光デジタル(TOSリンク)ケーブル・インプレッションその1

今回は先日管理人が購入したグラスファイバー製TOSリンク光デジタルケーブル”AUDIOTRAK GLASS Black ATC-GB24“について、手持ちの他の廉価な光デジタルケーブルとの音質比較をしてみます。

Firestone_Spitfire_24bitDAC 光デジタルケーブル比較

そもそもTOS光デジタルケーブルは同軸デジタルケーブルと比べて音質的に不利なことが多く、ピュアオーディオ向けの製品はこれまで余り積極的に作られてきませんでした。ジッターが少ないグラスファイバー/石英コアはコストが高く、サエクOPC-X1や米オーディオクエストOptilLnk-5、オーディオテクニカAT-SDP2000 / AT-EDP1000などの一部モデルに限られていたのが現状です。光デジタルケーブルは光ファイバーのコア(芯線)がプラスチックか石英ガラスかで二分されるのですが、ピュアオーディオ向けに商品化し高級TOSケーブルとして発売されているものも含め、主流の1万円台以下の多くはプラスチックコア。音質面で有利なグラスファイバーコアを採用しているモデルは1本数万円と大変高価なものばかりでした。


(調べてみたらaudio-technica AT-EDP1000もグラスファイバー多芯コアでした。AUDIOTRACK ATC-GB24並に安い…)

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安いプラスチックファイバーコアは石英ガラスに比べ伝送損失が大きく音質面で難があると言われ、TOSリンクケーブルの音質が、同軸デジタルケーブルにどうしても及ばない原因の一つであるとされます。そこに一石を投じたのが高音質DAコンバーターAUDIOTRACK DR.DAC2で知られるGLASS Black ATC-GB24。この価格でグラスファイバーコアというだけでも魅力的ですが、肝心の音質はどんなものか…期待してテストしてみました。

【テスト機器】

※CDプレーヤーCEC TL500Z及び、PIONEER DVR-DT100の光デジタルアウト→(TOSリンクケーブル)→DAコンバーターFirestone SpitFire 24bitDAC→RCAケーブル MIT T4→プリメインアンプTAG McLaren 60i→スピーカーケーブルSILTECH FT-12G3→スピーカーVienna Acoustics T-2 Mozart Signatire。すなわちメインシステム※TOSケーブルの端子レンズ部と機器側受光部レンズは、ベビー綿棒とイソプロピルアルコールで洗浄。

Index

audio-technica AT-OPX1

AV用途にDVD/HDDレコーダーPIONEER DVR-DT100で普段使用しているオーディオテクニカのAT-OPX1。長さ1.5m。現行モデルで5種類あるオーディオテクニカ製光デジタルケーブルの中では一番低価格なモデルに相当ます。中身はAPFオールプラスチックファイバー。他のモデルと比べて細く非常にしなやかなケーブルです。低価格ながらメタル製プラグ部分にオレンジ色の四角いラバーグリップが使われていて、機器から伝わる外来震動のダンピングと共に、コネクタの取り外しの容易さが確保されています。

AT-OPX1の音出しをして直ぐに感じる他の光デジタルケーブルとの違いは、左右上方後方へ展開する音場感の広さです。このクラスのケーブルで”音場感”などという要素が感じられることに驚きですが、今回テストした4モデルの中で一番音場感が広いのがこれ。その反面、広い空間に漂う音数が少なくやや寂しい印象を受けます。要所の震動対策が功を奏しているのか聴感上のS/N感が良く、(普通うるさい音がする)TOSケーブルにしては静けさと空間の間を感じられます。ただ、絶対的な情報量が少ないのか音色が少し単調で、光ケーブル特有の腰の弱さ、なよなよ感が支配的で、力感不足な感は否めません。反面、音色に適度な潤いと透明感があり、繊細でデリケートな表現を聴くことが出来ます。

中央定位はやや上寄り、低域は程々、高域は少しだけ明るめ。魅力的なのは中域で、それぞれの音像の分離と音抜けが良く、クッキリと浮き出したボーカルや台詞が楽しめます。音楽性は意外と高いです。今回の4本の中で個人的にはベストかも。ラバーグリップが音楽に仄かな躍動感をもたらす適度な弾力性を添えているような印象です。全体に情報量の寂しさが目立つ部分は、私が使う1.5mの長尺ではなく、0.5mや1.0mのより短いタイプを使用することで多少改善するかも知れません。力強さは厚みには欠けますが、音抜けの良さや広い音場は魅力的。低価格なビジュアル機器の音質的粗が出にくく、AT-OPX1は音質と音楽性のバランスが取れているTOSケーブルです。

尚、audio-technicaの上位モデルには、伝送損失0.04dB/mの石英コアを採用した最上位モデルアートリンクS AT-SDP2000。50ミクロン×280本・伝送損失:0.25dB/mのグラスファイバーを使ったAT-EDP1000。AV用途向けのAT-DV91D。プラスチックコアにチタンシースを使用したゴールドリンク Fine AT591Dがあります。後発製品のAT591DはロングランのAT-DV91Dより安いのですが、外皮のチタンシースや、クラッドの光フィルターシースなどDV91Dと比べてピュアオーディオ向けで凝った作りになっているみたいです。

TDK OC-6TT10/OC-6TT20/OC-6TT30

TDK_OC-6TT10
2001年にTDKより発売され、ネット上で安い割に音が良いと一部話題になった製品。現在は製造終了しています。他の光デジタルケーブルとは少し毛色の違う音が特徴のようで、台詞やボーカルの輪郭が大きめで柔らかく潤いがある音色です。中域中心に篭もった感じでレンジが狭く、音が中央左右に横並びで出てきます。高さ方向が出ないのですが奥行きはそこそこあり、低域方向は安物にしてはあるような気がしなくもないけど、このケーブルはソフトでニュアンス豊かな中域が持ち味。ピアノもニュアンスは良く出ているのですが、互いの音が被ってしまいパッセージの分離があまり良くない印象。あと、他の光デジタルケーブルでは耳が向かない部分で妙にホールトーンが聞こえる、いやむしろ響きにエコー掛かってるのかも(滝汗)。TOSリンク特有の高域の硬さや華やかさはあるのですが、全体の音色は暗めのトーン。情報量もこのクラスのTOSリンクケーブルとして標準的。柔らかさや歪み感の少なさを活かせるかどうかで、このOC-6TT10の価値が変わるように思います。

D/Aコンバーター Super PRO DAC707-USB付属品 (JZR JAPAN?)

JSR JAPAN TOSLINK
昨年アメリカから個人輸入した香港製のコンパクトDAC Super PRO DAC707-USBに同梱されていたもの。(Super PRO DAC707USBのレビューは気が向いたらやる予定です。)このケーブルまず色が凄い。まるで駄菓子屋で売ってる玩具みたいな色。そして半透明の真っ黄色で中身が透けて見えます。検索したら同モデルで緑色バージョンが同梱されていた外人もいるらしい。 他に赤とか青まであるっぽい。。。光信号を転送するためのTOSリンクで、思いっきり外光を取り込む透明素材ってどうなのよ?という疑問がありますが、更に凄いのは”JAPAN”という文字がコードやら端子やらにしつこくプリントされている。海外のサイトを調べてみると小売りのパッケージには日本(漢字)秋葉原とまで書いてあるものまでwどうも日本製だと言いたいらしいですが、それでもMade in Japan とは書いてないのよ。 香港eBayに沢山出品されていて笑えます。そしてなんだか知らないですけど袋を開けたら機械油?でベトベト。使用前に奇麗にするのにアルコールで磨く手間が大変でした。

秋葉原?こんなんですので音質なんて期待してどうするの?って感じですが、繋いでみると意外や意外まともな音質、というか普通に高品位。デジタルオーディオ機器にオマケで付属する細くてチャチいTOSケーブルとは品位が違う感じ。特にプラスチックコアのTOSリンクケーブルの音質的持ち味を素直に生かした音という意味では一番TOSらしい音質です。音像の透明度が高く、音に適度な硬さがあり音像感も良好。長時間聴き続けると僅かに骨っぽいかも。中域は明快。動的で陽性、高域は明るいけれど静粛感の表現は苦手。。。音色はTOSはみんなそうですが、これもなにかアクリル板越しに景色を見ているようなワンパターンな雰囲気はあります。よってクラシック音楽、オーケストラでの音色の描き分けは微妙。音場は平面的…上下左右は出るけど奥行きが出ない…というより前に出てくる音。とはいえ明るく元気、アニソンやJPOPなんかはこういう音の方が楽しめるような気がして、機器付属のオマケにしては良いイロモノを手に入れたと思ってますw

予定外に長くなりましたので、AUDIOTRACK GLASS Black ATC-GB24については次回にします…。

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