ピュアオーディオ用途と云うよりは、どちらかと云うとクラブDJ御用達っぽいイメージで楽器系に販路が広い印象のOyaide NEO d+RCAシリーズ。日本では高級ケーブルに埋もれてしまってあまり存在感あまり無いのですけれど、実は世界中で販売されているオヤイデのRCAインターコネクトケーブルだったりします。
その中でも黄緑色のClass Bはd+RCA Seriesの最下位で文字通りのエントリーモデル。上位モデルには導体に102SSCを採用したオレンジ色のd+ RCA class A rev.2と、PCOCC-Aを採用した紫色のd+ RCA class Sのラインナップがありますが、いずれもピュアオーディオ的にはエントリークラスの価格帯に相当する、価格を超えた実用性と実力を追求したオヤイデ渾身の力作です。
Oyaide NEO d+RCA classBでまず目を惹くのがデザインのお洒落さ。また実物に触れてみると物としての作りがなかなか良く出来ていて、非常に扱いやすいのもポイント。きしめん型のフラットケーブルで横には曲がりませんが、PVC被覆には適度な柔軟性と屈曲性があり配線上は全く問題になりません。実物は思ったよりチープな印象が無く、意外な重さもあります。端子部分は青銅合金製で金メッキ、コンタクトは適度~緩め、ハウジングはPBT+グラスファイバーで、抜き差しを繰り返す用途でも機器を傷める心配は無さそう。クラブや音楽スタジオなどの人目に付く過酷な環境でラフに扱われることを想定されているのか、モールド一体成型で実用性の強度を十分検討されてデザインされている印象。オヤイデ製品ですがNEOブランドのd+ RCA series ケーブルは中国で生産されている事もあって随分リーズナブルですけれど、製品として手抜きをされた要素が無く、むしろ中途半端な価格帯の変な高級ケーブルよもり断然作りがまともです。
Oyaide NEO d+RCA classBの音質
輪郭がハッキリとしたシャープでクリア、ハイスピード系でしょうか。音像にシャキッとしたキレがありハキハキとした音質です。俗に云うドンシャリ調で、特に中高域~高域はシャープネスが強め。但し上下前後左右のレンジと空間の広がりはやや狭く、ここら辺は価格相応といったところ。低域は明瞭でパンチがあり、タイト且つピッチが明快。但し量感は程々で、沈み込みはもう一歩か。リズムは乗りが良いと云うよりは、ギターのピッキングに程よいテンションがかかっていて、折り目正しくキッチリと正確にリズムを刻む印象。ギター音源は相性が良く、総じてオッ♪となります。また、ロックポップス系の打ち込み音源にもかなり強い印象。OFC無酸素銅0.18mm×33本の多芯構成のためか音像の輪郭に撚り線的な滲み感が垣間見えますが、良い意味でOFC素材の素性の良さをそのまま素直に活かしたストレートな音質と云えます。以前にレビューをしたOyaide NEO d+USB class Aの音にも傾向的には似ていると思います。
USBケーブルでPCオーディオの音質が変わる その3 オヤイデ d+USB class Aの実力や如何に!?
但し当時のUSBケーブルはPCOCC-A導体でしたので、より近いモデルはパープル色のd+ RCA class Sになるかもです。※Class AとClass Sはプラグコネクタのアウターカバーが格好いいアルミ製♪Class Sは既に生産されていない貴重なPCOCC-A導体が奢られているのもポイントです。
Oyaide NEO d+RCA classB NEOを音の色に例えると、銅色丸出しでやや暗めのトーン。色温度は暖色系なのですけれども温度感はクール。外観のポップな黄緑や白の明るいイメージは殆どありません。音楽そのものにあまり余計な脚色感が無く、線をなぞる明快さと正確さが先に立つ印象で、中域はニュアンスがやや硬めで女性ボーカルの抑揚や色気などは控えめ。ボーカルはピークが鼻にかかる印象もあり、その点はもう一歩の抜けが欲しいかも。それよりもバックミュージシャンの演奏のピッチの変化が明快で、音楽の作り手側が楽曲を分析的に聞く用途になかなか向いているのではと思います。特にリズム楽器が折り目正しく歯切れの良さが際立ちますが、それでいてつまらない神経質なサウンドにはなっておらず、なかなか絶妙のバランス感覚で作り込まれている印象です。
敢えて重箱の隅を突きつつ分析的にレビューすると、3次元的な空間再現性や細部の分解能など、管理人の手持ちの他のもう少しハイグレードなケーブルと比べると、至らない印象もあるにはあります。とは云えざっくりと捉えた場合には、マジでこの価格でこの音が出るの?(@_@;)というポジティブな印象が割と先に来ます。同じポップな見た目の安価なインターコネクトケーブルでも、良くも悪くもコンシュマーユースに向けたキャラクターと世界観を強く感じさせるCHORD C-lineより、Oyaide NEO d+RCA classB NEOの方がサウンドモニターとしては普通に音質が良いと思いますし、ケーブルによるデフォルメの少ないストレートでまともな音がします。
オレンジ色のclass A rev.2は導体が102SSC。PCOCC-AやOFCよりもナチュラルで暖かく闊達なサウンドか得られそう。
DJ機材向けですが高品位。PCオーディオにもお薦め
Oyaide NEO d+RCA classBは、エントリークラスの機器の中でも特に、ハイ上がりのピーキーなシステムにでは無く、やや混濁気味で解像感が甘い傾向のPCオーディオや、配線の引き回しが長くなりがちなライブスタジオの機器等で活きるシャープネスに振った音作りが為されている様に感じます。ピュアオーディオ的に練られたハイクラスのオーディオ製品に繋げなければ空間再現力面での弱点も目立ちにくく、鮮度感、明瞭感については価格以上の効果を得られそうです。Oyaide NEO d+RCA classB NEOが持つこの輪郭感と明快さはハイ落ち気味で解像度が足りず抜けの悪い機器で試して欲しい。特に予算の少ないエントリークラスのデスクトップPCオーディオでは心強い味方になると思います。オヤイデ製品と云う事で、高級オーディオ的なブランドイメージは余り良くないかも知れませんが、そういった変なバイアスを抜きに、素の音質と実用性で比較したら、Oyaide NEO d+RCA classBの価格以上のポテンシャルが見えてくる筈。そしてこのくらいの実売価格でまともな音がするRCAケーブルって実は他にあんまり無い。ですので特に機器付属の赤白ケーブルの音しか知らない人には、先ずは高音質ケーブルの入口としてOyaide NEO d+RCAにチャレンジして欲しいかもです。※管理人は暫くの間デスクトップPCオーディオで使ってみることにしました。
片側3.5mmステレオミニ プラグのNEO OYAIDE d+MYR ClassBもあります
先日、片側が3.5mmミニプラグタイプとなるd+MYR classBも発売されました。DAPやポータブルDAC等々を、それなりにまともな音質でオーディオアンプに繋げたい時、音質の割に価格も安価ですし、d+MYR classBでしたら外でもラフに扱えてなかなか重宝しそうですよね♪