【ONKYO DAC-1000 D/Aコンバーターの実力レビュー】
その1|その2 |その3|その4|トラポ前編|トラポ後編
お待ちかねのPCトランスポート編です。このブログをご覧になっている方の多くは、DAC-1000をピュアオーディオシステムに組み込む以上に、PCオーディオ用途ではどうなのか?という部分に興味をお持ちでは無いかと思いますので、ここからはPCオーディオのDACとしてどうかについて詳しく語ってみようかな~と♪
まず、DAC-1000のデジタル入力は、S/PDIFの同軸・光・XLR接続以外にもUSB入力をサポートしています。このUSB接続はアシンクロナス転送方式を採用していますので、他の一般的なUSB-DACに比べて音質的に有利とのこと。アシンクロナス転送とは、ONKYOが世界で初めてコンシューマー機器で実用化した伝送方式で、デジタルデータのクロックをジッタが多いとされる送信側のPCに頼らず、より時間軸精度が高く外来ノイズ対策も施された受信DAC側のクロックを使い同期する方式です。よってシンクロナス方式を使う通常のアイソクロナス転送よりも送信側に起因したデータエラーが少なく、音質的にもより有利な転送方法となります。
一部の高級なピュアオーディオ向けD/Aコンバーターの中にはUSB入力だけを内部回路で簡易的なDACに送り込み、多入力のD/A変換系統と別扱いになっているモデルがあったりしますが、DAC-1000の場合その様なことはなく、入力端子によって対応可能なサンプリング数の上限に違いはありますけれども、基本的な音質はUSBでも他のデジタル入力と同レベルの品位を保った音質を得ることが可能です。ピュアオーディオ用途のみならず、PCオーディオ用DACとして最大限の能力を発揮させる事を前提に設計されている訳ですね。
と、あまり得意では無い技術的な前置きはこれくらいにして、DAC-1000とPCを接続した音はどんな感じか以下にレポートしてみます。
ノートパソコン Panasonic Let’s note CF-T2
2004年に購入してから7年間、管理人のブログ作成用サブノートPCとして活躍し、本年遂に故障が元で退役させたのですが、自分でバラして適当に修理した後、現在は予備機として&PCオーディオのミュージックサーバーとして使っています。OSはWindows XPでファンレス筐体。音楽データ自体は主に簡易NASとしてネットワーク上のルーターにUSB接続されたHDDに入っていて、CF-T2はそれを無線LAN(11a)で経由で読み込み、AudioGateやASIO4ALL/LILITHを通して再生するスタイルです。この方法の場合、音楽再生中にノートPC本体のHDDアクセスは殆どありません。DAC-1000を含むオーディオ機器のAC電源を、PCから物理的に切り離す為のバッテリー駆動も可能です。DAC-1000とはUSBケーブルで接続しますが、オンキヨーが提供する専用ドライバをインストールする必要があります。
個人的に非可逆圧縮することが大っ嫌いですので、音楽データの殆どは手持ちのCDをリッピングした無圧縮WAVデータになります。可逆圧縮データについては今後要検証と云うことで今回は対象から外します。加えてCDを超える高音質音源として、e-onkyo musicから(※当時DAC-1000購入時にサービスで貰った)クーポンで購入したり、以前に購入した24bit/96kHz(或いはDSD)のHD配信のダウンロード音源を使いました。接続に使ったUSBケーブルは以前にも紹介した極細タイプのiBUFFALO Arvel USBスリムケーブル AUS10WH、長さは1mです。
Panasonic CF-T2を使った場合の音質の印象としては、前述したCDプレーヤーの各トランスポートと比べて、おしなべて地味で大人しい印象になります。ロマンスグレー的な艶消しの暗めで落ち着いた音色。デジタルですのでパッと聴き始めの瞬間はCDトランスポートと何も違いが無いかのように聞こえたりするのですが、数分聴き続けているとトランスポートによって曲の印象が大きく変わるんですね。CF-T2を経由したサウンドはトーンが安定しているというか、色彩があまり派手にはなりません。モノトーンで淡々と音楽が流れる感じです。背景の情報量というか、ホールトーンについてはCDプレーヤーと比べてかなり少なくなっている印象。あと少し音像がぼやけて滲んでいる感じがします。音の輪郭もTOSリンクケーブルで繋げたC-S5VLの方が、エッジがシャープで聞き込むと響きの透明度が全く異次元な感じです。例えると水の中を覗き込んだ時に光が届いて見える水深が違う・・・そんな感じです。
ノートパソコン ASUS UL20FT
次に、ほぼ同条件でPCをレッツノートCF-T2から、次世代機として購入したばかりのASUS UL20FTにしてみます。OSはWindows7。残念ながらこちらはファン有り機です。ASUSは台湾のメーカーですが、多くの日本メーカーのOEMを手掛けている上に、PCオーディオ面ではデンマークのBANG&OLFSEN ICEpowerとコラボレートして高音質PCを発売するなど、音質には少なからずこだわりを見せているPCメーカーです。データアクセス方法、接続方法その他はCF-T2の場合と同様。モバイルCULVノートPCですので当然ながらバッテリー駆動。無線規格のみ11aではなく11gになります。
こちらもPCオーディオですから、音質は殆ど同じ~と言ってしまいたいところですが、現実にはCF-T2とは全然異なる音傾向でした。ASUS UL20FTの音は中域~が少し張り出してくる感じで、CF-T2より直接音の密度が高くエネルギー感があります。比べるとアナログっぽいタッチのウォームで濃厚なサウンド。Hi-Fi性ではCF-T2の方が上かもですが、こっちの方が聴いていて楽しいかも♪でも音の透明感や高域方向の情報量が足りずナローレンジでローファイ気味。アナログにオマージュされた二昔前のCDプレーヤーみたいな音質。特に空間情報量はCF-T2よりも更に整理される方向ですので、素直に高音質とは残念ながら言い辛い感じです。
ブログ製作用のノートPC ASUS UL20FTを購入した話。
Bang & Olufsen A8は管理人が外歩きをする時のリファレンスイヤホン♪
ASUS UL20FT無為湯のPCサウンドは、残念ながらB&O ICE Power製品のアバンギャルドでメタリックな燦めきサウンドとは似ても似つかぬ方向性でした…( ³△³ ).。o
デスクトップPC HPヒューレットパッカード d330 改
う~ん…(謎) 上記二つのモバイルノートよりもワイドレンジで情報量は多いんですが、それ以前にもわっとしてS/Nが悪くね空間が雑然としています・・・。粒子状の情報量なのかタダのノイズなのか訳がわからないかも。音質に多大なる悪影響があると云われるグラフィックボードが2枚刺さってる上に原形を留めないくらい改造が進んだ機体ではありますけれども、デスクトップPCってもしかしてPCオーディオ用途には最悪なんじゃ???と勘繰りたくなってきました・・・(苦笑)
な~んてわざとらしく驚いてみたりしますが、ぶっちゃけある程度予想はしていたのです。以前PCオーディオを特に何も考えずにデスクトップPCで組んでいた時は、PCオーディオって音質酷いよなぁ・・・こんなんで喜んでいる人達可哀相・・・とかモニタの向こうで高みの見物をしていた訳なのですが・・・(≧Д≦)、初夏にメインPCをデスクトップからノートPCのASUS UL20FTに入れ替えた結果、実はデスクトップPCオーディオの音質が激変していたのであります。ノートPCにしただけですが、とりあえずすら聴く気にならない酷かった音質が、とりあえず聴けるくらいの音質にはなりました。
デスクトップで活躍中♪ ドイツ製の超小型PCスピーカーELAC CINEMA 2SAT レビュー
今回のエントリ、二日がかりで書いた長文でしたのに、更に大幅修正を迫られて流石に疲れました・・・。一応オンキヨーDAC-1000についての連続エントリは今回で終了です。その後もDAC-1000はかなり長い間販売され続けましたが、先だって流石に製造終了し、最近では中古でも値段が下がらないどころか新品の時よりもお高くなってしまって現代社会の悲哀を感じていたりします。もうこの価格帯でこれだけ物量投入されたDACは出てきそうにないですので。。。それはともかく、次回からのトピックは「PCオーディオはCDプレーヤーの音質を超えられる?」になりますので請うご期待♪
【ONKYO DAC-1000 D/Aコンバーターの実力レビュー】
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コメント一覧 (2件)
DDCによるデジタル入力とUSBの対比、またデジタル入力でCDPに対し遜色は如何とか色々興味あります。続きを楽しみにしています。
>DDCによるデジタル入力とUSB
これ、DAC-1000ではアシンクロナス伝送でリクロックしますので原理的にはたぶん無意味です。UD10.1自体の固有音とか、デジタルケーブルの違いによる音質差を敢えて創り出すことは出来ますが、シンプルイズベストでは無くなりますよね。どこまでがDDCの効果か、単にケーブルが違うから音が変わるのか判別できませんし・・・そもそもDDCってデジタルケーブルの銘柄違いと比較してももっと小さな差しか出ないです。殆ど精神衛生上・・・あった方が良いよね的な。Trends Audio以外のDDCでは違うかもですが、今のところスタイルオーディオやリンデマンのDDCを使われている人も効果は割と小さいってレビューが多いですよね。