ONKYO C-S5VL レビューその3 CD-DAの音質編

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ONKYO C-S5VL SACDトレー

SACDばかりに気を取られていましたが、オンキヨーC-S5VLのCD再生音には驚きました。価格を考えると非常に良いです。むしろSACD以上に良いというか、全くSACDの性能に遠慮していません。普段SACD再生機とCD再生機を別々に用意出来る人は一部のオーディオマニアに限られるでしょうから、実用上大半がCD再生に使用されることを鑑みれば、多くの人にとってC-S5VLは大変現実的な選択になり得ると思います。

【注:CD再生についてはテスト時にPCM FILTER 3を使用しています】

通常のCDをC-S5VLで再生した印象を、例によってポエム全開で述べさせていただきますw SACDに比べCDは更にクリアでサーフェスが滑らか。音像の骨格は線が細く切れ味良くハイスピード、適度なメリハリがあり輝き感のある音色もなかなか多彩。響きの滞空感も十分。空間がより後方に広がるSACDよりも各音像の抜けが良くなります。ヴァイオリンなど高音楽器では、SACDと比してしばしば歪みが気になる事があるものの、オーディオ再生的なリアリティは高く、活き活きとした音。下位フォーマットの方がクリアというと矛盾して聞こえるかも知れませんが、SACDと比べて情報量が少ない分、音場空間が整理されてより見通しが良くなるんです。これは例えばDACのアップサンプリング等でもそう。

プレーンな音色でフラット基調のSACDと比べると、音場は軽くデフォルメされていて、レンズで云うところの樽型歪曲収差を感じます(注:これは特にPCM FILTER 3、5で顕著)収差とかのたまう前に、箱ピュアのデジカメ画像の歪曲収差をなんとかしろって話ですが・・・w CASIO EXILIM EX-Z750の後継機を鋭意募集中ですので、お薦めがあったら教えてね♪

SACD Hybrid盤の場合でも、SACDレイヤーの素直でパースペクティブな音場も素晴らしいですが、CDレイヤーのメリハリと積極的な音楽性も捨てがたい。きめ細かやかな音質よりも、音楽のダイナミクスを積極に楽しみたい時には、SACDよりむしろCDレイヤーが良い場合が多々があると云いますか、C-5SVLのCD再生音からは良い意味でそこはかとない活力を貰えます…( ੭ ・ᴗ・ )੭。

低域方向もSACDよりも更に明瞭で振幅が潰れずリアリティがありますが、他機と比較した場合のバランスとしてはやや高域の質感重視のサウンド。音像はスリムでニュアンス豊か。定位感と音場感は音像が小さくシャープで広がり感は程々。全体としてC-S5VLはフレッシュでクリーンな音質が身上です。よってこれといった弱点もありませんが、ディティールについてはやや食い付きが足りない所があるかも。なんだろう?どんなCDでも心地よく破綻無く鳴らせる≒より濃厚で深い領域に踏み込む前に、敢えて踏みとどまっているような印象で、バランス重視の音作りです。

以前にエントリを書いた上位モデルのONKYO C-1VLと比較した場合、繊細感とストイックなディティールの描写力という面では正直敵いません。そこにはどうしてもクラスの差があります。しかし、C-S5VLの方が沢山のCDを忌憚なく楽しく聴くのにはむしろ向いているとも云えます。比べるとC-1VLのキャラクターはとっつきにくい上方の着物美人でしょうか♪

管理人の場合、CEC TL5100Z&TL51ZCREEK CLASSIC CD/CREEK Evolution CDなど普段 10~20万円台のCDプレーヤーを複数所有していますので、C-S5VLはあくまでSACD再生の専用機であって、CDはどうせ駄目だろうとタカをくくってましたが、CDプレーヤーとしての出来が予想よりずっと良いので、システムの組み合わせを色々と考え直す羽目に。

C-S5VLの表面的な「音質」面だけを切り取れば、価格の割に出来が良いよね~位の評価になるのかも知れませんが、それ以前に音楽再生機として優秀。C-S5VLを手にした人の多くは、沢山音楽を聴こうという気に無意識にさせられるはず。音作りに独善的な脚色が無く、特に高音質盤をプレーヤー側の個性でデフォルメせずストレートに再生してくれる点は、個性的な音質の製品ばかり追求したがる私にはかなり新鮮でした。

また、管理人がSACDプレーヤー導入した場合に一番に危惧していたのが、SACDプレーヤーのSACD再生音が、どう聴いてもメインで使用しているCEC TL5100ZのCDレイヤー再生音より劣ってしまう状況です。こうなるとSACDプレーヤーを導入した意味が殆ど無いし、実際PIONEER DV-585Aではまるっきりそんな感じで煮ても焼いてもどうにもならなかったのです。しかし、C-S5VLであれば、良く録音されたSACDであれば、TL5100ZでのCDレイヤー再生音を、SACDフォーマットの優位性を生かして超えることが出来ます。特に高域方向へ伸びるSACD独特の情報量の多さと爽やかな抜け心地は、どんな高級CDプレーヤーを持ってしても再現できない部分。これをC-S5VLはしっかり再生してくれるので、SACDフォーマットの優位性をしっかり担保してくれているという安心感があります。

あと、今回のリスニングテストでは主にクラシックのSACD/CDを使いましたが、このプレーヤー、クラシックのみならずロック・ポップスでもいけます。アニソンもばっちり\(^^@)/。 ボーカルが超ピンポイントで定位しますので、むしろクラシックよりも実は合うかもな~なんて言ってみたり。10~20万の低予算で箱庭的オーディオシステムを組む場合、CD/SACDプレーヤーにはとりあえずC-S5VLを押さえ、アンプとスピーカーにより予算をかける方が幸せになれると思います♪

ONKYO C-S5VLは所謂オーディオマニアよりもむしろ音楽愛好家、そして特に予算のない若い人・・・学生さんにこそ敢えて使って欲しいモデルかもです。この価格で据え置き型のCDプレーヤーらしい巷の中途半端なPCオーディオPS3レベルでは、そう簡単に超えられない正統派の音がしますので、ピュアオーディオにそれほど詳しくない皆様に、このプレーヤーでまず音楽性の意味を知って欲しい。C-S5VLはハイエンドオーディオにありがちな過剰演出無しに、しかし活き活きと音楽が鳴りますから。

現代のトレンドになっているPCオーディオを極めるにしても、こういう音を羅針盤として持っていると、圧縮音源を基準にしたDAPや半端なPCトランスポートの音楽性欠けた音、空間情報の欠落、所謂「死んだ音」が、如何に「音楽」にとって足枷になっているのか、理屈では無く感覚的に理解できるようになると思います。そして身近に良いお手本があれば、自分が使う携帯音楽プレーヤーの取捨選択や、PCオーディオの高音質化アプローチでも、自ずと理想的な方向性が見えてくると思うのです。

あっそうだ♪ 子供を上質な音楽で情操教育したい家庭にも出来の良いSACDプレーヤーを1台是非如何でしょうか?超高域が聞こえてる内にこれで子供達を洗脳しましょう。きっと上等な耳の持ち主になる筈です♪な~んてね(*^-^*)

次回はONKYO C-S5VLをA-1VLと合わせてみましたです。

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コメント一覧 (5件)

  • 自分は最近「CDは回ってりゃいいからDACがんばってよ」主義者ですがSACDに(i.linkやHDMIでも)食えるDACは遠そうですねえ。ひょっとしたら出ないかも。

  • 技術的にDSD-DACを作るのは簡単なことですので、規格の著作権回りの問題なんでしょうか?KORGのAudiogateとか最近はSACDをPCにリッピング出来るようになったみたいですし、殆ど出回ってないSACDの著作権とか保護しても誰得?ですし、PCオーディオ界隈からブレイクスルーされるのはもう時間の問題かな~なんて。
    >CDは回ってりゃいいから
    これなんですけど、今なんとONKYO DAC-1000が手元にありまして、各CDPのデジタルアウトとかPCのUSB接続とかして色々遊んでます。で、結論から云うとどう頑張ってもトランスポート側の音質の方がDACより支配的。感覚的に6:4か7:3くらいで。前から薄々気付いてはいましたが、DAC-1000みたいにモニター系で物量投入された高音質DACでは、よりトランスポートの性格による音質差が顕著な感じです。基本的に音色はトランスポートで決まり、クオリティがDAC側で上下するような感じです。

  • 自分の場合ほとんどPCオーディオなのでCDはついででいいのでありんす。
    ともあれSACD、なんか配信に負けそうな気がしますね。

  • おおDAC-1000まで
    ちょっと検討はしたんですが,なかなか手が出なかったんですよねー
    プレーヤーのDACと比べるとやはりクオリティは上なのでしょうか?

  • ONKYOが24bit96kHzのHD配信で頑張ってますよね。ただ、PCMのハイビットとDSDってかなり音質傾向が違います。同じコンテンツだったら後者の方が良い…と私は思ってます。特に元がDSDで収録されている場合は尚更。DVDオーディオでも散々聴感上はSACDより劣るって云われてましたし。
    ただ、24bit96kHzの方が現実的にDACの選択肢の幅が選り取り見取りですので、SACDのようにプレーヤーの制約無しに、ユーザーの好みの音に出来るのは強みだと思います。
    >プレーヤーのDACと比べるとやはりクオリティは上
    はい。何日かしたらエントリに纏めるつもりですがクオリティは確実に上です。ただ、音作りの方向性が若干異なっていて、C-S5VLはあくまでも奇麗に纏めた感じ、DAC-1000はA-1VLの音調を更にモニター系に振ったみたいな音質です。

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