スティーヴン・オズボーン”Steven Osborne”ピアノリサイタルを聴いてみました@FM

Steven_Osborne今回紹介するのは英国のピアニストスティーヴン・オズボーン”Steven Osborne”ピアノリサイタル。NHK-FMベストオブクラシック、2011年1/18日トッパンホールでの収録。爆睡していて起きたらやってた。よって後半のプログラムのみ視聴。英国の高音質マイナーレーベル”Hyperion(ハイペリオン)“の契約ピアニスト。1971年生まれ、1991年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝のスコットランド人です。

F1ドライバーならともかくスコテッィシュのピアニスト・・・そもそも英国人ってあんまり良いクラシックのピアニストがいないイメージですが、ラジオから流れるスティーブン・オズボーンの演奏からは、スルーできない独特の魅力溢れる音楽世界が聞こえてきたのです。


なんだろう、オズボーンの演奏はHyperionのジャケットでも意識されていますが、ジョルジュ・スーラやポール・シニャック、クロード・モネなど「印象派」の絵画に通じるものがあると思います。響きが繊細で、ドビュッシーやラヴェルは本当に奇麗。ぼかしたキャンバスに色彩がたゆたうような幻想的な風情。そして音楽がデリケートで優しい。顔を見るとそんな風に余り見えない、イギリスのそこら辺にいそうな取っつきにくい兄ちゃんなんですがw 紡ぎ出される音楽は上品で聴き続けると頭の中がすーっとするようなセンシティブな演奏をします。

アーティスト:Osborne, Steven
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反面ラフマニノフのピアノソナタはロシア的な濃厚な節回しやリズム感はさほど感じられないあっさりとしたさわやか系。けれども色彩感は豊か。こんなラフマニノフもそれはそれで素敵ですね。弱音符のパッセージに於ける細やかな繋がりは奇麗ですが、全体にフォルテッシモのピークを抑制した、コントロールされた優しさにくるまれている印象で、ラフマニノフらしいダイナミズムには欠けています。むしろこの繊細感をスクリャービンやヤナーチェクで聴いてみたいかな。

アンコールでオスカー・ピーターソンのジャズ曲「インディアナ」を演奏していましたが、これは上品に過ぎてジャズの人には受け入れられないかも。クラヲタの私にはこういう薄味のジャズの方がむしろ聴きやすいですけれども。選曲のセンスやプログラムの組み方が、見かけに拠らずかなり変わった人物なのかな~と思わせます。HyperionのライナーノートにはIQが高い云々・・・と書かれているらしいです…( ³△³ ).。o。

メインアーティスト:Steven Osborne & モーリス・ラヴェル
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そんなこともあって、オズボーンのCDは英ハイペリオンから沢山リリースされていますが、同じハイペリオン所属のマルク=アンドレ・アムランと技巧面等で比喩されることが多いので、もしかすると音楽的実力が不十分なイロモノ系なのかな?との変な先入観が最初ありました。でも実際の演奏を耳にするとそんなことは無いですね。伊熊よし子せんせが推薦されていた事は個人的にはポイント高いかも♪

むしろこの人のピアニズムは技巧などに囚われること無く、じっくりと曲の内面と向き合うような真っ当なセンスの持ち主です。英国ではマルク=アンドレ・アムランやアンジェラ・ヒューイットよりも人気があるとの事ですが、さもありなん、、、みたいな。まぁアンジェラ・ヒューイットは個人的には割と(かなり?)好きな演奏家ですけれども。

自分的にはスティーヴン・オズボーンのCDを手にするとしたら先ずドビュッシーとラヴェルから入るのが良さそうかな~と思いました。クラシックCD感想メモさんのレビューを読んで更に。とにかく彼の紡ぎ出すデリケートでセンシティブな淡い色彩感を感じられるアルバムがいい。ハイペリオンのジャケット絵の雰囲気も、彼の紡ぎ出す音のイメージと良くマッチしているような気がしますので、ジャケットでイメージを湧かせつつ印象派的な色彩感と優しさを求めている人に是非聴いて貰えると良いな♪な~んて書いておきたいと思います。

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- スティーヴン・オズボーン ピアノ・リサイタル -

「幻想的小品集 作品3から 第2曲“前奏曲 嬰ハ短調」
ラフマニノフ作曲
(4分27秒)
「前奏曲集 第2巻から 第4曲“妖精はよい踊り子”」
ドビュッシー作曲
(2分36秒)
「鏡」                     ラヴェル作曲
(30分35秒)
「亡き王女のためのパヴァーヌ」         ラヴェル作曲
(6分10秒)
「ハイドンの名によるメヌエット」        ラヴェル作曲
(1分37秒)
「前奏曲集 第1巻から 第10曲“沈める寺”」
ドビュッシー作曲
(6分38秒)
「ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品36」
ラフマニノフ作曲
(23分07秒)
「“優雅で感傷的なワルツ”から 第2曲」    ラヴェル作曲
(2分14秒)
「インディアナ」         オスカー・ピーターソン作曲
(3分35秒)
(ピアノ)スティーヴン・オズボーン
~東京・トッパンホールで収録~
<2011/1/18>

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