと以前書いてしまった箱庭ピュアオーディオ管理人ですけれども、どうやらモノよっては必ずしもそうとも云いきれないのですね。切れ端で済むのでやり方次第では、むしろ安価にハイエンドスピーカーケーブルが持つ音質的メリットの大半を享受するショートカットにもなり得ます。今回の経験を経て、これこそが敢えて高級なジャンパーケーブルを導入するメリットなのだと認識を新たにすることが出来ました。
Category:スピーカーケーブル
Category:イギリス/QED(キューイーディー)
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