今回はFURUTECH ADLの完成品電源ケーブルAbsolute Power-15 Plusのレビュー。オーディオグレードの電源ケーブルとして普及価格帯~中級機向けのボリュームゾーンに作られた、FURUTECHを代表するロングラン製品の一つです。
このAbsolute Power-15 Plus。実は管理人が長年愛用している上位モデルのFURUTECH Absolute Power ll-18と全く同じ導体FP-3TS20が採用されていて、前後の電源プラグのみ、FURUTECHの低価格モデルが採用されたコストダウン&お買い得バージョンでもあります。
Absolute Power-15 Plusの音質傾向について
ある程度Absolute Power ll-18(工事中)とは似た部分のある音質で、クオリティ的には上位モデルのスケールダウン版的な印象。比較すると低域の深さや響きが溢れてたゆたう感じが薄れている反面、中高域に明るさのあるチャーミングで快活な音色で、音像は滑らかながら、少しだけ骨っぽくタイトな傾向も見えます。歪みっぽさが無いのに高域方向の分解能は高く、ボーカルのサ行は少し目立つタイプですので、音が前に出て来る割りに位相が崩れる感じはせず、奥行き感も程々に確保されています。
ピラミッドバランスのAbsolute Power ll-18と比べ低域は浅くなり、帯域バランスがよりニュートラルに近く、欧州製オーディオで聞き慣れた感じの無難な音質傾向と云いましょうか。。。FURUTECH e-TP60の大元に使用した場合の相性は、Absolute Power ll-18よりも、Absolute Power-15 Plusの方がむしろバランス的には合う様に感じます。
Absolute Power-15 PlusとAbsolute Power ll-18の違い
導体は双方同じFP-3TS20。14AWG α-導体(断面積:2.16 Sq.mm)×3。長さのみ1.5m/1.8mと違います。FP-3TS20は切り売りされているFURUTECHのロングセラー高級電源ケーブルで、確か2000年代半ばには存在していた記憶があります。これ、ぱっと見5.5SQや5.5SQを想起させる14.1mmの極太導体ながら、中身は2.16SQ。経験上、導体が細めの電源ケーブルは低域方向が薄くなるのがセオリーなのですが、Absolute Power-15 Plusと特にAbsolute Power ll-18は、見た目の太さ通りに十分な低域方向の厚みが確保されていますので、何だか不思議な感じがします。
※一例として、PS Audio XPD/1.8mk2 xStream みたいに見た目は極太にもかかわらず、低域の厚みが思ったほどでは無く、パッシブ且つ神経質な音色の電源ケーブルもありますので、見た目からくるプラシーボ効果ではありません。
採用電源プラグ、インレットプラグによる音質差は想像以上に大きい
プラグの接続部はFURUTECHの高品質な電源用ロジウムメッキY端子でカシメられています。一番の違いは前後の電源プラグで、
こういった仕様になっていますが、前後のプラググレードが単に異なるだけで、思いのほか音質的な高級感と聴感上のバランスは異なってきます。※後日別でレビューしますがAbsolute Power ll-18はピラミッドバランスで、同じロジウムメッキながら高域方向はよりマイルドになり全体的に太くどっしりとしたイメージです。対してAbsolute Power-15 Plusの方がよりニュートラルでタイト、バランス的にもバーサタイルな性格です。Absolute Power ll-18は音像がファットで全体的に柔らかめの音色ですが、Absolute Power-15 Plusは膨らまず、何処かゴリっとした印象も見え隠れします。そしてこれらは本質的に電源プラグFI-15M Plus(R)/FI-15 Plus(R)の持つキャラクターによって生み出される音質傾向の違いと云えそうです。
電源プラグとインレットプラグの違いのみでこれだけの音質差が出るのは正直驚く部分ですが、裏ワザで、DIYが可能な方は、プラグ交換によって後からAbsolute Power ll-18相当にグレードアップすることも可能です。予算の都合でAbsolute Power-15 Plusを導入された場合、後々プラグのグレードアップを視野に入れると一粒で二度楽しめると思います。※あくまで自己責任ですので、分解した場合にはメーカー保証外になる点はお忘れなきよう。
FURUTECH The Astoriaとの違い
↓のエントリは FURUTECH The AstoriaとAbsolute Power-15 Plusとの音質比較レビューです。
FURUTECHの電源ケーブルは、 The Astoriaをはじめ、普及クラスの同じような価格帯に3種類の異なる電源ケーブルがあり、どれを選ぶか悩ましいところ…~゜゜(´□`。)°゜。
上の3つは設計の時期が異なり、Absolute Power-15 Plusが最も古く、The Odeonが最も新しく発売されたものになります。
~まとめ~
PC-Triple CのThe AstoriaとThe Empireが発売された際に、旧モデルのAbsolute Power-15 Plusはディスコンになってしまうのかと少々焦りました。しかし採用している導体がそれぞれ異なり、音質傾向に根本的な違いがあるからか、嬉しいことにこれらは今でも併売されています。オーディオアクセサリーは相性が何より大切な世界。個別の異なる環境下で、より安いモデルや古いモデルが必ずしも劣るわけではありません。設計が古いμ-OFC導体のFP-3TS20の持つキャラクターがマッチしそうな場合には、敢えてAbsolute Power-15 Plusを選択することは、今でも十分視野に入ると思います。
とは云え、FI-15系電源プラグ/インレットの音質がボトルネックに感じる部分が全く無い訳ではありません。よって更なるクオリティアップを狙うために、DIY自己責任ではありますが、将来的に上位グレードの電源プラグへの換装等を個人的には視野に入れたいと感じます。