【SACDプレーヤーONKYO C-S5VL 詳細レビュー】
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ONKYO C-S5VLには、他のCDプレーヤーやSACDプレーヤーではあまり搭載されていない、デジタルフィルターの特性を切り替える独自機能があります。デジタルフィルタという名前ですが、要するにD/A変換された直後のアナログ信号波形をフィルタリングするLPF(ローパスフィルタ)の事なのかな・・・?。この高周波遮断特性等をユーザー側が好みに応じて任意で切り替えることで、聴感上のニュアンスが異なる音質を得ることが出来ると云う仕様。あれ?それってアナログフィルタじゃ???←私は技術音痴ですのでもし間違ってたら突っ込みお願いします。
C-S5VLの場合、PCM入力側に5パターン、DSD入力側に4パターン+バイパス(DSD DIRECT)と、CD(注:1)とSACDでそれぞれ5種類の特性を適用することが出来ます。尚、このデジタルフィルターはD/A変換された直後のアナログ信号へ適用されるものですので、C-S5VLをトランスポートとして使う・・・『同軸デジタル/光TOSでS/PDIF信号を取り出す』外部デジタル出力側には無関係だそうです。(注:取扱説明書の説明と矛盾してると思ったので電凸確認したのですが↑回答されました・・・。)
ところでこのデジタルフィルタ切り替え機能。なかなか変化が微妙といいますか、違いが判らない方も少なくないのでは思います。正直オーディオマニアとしての自信を失いかけるといいますか、遊びと云うよりピュアオーディオの存在意義を突きつけられているような感じかも知れません。銘柄の違うワインを当てるとかそういうレベルじゃなく、同じ銘柄で何年ものかを当てるくらいのシビアさ。オーディオメーカーの中の人ってば、こんな微細な違いを一つ一つヒアリングしながら定数や部品をセレクトしていくのね~と神妙な気分になったり・・・(@_@;) ともかく、このデジタルフィルタによる聴感上の変化を管理人なりにまとめてみました。あんまりじっくりとは聴いていないのであとで訂正するかも知れませんが、今感じているイメージとしては以下のような感じです。あくまで聴感上の印象であって、周波数特性やリップル特性表とは一致しませんので悪しからず。
PCM Filter1 | オンキヨーのデフォルト設定。バランス型。CDでもSACDのバランスに近くなるのですが、なんか音像のサーフェスが良く云えばきめ細やか、悪く云うともわっとしていて不思議な薫りを感じる音色。この音は正直苦手かも。 |
PCM Filter2 | ほんのりソフトな音で輪郭が緩い。ボーカル曲は伸びと柔らかさが出てこれがベター、繊細でニュアンス豊か。ナチュラルで大人しめ。歪みが少ない |
PCM Filter3 | メリハリがあって音像クッキリ、ハイ上がり。ワイドレンジで前後に音場誇張気味。明るく派手。高解像度なのに音楽性は高い。音源によっては鋭すぎる事も。 |
PCM Filter4 | フラットバランス…相対的に一番低域が出るフィルター。艶消し且つ落ち着いたウォームな音色で、なんとなくCREEKの音に似てるけど、音楽性は低め。 |
PCM Filter5 | 中域中心にカマボコ気味に張り出した快活でチャーミングな音。但し聴感レンジが狭くなる。情報量は多い。小型スピーカー向き? |
注:1 PCMフィルタはノーマルCD、Hybrid SACDのCDレイヤー及び、DSD>PCM変換されたSACDのDSDレイヤーに適用されます | |
DSD FILTER1 | |
DSD FILTER2 | 音像がクッキリする、線が細くなりわずかにメタリック? |
DSD FILTER3 | |
DSD FILTER4 | |
DSD DIRECT | 上品で響きが豊か、空間の微細な情報量が極めて多い。大半のSACDはダイレクトモードが圧倒的に高音質。 |
DSDフィルタはアンプで例えるとトーンコントロールを通した音。どれ使っても間接音成分が減退する。DSDは基本的にフィルタをバイパスしないと魅力が激減します。 |
ぞんざいですみません。 DSD DIRECTとそれ以外での差が大きいので、フィルタ適用時の音質を敢えてじっくり吟味する気にはなれませんでした。酷く音質が悪くてダイレクトモードで聴くに耐えないような極一部のSACD盤で、フィルタを敢えて当てる必要がもしかして出てくるかも知れませんが、殆どの盤ではDSD DIRECTがベストだろうと思います。
また、本来DSD DIRECTを選択している場合、PCM FILTERは無関係な筈なのですが、何故か判りませんが、PCM FILTER側の選択が、DSD DIRECTの音質にも僅かに干渉して影響しているように聴こえます。極めて僅かですので、CD再生時のように明確な違いが出るわけではないのですけれども……( ³△³ ).。o
こんな風にポエムを書くと例によってそこそこ音質に違いがあると読めるかも知れませんが、実際には非常に微々たる差です。ブラインドテストのような形で正確に聞き分ける自信は無いですし、上記インプレも敢えて文字に起こせば~という感じですので、印象が当を得てるか全くく以てあやふやです。システムによって全く変わってしまいそうなレベルの印象偏差ですし、体感的にケーブル交換時の音質差の方が十倍判りやすいです。というか、例えばオーディオケーブルの違いを普段聞き分けられない人は(DIGITAL FILTERの違いは論理的に説明可能だとしても)ほぼ100%違いが判らないんじゃないかな~と。
そんな感じでデジタルフィルタの特性変更は極めて微妙なのですが、その微妙さ故にオーディオマニアをドツボに嵌まらせる魅力があります…。 実際、変な話ですがこの切り替え機能だけでも、ONKYO C-S5VLには強力な存在価値があると思いました。あくまで料理の隠し味みたいなものですが、初体験時には微小な違いに感じられても、長時間聴き続けていると、案外馬鹿にならない印象変化が起こるのも事実。
少なくとも個人的にはデフォルトの音質(CD/PCM:Filter1)では正直なところC-S5VLの音質は好みじゃ無いなぁ~なんて最初思っていたのですが、FILTER 3を主に使うようになってから、お陰で音質に納得できるようになりました。前述のインプレで使用したのもほぼFILTER 3です。ただこれはあくまでメインシステムでの話であり、サブシステムAではFILTER 5で固定、あと女性ボーカルのアニソンやポップスではFILTER 2にしていました。それとFILTER 4が好きって人もかなりいそうな気がします。元々低域が弱いC-S5VLでまがりなりにも低域方向の厚みを出すためには、FILTER 4がベストの選択になります。※結局2~5をCD&SACD音質によって細かく切り替えるようになりました。
それとC-S5VLでSACDを再生する場合に注意点があるのですが、C-S5VLはSACD再生時に何とS/PDIF(光・同軸)でデジタル出力できます。ちなみにこれ、SACDレイヤーとCDレイヤーを同時に読み込んでいる訳ではありません。 これにはカラクリがあって、デジタル出力の為に外部DIGITAL OUTスイッチをONにしてしまうと、DSDを一端16bit/44.1kHzのPCMデータへDSD>PCM変換してからデジタル出力するのです。またこれは16bit/44.1kHzCD品質ですので、初期型PS3のような24bit/176.4KHzのハイレゾLPCMではありません。
加えてDIGITAL OUTスイッチをONにしていると、DSD直でのD/A変換が行われない都合上、内部でリアルタイムD/A変換されるデータも、DSDではなく上記の16bit/44.1kHzLPCMとなります。これはC-S5VL本体側のアナログ出力がSACD品質では無くなることを意味します。よって、SACD本来のDSDデータが直接DAC「Wolfson WM8742」に送り込まれた超高音質&広帯域の音を聴くためには、DIGITAL OUTを必ずOFFにしておく必要があります。・・・そしてその際にはDSD FILTERをバイパスするDIRECTモードにするのがお薦め♪と云う事であります。
尚、DIGITAL OUTをONにするとCDレイヤー側のPCM FILTERが機能しない為、CD再生時の音質は、PCM FILTERの切り替え機能を通さない音になります。厳密には違いそうですが、PCM DIRECT(DEFAULT FILTER?)みたいな感じです。この音は荒削りながら最もエネルギッシュな音質になりますので、PCM FILTER1~5の音色が大人しすぎると感じる場合には試してみるのも一興です。
こんな感じでC-S5VLは、Hybrid-SACDのディスク一枚から、
1)SACDレイヤーのDSD
2)DSD>PCMリアルタイム変換
3)CDレイヤーのPCM
・・・と、3通りの音質が聴ける一粒で3枚美味しいSACDプレーヤーな上に、更にフィルタ特性を10種類+1種類(DIGITAL OUT ON)も選べますので、ユーザーの好みで沢山の音質をきめ細かくカスタマイズできるSACD/CDプレーヤーです。管理人みたいにフィルタの違いがぁ ゃふゃな人でも、DSDとPCMの音質の違いは流石に判ると思います。こんな面白い機能が満載のCDプレーヤーやDACは他になかなかありませんので、その意味でもC-S5VLは、わぁ~独自性~♪って感じなのです゜゜(´▽`。)°゜。。
それにしても、この機能を載せたONKYOの中の人はどんだけ耳が良いんだよ~!と管理人はちゃぶ台ひっくり返したくなりましたよw もはや全力で白旗を揚げつつ脱帽するしかないのであります。ですので、自分の耳に自信がある人は是非C-S5VLのデジタルフィルタ聴き比べにチャレンジしてみて下さいませ…( ੭ ・ᴗ・ )੭。たぶん・・・挑戦者の半分くらいはあえなく玉砕するんじゃないかしら~?なんてねっ…( ̄▽ ̄;)。
※後日注:購入直後はFILTERの違いが極めて小さく感じられたのですけれど、慣れると人間不思議なもので、今ではソースの音質毎にDIGITAL FILTERを切り替えしまくらないと気が済まない面倒な体になってしまいました~゜゜(´▽`。)°゜。。
※ONKYO DAC-1000のエントリが続く予定です。
【SACDプレーヤーONKYO C-S5VL 詳細レビュー】
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コメント一覧 (2件)
オーディオ関連が好きにも関わらず、予算の関係上深入りも出来ず。
よくよく考えてみたら、機器よりもCDなどの、もとい
言い換えます。音楽が好きで(ジャンルの偏見ナシ)そこそこ
良い音で聴けたら満足な自分(///^^///)
SACDも聴ける機種で 全体的外観の調和を考えブラックの外観~♪
plorogue oneの横に置いても違和感なしなら、この機種欲しい!!
うぅぅ、妄想が膨らんでくる罪な記事の連載です><
こ~んば~んわ♪
6万円以下で買えるSACDプレーヤーでしたら今はC-S5VL一択じゃないかな~と個人的には思います。実売10万円以下になるとPD-D9MK2とか、DCD-CX3も視野に入ってきますので、そこら辺を納得するまで比較しつつ聴いてみないと・・・となってしまいますが。。。
デザインについてはMARANTZ CD6002はプロローグ1と同じフラットパネル。それと比べると統一感では落ちるかな?純正Njoe Tjoeb 4000と同じですし。C-S5VLも黒いのでそんなに目立たないとは思いますが。
音質的にはCD6002とC-S5VLはかなり別方向です。入れ替えというより、両方重ねると違う音が聴けますよ~って感じ。ソフトによって相性が変わるというか、たぶんMARANTZの方がよりアナログ的。あと、プロローグ1は元気が良いので、C-S5VLと合わせると、女性的なニュアンスの豊かさと繊細な優しい感じで太さが中和されると思います。透明度の高さは相乗効果で良い感じになりそう・・・グラスサウンドってイメージかも。気になるとしたら低域の微妙な軽さかな~。比較対象がCD6002でしたら大丈夫かもですけれど。NT4000も私の耳には軽かったですし。
とりあえずハイブリッドSACDを30~50枚くらい集めてしまったら、専用プレーヤー導入を検討しても良いんじゃないかな~と。