【デザイン】オーディオは見た目が全て!?【外観】

オーディオは見た目!な~んて言説が、以前にTwitter(X)の一部ハイエンドオーディオマニア界隈でまことしやかに叫ばれていた事があり、なんだこりゃ!?と、内心訝しく感じている方々も少なくないよな~゜゜(´▽`。)°゜。な~んて思っていました。ただ、個人的には苦笑いしつつも内心同意できる部分もあるっちゃあるので、今回はそれについて個人的な考えを述べてみたいと思います~゜゜(´□`。)°゜。

この話、一見すると思い込みによって無関係の事象を混同したオカルトにも聞こえます。もちろんオーディオ機器にとって最も大切なのは「音質」そのものであって、見た目、外観などはあくまで副次的要素に過ぎにいのはエンジニアリング的にはド正論。電気工学的な観点からは至極真っ当な考え方ではあります。それは当然の前提として、そもそも、外観・・・デザインと音質の間に何らかの類似性は存在しないのか?オーディオマニアの立場から語る場合、実は経験則からこの言葉にはそれなりの真理が含まれているようにも感じています。

CREEK Evolution-CD ONKYO A-1VL audiopro Image12 DALI MENUET
Index

プラシーボ効果

そもそも、「オーディオは見た目と同じ音がする」・・・ような気がする原因の一つに、個人差はあれ、人間は大なり小なり視覚情報に音の印象を引きずられると云う無視できない事実があります。これは、味覚に於いて、お皿と盛り付け、テーブルセット、室内の雰囲気で料理の味わいが大きく変わって感じられるの同じ。広義のプラシーボ効果のひとつの形として、人間が人間である以上、聴覚にも視覚情報等々の干渉があるのは生理的に致し方ない部分です。

経験則からの実感

しかしそういった錯覚とは別に、「利き酒」もとい「利き音」が出来ると思っているオーディオマニアの場合、聴覚以外の視覚的影響を排除しても尚、音質と機材の外見には関連性がある様に感じられる部分があると云えばあるのです…(ρ゜∩゜)

実際のところ「利き音」の能力についてはかなり個人差があるとは感じています。それでも試行錯誤を伴うオーディオである程度の経験値を積むと、様々な素材音(固有の振動周波数)の傾向とその重なり合いが、ある程度、スピーカーや機器、アクセサリー等の見た目や構成部品の触感から類推できる様になって来ます。つい忘れられがちですが、人間が体験できる最終的な音響とは電気信号ではなく、あくまで振動の重なりであって、リスナーは機材を通して複雑怪奇な振動モードのあらゆる干渉を受けて変調した結果を聴くことになる訳です。

その結果、実際に聴いてみて予想通りの音、要は見た目と音質がそれなりに一致しているケースが割と「あるある」と云う現象を、長年オーディオをやっていれば少なからず体験することになります。もちろん、見た目の印象とは大きく異なる傾向の音質の場合もあり、事前のイメージから来る予想を良い意味でも悪い意味でも裏切られるケースはままありますので、あくまで「色々触ってみるとそういった傾向がある」程度の話ではありますけれども…( ̄▽ ̄;)

特にスピーカーは音響的に箱の素材やサイズ、各ユニット及びトゥイーターの素材音が直接震動として盛大に音に載ってくるため、他のコンポーネントやアクセサリー類と比べ、より顕著にイメージを掴みやすいと思います。※スピーカーの箱や機材の筐体を軽くコンコン叩いた時の音なども、音色傾向を把握する手助けになります。

これがあくまで見た目の印象に引きずられた思い込みであれば、事前の印象からイメージしていた音質になることはあっても、想定外の音質になることは無いはずなのですけれど、実際には想定外の思っていたのとは違う音質傾向・・・音の成分が、多かれ少なかれ聴き取れる場合が普通です。それが事前の想定よりも思いのほか良い音になる場合もあれば、その逆にガッカリするケースもあるのですけれど、経験値が積み上がるにつれ、事前予想が当たる範囲と確率がより高まるような印象です。※個人差はあります。

オーディオメーカー側の思惑

メインストリームにあるオーディオメーカーの製品になると、ある種の時代的トレンドに従った洗練されたデザインと高級感が演出され、メーカーそれぞれのブランドイメージ毎に、オーディオ機器特有の、所有欲を満たすに相応しいデザインと質感を纏って商品化されています。多くの場合、グレード別の製品展開により、外観からも音質傾向のイメージが伝わるよう、一定の共通したデザインコンセプトを持たせています。※音質の違いが良く判らない買い手に対してアピールする際も、見た目の差は明確に判るといったビジネス的側面もあると思います。

メーカーが機材を開発する際、先ずは設計エンジニアの主観的な音質的イメージに始まり、回路を組み上げて、その理想的な音質イメージをより良く実現させるために、選択可能な部品と開発コストの制約の中で、様々なパーツの組み合わせを試行錯誤します。そして、その音のイメージを形にする中で、意匠デザインについても、そのエンジニアの理想のイメージにマッチしたデザインコンセプトをデザイナーに伝え、細部を詰めながら製品化していきます。

特にピュアオーディオ製品を開発する際、根本的な音質、設計、デザインコンセプトについて、開発チームの中にいる一人の中心人物によってイメージが具現化されていくのが一般的だと思います。結果、音質のイメージと外観のデザインについても、一人の開発者の絶対的な好みとイメージが凝縮され、様々な制約の中で可能な限り反映されたものになりがちです。

ARCAM アーカム_ピュアオーディオ

特に殆どが比較的小規模な海外メーカーでは、設計者が経営者で外装デザインまで事実上兼ねていることもありますし、音決め、回路設計、意匠の決定に至るまで、チーフエンジニアの意図が強く、見た目からして、だいたいこんな傾向の音だよねってのが、外野から良くも悪くも丸分かりになっていたりします。

日本製のオーディオ機器

その昔、日本の大企業がこぞって物量投入型のオーディオ製品を開発競争し、オーディオ機器が巷に溢れ、年一でモデルチェンジしていた時代の話です。サラリーマン分業が過ぎたのか、同一メーカーの開発時期が同じ同デザイン製品にもかかわらず、スピーカー、アンプ、CDプレーヤー、カセットデッキ等々、機材毎の音質傾向がまるで違うなんてことが普通にありました。同じなのはフロントパネルの意匠と、カタログ上のデザインコンセプトだけみたいな。大手では価格ラインナップ別にチーフエンジニアが異なるケースは普通にありますし、その辺り、上から下まで一人が全てを決定する海外メーカーとは、デザインコンセプトの一貫性の面では本質的にあまり当てにならないかも知れません。

ONKYO TX8050

そんな海外勢に比べ企業としては遙かに大きな日本のオーディオメーカーも、国内のオーディオマーケットが縮小した今となっては、設計チームはリーダーを中心におそらく数人。意匠デザイナーを含めてコンセプトを可能な限り共有しながら製品化を進めるでしょうから、オーディオ機器は本質的に作り手側の個人的な価値観が色濃く反映されたものになりがちです。或いは、LUXMANの音、Accuphaseの音、MARANTZの音、DENONの音、YAMAHAの音と云うように、マニアであれば一聴して判別出来る個性、メーカーのフィロソフィとなる音質傾向に一貫性を持たせるため、そのブランドの味、個性をもたらす特定回路や部品を共有した上での開発をしているはずです。

結果、開発規模が小さく、販売量もたかが知れているオーディオ機器は、設計者の音楽に対する価値観、音質的趣向、好み、はたまた人格等々までが製品化に至るまで影響力を持つため、つまるところ外観もそのまま作り手の好みと個性を反映したものになりがち。結果的にオーディオの音質と見た目の間に、ある種の共通点、類似性と相関関係が生まれているのだろうと考えています。

見た目が好みの製品は≒良い音がする事が多い

先ず、これはあくまで個々人それぞれにとって、好みの見た目である事がポイントになります。一般論として客観的に好ましいデザインや、そうでもないデザインは色々あると思いますし、確かに、誰が見ても作りの良さそうな、高級感のある隙のないデザインの製品からは、客観的視点から観ても高音質である場合が多いです。

とは云え、その外観と音質が個人の好みに於いての好き嫌いにどれだけ刺さるかはそれこそ三者三様です。例えば僕自身の好みで云うと、大きくて重い威圧感を伴う佇まい、精度が高く隙の無い金属的な質感と重厚感のあるデザイン、或いは如何にもギラギラとした派手なデザインなどは、客観的な音質評価は別として、主観的にあまり好みではありません。そういった機材は、音質の良さを客観的に評価できる場合でも、個人的に欲しくなるほど心に刺さる事は不思議とあまりありません。それだけなら未だ良いのですが、得てして見た目がそもそも苦手な製品は、出音も同様に、どうにも生理的に受け入れがたい鳴り方をしたりするものです。

世の中には、高級外車が好きな方、大柄のステーションワゴンやSUVが好きな御仁もいれば、セクシーなスポーツカーが好きな方、トヨタのクラウンやプリウスが好きな方々・・・等々色々な好みがあり、それは本質的にオーディオ機器のデザインや音質傾向についても同様です。

これはあくまで僕個人の趣味趣向の話に過ぎませんが、心に刺さる良い音を奏でてくれる製品の多くは、小さく、華奢で、少々古めかしいくらいの古典的なデザインで、それほど高価そうにも見えない、少しばかり地味でチープかも知れない、そんなオーディオ機器である事が多いです。車で例えるなら、MiniやFIAT500、小型のフランス車、国産であれば昔流行ったなんちゃってクラシックデザインの軽自動車、そういったコンセプトの車に通じるイメージです。

audiopro Image12 Vienna Acoustics Mozart Signature T-2

自分が求めている心の琴線に触れるような好みの音質傾向を持ち、傍らで心地よい音楽を奏でてくれる機材を振り返ってみると、おしなべて上に書いたようなデザインコンセプトの製品が結果的に多くなるのです。変な話、音の好みで選んでも、はたまた見た目の好みで選んでも、入口は違えど辿り着く製品は結果的に同じになってしまう感じです。

当然、オーディオも車もその他でも、僕個人とは好みがそもそも違うタイプのリスナーは大勢いて、作り手側のこだわりも同じく三者三様ですから、個人個人が感覚的に自分の趣味に合う、コンセプトに共感できる見た目の製品を選ぶことこそが、それぞれが主観的に感じる良い音のオーディオ機器に出会える為の肝になってきます。

回路のデザインにも作り手の美意識は反映される

回路が読めない場合でも、オーディオ機器の筐体内部で参考になる点として、回路の見た目的な美しさがあると思います。美しい回路・・・といっても好みは様々でしょうが、僕の場合は部品点数を抑えた極限までシンプルでシンメトリカル、ごちゃごちゃとした配線の引き回しをなるべく廃した回路設計が好みで、シンプルを極めた結果として箱の中身がスカスカでも余り気にしません。

Aura アンプ

逆に大きなコンデンサやトランスなどの部品を沢山並べたいかにも高級そうな回路が好みの御仁、ごちゃごちゃしていても細かい部品が沢山詰まった物量投入機にひかれる方々など、その辺りの好み、美意識は価値観によって人それぞれだと思います。一般論としては概ね、コストを掛けたハイエンド製品は内部回路のレイアウトも論理的で整然と見目麗しいものが多く、伝統的に日本製品はやたらと内部配線の引き回しが多く、基板上でも細かな部品を多用する傾向にあります。

自作派、ガレージメーカー独特の美意識

工学的興味からオーディオにアプローチされている自作派の技術マニア系の皆さんの場合、伝統的に一にも二にも回路設計ファーストって感じで、ともすると見た目的にはこれどうなん?ってアンプやスピーカーが昔から跳梁跋扈wしています。ガチめの技術屋さんが自ら起業されたガレージメーカー等の製品群も、見た目には如何にもなピュアオーディオ製品が数多くありますし、敢えてメカメカしくデザインの色気が無いのが、むしろ良い意味で趣味性の証左と言えなくもなく、それはそれでエンジニアリングファーストらしい独特な魅力を放っているのも事実です。

デザイン優先のオーディオ機器への所感

これについては、本格的なオーディオメーカーが開発するそれなりの価格の製品については、管理人的には概ね肯定的な印象を持っています。昔から、一例としてやLINNARCAMAuraB&WBOSE、日本製品でもSONYDENONLUXMANの一部ラインナップなど、ライフスタイルオーディオをコンセプトに、省スペースでデザインコンシャスな製品群を作って来ました。コスパの面からすると性能に対してお高めになる製品もありますが、優れたデザインとピュアオーディオとしての本格的な音質を兼ね備えていますので、「音楽のある生活空間」にあまりメカメカさやマニアックな雰囲気を持ち込みたくない場合、こういった製品の中からお好みのデザインの物を選ばれると、高確率でより充実した音楽ライフが送れるようになると思います。

EX-A1 EX-A5 Victor JVC

但し、あまりにもデザインコンシャスな製品群になると、今度は本格的なオーディオメーカーではなく、デザインプロダクトとしての商品企画がメインで、中身が伴わない商業的参入による製品が占める割合が圧倒的に多くなります。多くの場合、お値段も本格的なオーディオ機器メーカーの製品に対して安価。ネット通販や一般の家電量販店、はたまた雑貨店や家具店などの目につく販路にあるため、一般人が出会い、買ってしまう確率か圧倒的に高いのはこちら。但し、見た目だけで肝心の中身は安っぽく、オーディオマニアには存在そのものが殆どスルーされています。

Bang&OlufsenGallo AcousticsSCANDYNAなど一部にマニアに認められた例外的な製品もあります。しかし、特に数千円~1万数千円程度の良く判らないメーカーのこの手のデザイン雑貨については、音質にコストがかかっていない、深く考慮されていないものが大半を占めます。その結果、せっかく音楽を聴いているのに、アーティスト達がアルバムに本来込めた表現の表層をなぞるだけで、リスナーにとっては深い音楽体験が出来なくなると云う見えない弊害をもたらします。音楽を聴くための選択肢としては、なるべくなら避けて欲しい。。。もし既に使っていらっしゃる場合には、是非、より本格的な音楽を浮き上がらせる実力のある、まともな製品へステップアップして欲しいと思っています。

~まとめ~ オーディオ機器選びで失敗しない秘訣

オーディオ機器の意匠デザインには、意識的に出あれ無意識的に出あれ、制作者自身のフィロソフィ、音質的好みや性格が如実に反映されている場合も少なくなく、結果として逆説的に外観と音質傾向との共通点が多くなってしまうのだとも云えます。

リスナーも、様々な機器を聴く経験を積む事で、ある機材を聴く前から、デザインが醸し出す雰囲気、構成される素材感から、たぶんこんな感じの傾向の音質になっているであろう事が多少なりとも類推できるようになって来ます。個人差はありますが、人間には本能的に、更に其処へ経験値を加える形で、視覚を含めた語感、聴覚以外の情報からも、どんな音がするのかを類推する能力が元々備わっているのではと感じています。それが無いと楽器を作ったり、調音したり、良い音で演奏したりは本質的に難しいはず。

それらを踏まえた上で、結局のところ、ワクワクする、好みのスタイルが個々人にあって、良い音質やオーディオ機器の価値基準もそれぞれ皆違います。オーディオ機器選びで色々と情報を集めて考えた結果、スペック的にも価格的にも現時点でいちばん良さそうではあるけれど、内心実は見た目が好きじゃ無い!って心の声は、案外、機材導入の最終決定に於いて無視してはいけない、未来の結果の正否を予見するポイントになるかも知れません。

ネット上の他者の評判やメディアの宣伝評価にあまり惑わされず、何よりも、音質のみならず、外観も含めてトータルデザインのコンセプトに於いて真の好み・・・感性にマッチする製品を選ぶこと。「見た目」含めて御自分の趣味に合った、あなたに似合う機材を選ぶことこそが、オーディオ機器選びで下手な遠回りをせずに、幸せになれる確率が上がる方法だと思うのでした。

  • URLをコピーしました!

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは! しばらくお見かけしてなかったので心配してましたが、元気そうでなによりです。

    個人的には(推しの)CambridgeAudioのデザインは単調ではありますが、国産オーディオにありがちな演出過多かつギラギラしたものがなく清潔でシンプル、音も中国生産品にありがちなチープさはなくナチュラルで素直といった印象があります。きっと開発側もそういうものを狙ってデザインしているのでしょう。あくまで主観ですが。

  • コメントありがとうございます!

    Cambridge Audioの角を丸めたプレーンなデザインは、確かに音質のイメージと一致していると思います。僕は一昔前のSirocco S30 スピーカーを使っていますが、これのデザインと箱の質感も音質から受ける印象を見事に体現していて好感触です。

コメントする

CAPTCHA