Black Cat Cable Silverstar!75 デジタルケーブル導入記 前編

【Black Cat Cable Silverstar!75 デジタルケーブル導入記】
前編|後編

今回は今年に入ってから管理人のメインシステムで主役の座を射止めたデジタルケーブルを紹介します。その名はBlack Cat Cable Silverstar!75。Black Cat Cable / Stereolab・・・ハイエンドケーブル界隈では名の知られた米国のデジタルケーブル開発者で、旧Stereovoxの創設者で現Stereolab代表のChristopher Sommovigo・・・クリス・ソンモヴィーゴ氏自身のハンドメイドによる75ΩRCA/BNCデジタルケーブルです。

Black Cat Cable Silverstar! 75

Silverstar!75は、管理人が長年愛用しているRCAケーブルStereovox HDSE繋がりで、何年も前から欲しかったデジタルケーブルでした。白く細い外観が個人的に惹かれるとは云え試聴する機会も無く、紙面等でのレビューもStereovox時代の旧機種とは異なりどういう訳かそんなにありません。値段もぱすてるんが使うケーブルとしてはかなり高額になる部類(定価32400円)でもあり、何年も購入に至らないまま指をくわえて眺めていたところでした。

そんな時、Twitterでお世話になってる某有名レコード店の店長さんが、丁度御自宅のシステムでSAEC DIG-4000Mk2、PAD DIGITAL TANTUS RCAなどのハイエンドデジタルケーブルの音質比較をされ、その結果Black Cat Cable Silverstar!75が音楽性が高くて一番好みだったとのツイートをされていて、それに触発されてDMで色々と細かな相談を聞いて貰った上で、購入を決断してしまいました…( ੭ ・ᴗ・ )੭♡

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Black Cat Cable デジタルケーブルの歴史

クリス・ソンモヴィーゴ氏のデジタルケーブル開発歴はとても長く、特注のMILスペック導体を採用しつつ完全75Ωにこだわったデジタルケーブルとして、90年代にIlluminati Data Stream Reference / Kimber Cable D-60デジタルケーブルの設計開発で名を上げ、98年には独立して声楽家のトニー・デ・アルメイダ氏とともにフロリダ州でハイエンドケーブルメーカーのStereovox社を設立。その間にデジタルケーブルStereovox HDXVXV2とモデルチェンジ、2006年にStereovoxが頓挫するもその後Stereolab社を設立。Stereolab/Black Cat Cableブランドとなってからは、XV2の後継モデルとしてVeloceを開発。その後更にVeloceを改良してSilverstar!75をリリース。2015年には生産拠点を米国から神奈川県湯河原町に工作機械を持ち込み移住。このままずっと日本でBlack Cat Cableを続けられるのかと思いきや、今年(2018年)からまた米国ジョージア州に戻り、現在は再び現地で新製品シリーズの各種ケーブルとSilverstar!75MK2を製作されているようです。

デジタルケーブル開発の流れとしては↓こんな感じです。

1992~ Illuminati DataStream Reference
1994-95~ ILLUMINATI Dataflex Studio / Kimber Cable D-60 (Kimberが代理店となって改名)
1995-97 Kimber DV-75、V-21
1999 Stereovox設立
2003~ HDXV
2005~ XV2
2008 Stereolab / Black Cat Cable設立
2009~ Reference XV-Ultra (Tronクラスの上位モデル)
2010~ Veloce
2012~ Silverstar!75
2016~ Digit 75
2018~ Silverstar!75 MK2

Chris Sommovigo氏が設計した一連のデジタルケーブルは世界的に知名度が高く、米国では優れたデジタルケーブルのリファレンス的な存在でもあります。Kimber Cable時代のD-60デジタルケーブルは銀単線でしたが、2003年のStereovox HDXVから現行Silverstar!75MK2迄はデジタルケーブルに同じMIL規格の銀メッキ銅の導体がベースとして使いつつ、構造的なモデファイを繰り返しているようです。

実はこのSilverstar!75、再び細部の仕様が変更されたMK2モデルが春に発売されたばかり。従来薄ら白く透けたテフロンで絶縁されていた銀メッキの細い導体にもう一重の銅シールドが加わり、更に赤黒カラーのマルチフィラメントナイロン網組シース(日本製らしいです)にくるまれ、また上位モデルDigit 75で使われていたRFI除去材の簡易バージョンが新たに追加されています。

初代に対する改良変更点が大きい割に、値上げ幅が僅かで販売価格に極端な差が無く、正直なところ新旧どちらにすべきか迷いましたけれども、元々はSilverstarの命名通りの白いケーブルに憧れていたのと、MK2の上位モデルDigit75と同じ赤黒シースが見た目的に少々好みでは無くなってしまった事もあり、今回は旧型の残り在庫が無くならないうちに敢えて初代Silverstar!75を駆け込みで入手した形です。

【初代Silverstar!75のスペック】

・純銅銀メッキの導体に、エクスパンド・テフロン絶縁体採用。
・オリジナル仕様に基づき特注された、米国内の軍・航空宇宙産業用の線材を供給するメーカーが製造するMIL規格線材を使用。
・広帯域4GHz,HDTVグレード75ΩBNCコネクター。
・デジタル/クロック/コンポジット映像信号等々の伝送に対応
・BNC-RCA変換アダプター付属

導体については米国製の銀メッキ純銅線と書かれているだけで詳しい構造や仕様は全く以て不明なのですが、実際に触ってみると(屈曲性は良くありませんが)案外と柔らかい印象。手持ちのStereovox HDSEは中空銅単線でかなり針金っぽい硬さがあり、Kimber D-60が銀単線でしたのでてっきりこちらも単線ケーブルなのかと思っていましたが、触った感じ中心導体そのものは単線ではないのかも?

Black Cat Cable MA recordings

Black Cat Cable Silverstar!75 音質レビュー

Silverstar!75の最大の特徴は、束縛感が無い開放的な空間に展開されるナチュラルな肌触りの音像、そして適度な弾力が生む躍動感と明るさでしょうか。音像は比較的絞られた傾向にもかかわらずエッジの輪郭強調感は全く無く、生成りの質感で耳当たりが自然。アタックは優しい傾向。ストリングスはしなやか。音色は銀コート線らしく脱色された白系統ですが艶消し系。温度感は仄かな温もりのあるニュートラル基調。シールドが最小限のためか空間の抑圧感が感じられない代わりに聴感S/Nはイマイチか。解像度番長のAcoustic Revive DIGITAL-1.0R Triple-C FMに比べると音数そのものは少なくなります。高域方向は耳当たりが良いのですけれど、ヴァイオオリンの帯域などは粗さも(注:これは変換コネクタの問題っぽい)。新品時は銀系の付帯音的な響きが纏わり付いて細かな動きがマスキングされている印象があったのですが、エージングが一週間程経過した後は、どちらかと云えば響きが少なめでデッドな傾向の、演奏のタッチの違いが判りやすい音色傾向に落ち着きました。この辺りはStereovox HDSEと良く似ています。

Silverstar!75

バランスとしては中域中心。空間の広がりと上下の伸びは、隅取りされたりロールオフすること無く自然に薄まるように減衰します。中低域~低域もまあまあ。高域はほんのりデッド気味。陽性の躍動感に加え、音像の集中力と音楽的な把握力が高く、自然と演奏の機微に引き込まれる音楽性の高いデジタルケーブルです。後付けで演出した感じの胡散臭い音楽性では無く、元演奏の生命感を素直に引き出してくれる印象。長時間聴き続けても疲れない歪みの少ない音でもあります。

問題点としては、音楽的には明らかに望ましい方向に向きつつあるのですけれど、オーディオ的な音質ではAcoustic Revive DIGITAL-1.0R Triple-C-FMの解像感やシャープな輪郭に魅力がある点。リプレイスした結果として音質面では音数や透明感の面でやや食い足りなくなってしまった感が否めず。S/Nも問題で、なんだか空間に薄っすら白いベールがかかっているようなイメージ。今回相談に乗っていただいた音盤組合の某店長さんの話では、Black Cat CableのデジタルケーブルにはオプションのXOX75 BNC-RCA変換アダプタが必須で、換装すると本来のポテンシャルを発揮するとのことでしたので、付属のBNC-RCA変換アダプタで2週間ほど使ってから結局XOX75を追加発注する事になりました。これで総額が29K+追加15Kで結局予算を大幅に超過する44Kががが・・・(^◇^;) と云うことで、次回は「Black Cat Audio Cable Silverstar!75 デジタルケーブル導入記 後編 XOX75追加!」をお送りしたいと思いますd(^_-)

【Black Cat Cable Silverstar!75 デジタルケーブル導入記】
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