ウォーターフォード・ウェッジウッド、経営破綻

英国を代表する世界的な陶磁器メーカーの一つWEDGWOODが経営破綻しました。

英高級陶磁器ブランド、「ウェッジウッド」が経営破たん

英国の高級洋食器「ウェッジウッド」などのブランドを抱える大手陶磁器メーカー、ウォーターフォード・ウェッジウッド(アイルランド)が5日、事実上経営破綻した。同社は会計事務所のデロイトを管財人に選んだと発表した。中国製などの安価な陶器の普及に加え、金融危機を契機とする世界的な景気後退の影響で、売り上げが低迷していた。

 負債総額は4億ユーロ(約500億円)を超えるとみられる。近くウェッジウッドなどが管財人の管理下に入り、支援企業などを募る見通し。

 ウェッジウッドは1759年に創業された陶磁器の老舗。英国王室御用達の「女王の陶器」として世界的に人気を集めた。1986年にアイルランドのガラスメーカーであるウォーターフォード・クリスタル社と合併したが、合併効果が出なかったうえ、中国製など低価格陶器の攻勢で、売り上げは伸び悩んでいた。

なんというか個人的にはかなりシッョクなニュースでした。WEDGWOODも海外への拡大戦略による薄利多売を繰り返した結果、本来のブランドと食器の価値を甚だしく毀損し、結局消費者からそっぽを向かれたという事でしょうか。。。

ウェッジウッド時計
ウェッジウッド ワイルドストロベリー マントルクロック

管理人が子供の頃、、、或いはそれ以前の日本では、Wedgwoodといえば、スノッブなお姉さまや主婦の皆様にとってのあこがれの洋食器ブランドでした。管理人宅にも昔からウェッジウッド ワイルドストロベリーの27cmソーサーを普段使いにしていますし、こうやって部屋を見渡してみると、置き時計や小さな飾り物なんかもあったり。。。たぶん、皆さんの家の食器棚にもこのようなイギリス生まれのブランド洋食器がいくつか紛れ込んでいるのでは無いでしょうか。

ここ10数年を振り返ると、ウェッジウッドに限らずこれらその他の有名人気ブランド、、、リチャード・ジノリなどもですが、、、プリント印刷の廉価品が、町のスーパー、イトーヨーカ堂やイオンでも割引価格で並んでいる月並みなブランドに成り下がり、Made in Englandの誇りも何もなくなってしまったように感じてしまいます。元々法外な価格設定がされている事もあるのか、国内定価の3割5割引が当たり前、B級品も掃いて捨てるほど存在しますし、最近では中国製の製品までが出回るようになっていたみたい。。。さすがにこれは偽物の話かも知れませんが。

本来のボーンチャイナ、ポーセリンアートというものは、手描きであってこそ価値があるもの。。。勿論、普段使いのテーブルウェアとして手描きのオールド食器を使うのは勇気が要りますから、その為の代用品としてのプリント模造品だとしても、そこにある一定の品質的裏付けは不可避です。そのブランドなりの品質管理と製造国の裏付け、販売網の厳選が無くなれば、ブランドが本来持つプレミアム価値を失い、中途半端な価格だけが残ったままニトリや100円シッョプの食器をライバルに販売争いを挑まなければいけなくなる。。。。スーパーに並ぶ1客2千円のバーゲンセールを斜めに見ながら、そんな悲哀を感じてした今日この頃、金融危機を発端とする不況の波がこれから雪崩のように押し寄せたら、どんな世界になってしまうのでしょうか。。。

経営破綻したウエッジウッドは、どこかの誰かが買い取り再建を図ることになるのでしょうが、そういえば、イギリスのオーディオ関連機器メーカーのブランドも、好景気・不景気関わりなく浮き沈みが激しく、文字通り”澱みに浮かぶうたかたの如く”ですが、従来は経営破綻した後に投資グループに吸収されて再出発するケースが多く見られます。

QUADTANNOY(タンノイ)など古くからあるオーディオブランドのいくつかも、過去に投資グループの傘下でくっついたりまた分離したりを繰り返しつつ伝統を築いてきたところがありますが、ここ数年のトレンドとしては、IAGなど香港台湾中国資本による買収や、元々は英国国内での手工芸生産だったものを、コストダウンのために現地の音響メーカーや工場に委託生産というケースが多くなってきました。既に英国メーカーの低価格ピュアオーディオ・マルチサラウンドスピーカーは、B&Wなど一部を除きもう殆どが中国生産になってますし、アンプやプレーヤーについても、香港・台湾メーカーが開発生産するオーディオ機器をベースにし、複数の欧州・米国ブランドがフロントパネル等の外観を違えつつ、自社ブランド品として展開しているケースがそこかしこに見られます。

USHER_CD1蓋を開けてみるとまたこれか~orzなんて事が実は良くある。もちろん電源トランスやキャパシタの選定、オペアンプのグレードなど、ブランド毎に異なるパーツをあしらうことでの最終的な音のキャラクターを味付けするチューンは施されていますが、基本設計が同じ物が香港A社で3万円、米国B社で5万円、英国C社で7万円、フランスD社で10万円、それらが日本に来るとヨーロッパ製品となって販売価格は15万~20万円な~んて事になってしまうのがピュアオーディオのお茶目なところ♪詳しくは書きませんけど。。。

internalオーディオ機器の内外価格差と日本市場の問題点

たぶん、ウェッジウッドもライセンスが売却される形でブランド名自体は生き残る事になるのではと思いますが、買収先によっては、欧州の職人の手で手描きによって作られた本物のボーンチャイナや、欧州工場製で一定品質の量産品が過去のものとなり、一般流通する大量生産品の大多数は、文字通りのMade in Chinaになる日が来るのもそう遠くないかも知れません。もちろんそうならない事を祈りますが。。。兎に角、今流通しているイギリス製コレクションに欲しい物がありましたら、無くなる前に確保♪した方が良いかもです!?

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コメント一覧 (13件)

  • 年末に貰った新しい薬の副作用でお正月から意識が朦朧としてます。。。つ~か眠い。眠いのに眠れない。。。
    一足先に小売りや不動産関連は酷い状況ですが、、、10月の金融危機で最初に大打撃を被ったのが自動車業界、関連製造業の裾野が広いのでダメージが今年は波のように来ると思います。そして半導体。今日は自動車関連業種株が軒並み大幅高で狐につままれたような相場展開でした。2年9ヶ月ぶりの日経平均7連騰。為替主導なんでしょうがもはやファンダメンタルがん無視モード、テクニカルでは黄信号点灯しまくりです。
    http://quote.yahoo.co.jp/
    時計業界どんな感じでしょうか?オーディオ機器は国内の消費低迷で国産オーディオは大打撃かも。。。元々90年代の不況で半分以上のブランドが消滅か開店休業でしたけど、ここ3年くらい消費に光が見えてきたところでこの金融危機ですし。ただ、近年の日本のオーディオメーカーは生産規模が小さ過ぎて輸出で食べているところが少ないのが救いかも。パイオニアなど大きな生産工場を持つ輸出AV機器メーカーは大打撃ですが…。

  • 逆に輸入オーディオに関しては昨年値上げが相次ぎましたが、金融危機後の大幅な円高で今が買い時です。小さな輸入業者にとっては利幅が大きくなりありがたい展開ですが、問題は国内の消費低迷でしょうか。。。でも今日のように日経平均が上がるような状況では同時に円安が進んで、海外のオーディオ製品を安く手に入れる為替メリットが薄くなります。英ポンドも12月末に130円を付け、数日133円台前後をウロウロしていたのが、ここ3日でピーク140円まで10円も円安に進みました。ここ数日対ユーロはあまり変化無いのに、なんで£だけ??? 個人輸入は大抵の場合、決済に数日の時間差があるクレカ決済ですから、この狂った為替変動は心臓に悪すぎ。。。
    日経平均は小春日和?ですが、為替は相変わらず大荒れの展開です。商品市況も原油や金が年始からまた上がりはじめていてなんだか嫌な感じです。
    http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/rate/
    http://www.mmc.co.jp/gold/market/price/daily_price.html
    この辺りは毎日チェックしてるサイトです。
    金融危機は自動車などの外需輸出産業には大打撃ですが、輸入依存の食料や石油、そしてオーディオ機器含む多くの海外製品を安く手に入れられるわけで、こと、日本の消費者の生活にとっては本当はどっちが得なんでしょうか?

  • スイス時計業界は
    高精度製品は高価という伝統→セイコーが空気読まずにクォーツ出して業界ほぼ壊滅→メーカー数グループに集合、ごく僅かな中身製造メーカーの機械を使って外だけ作る体たらくに堕す(元々他社の機械をパッケージングして売る習慣はあったんですが、それが極端に)→あまりに「安物でも高級品でも中身同じじゃん」という評判が高くなりすぎてキレた業界最大手の機械製造メーカーが2010年よりグループ外に部品供給を止めることに→グループ外企業顔面蒼白→第三者企業が互換機械を売り出す→なぜかセイコーも互換機械を製造
    概ねこういうグダグダな流れです。

  • どれくらい機械の使い回しが酷かったかというと、60万円の時計が、
    http://nakatajun.cocolog-nifty.com/wahoo/2006/09/post_f221.html
    中身ななせんえん、とこういった具合でした。
    で、実はうちにもETA7001の時計があります。
    http://nakatajun.cocolog-nifty.com/wahoo/2008/11/post-e0bf.html
    確かに仕上げが綺麗なだけで中身一緒です。
    オクで確か一万したかしないか程度だったと思います。まあ、これでは一度淘汰されるのも仕方ないかという気は若干します。

  • うちの場合自動車がプジョーな関係で今が部品の買いつけ時だと思うというか昨年は一体なんだったんだろうという感じです。今のうちにパッドとか買っておくかなあ。5万キロでもう三枚目ってのは異常だよなあ。
    オーディオはオンキョーがソーテック買収したのがちょっと驚きでした。ブログではケチョンケチョンに書きましたが面白い試みだとは思います。
    うちは睡眠薬を削られてかなり苦しい状態です。最後になって失礼な話ですがご自愛ください。

  • あ、一応自社で中身を製造している時計企業(マニュファクチャール)も多少あるにはあります。全世界で両手か両足が必要な程度しか残ってませんが。
    セイコーは当然このグループに入ります。

  • 遅レス失礼します。なんかLivedoorブログの管理画面が壊れてますねぇ、、、なかなかログインできません。
    >>ブランパン
    もう殆どやってる事がゴールドムンドと同じですね(滝汗)スイスの時計商売がそんな感じですから、ごく狭い界隈での同じ仲間であろうゴールドムンドのビジネスモラルも左様になってしまうのでしょうか。。。
    >>プジョー
    ディーラーの高価なパーツ価格は為替に拘わらず一緒ですから、取り寄せるって事ですよね?私は前日シトロエンC4エクスクルーシブの中古車を買おうか真剣に悩んでましたが、数日悩んでたら別の方に売れてしまいました。なんだか良かったような悪かったような。。。こんなご時世ですので車なんて買い換えている場合ではない気がしてます。

  • そういえばゴールドムンドのバッジはパテック・フィリップ(世界最高の時計メーカー)の下請けが作ってるなんて話もありましたから商法が似てくるのはありえる話ですね。
    あ、パテックは最高です。ベースラインで150万しますがそれ相応の品質です。
    プジョー・シトロエンの部品はイギリスから個人輸入するとお得です。ポンドも一時期のバカ高ではなくなりましたし。ただ個人的にはいまフランス車の味を一番残しているのはルノーという気もします。機会があったらルーテシア試乗してみて下さい。
    ポンドといえば値上げするだけ値上げしたゴールドムンド、ユーロが下がっても値段戻りませんね。

  • >パテックフィリップの下請け。
    バッジといいますかフロントパネルですね。あくまで「下請け」ですけどw 一度値上げしたものを再度値下げする剛毅な輸入元は少ないと思います。ニッチ産業のピュアオーディオ機器は面白いくらい売れませんから、高かった頃に仕入れた在庫が吐けるまでかなり時間が掛かるでしょうし。。。反映されるのは新製品の価格でしょうね。
    ゴールドムンドもそうですが、楽器のグランドピアノも凄いですよ~。ドイツのスタインウェイ・ピアノ等ですが、度々値上げをするものですから、もうどうしたものやらです。コンサートで一番使われるグランドピアノD-274が今輸入元価格19,425,000円。一昨年貰ったカタログでは18,375,000円。私が学生時代は確か1400万くらいだったんですけど。もはやピアニストの物ではなく、特殊な富裕層や企業、役所の財テクや節税対策か何かになってしまってるのかも知れません。
    単に同じピアノが欲しいだけでしたら、ファーストクラスでハンブルクに飛んで一流ホテルで宿泊しつつ、好みの一台を直接選んで買い付けたってずっと安い訳ですから(^^; まさか、音楽やってて言葉が?なんて人はあまりいらっしゃらない筈ですし。

  • 機械式時計の場合三年程度で分解掃除が必要で、この時に並行モノはいじわるされる事が多く(まったく差別のないロレックスから並行品は一切修繕しないルミノックスまで)、これが並行品への縛りになっていますが、楽器類はどんなもんなんでしょうか。

  • ピアノの場合、大元のドイツで研修を受け調律のみならず整調・整音が出来、レコーディングやリサイタル等の仕事がある優れた調律師さんを見つけられるかどうかですね。代理店の縛りのないフリーの人も居ますし、代理店や楽器メーカーに所属していても、まぁ本質的に個人が請け負う仕事ですからピアノ所有者さん次第でどうにかなるような!?

  • 結局そのあたりは時計と同じですか。自分の好む時計は大抵会社が潰れかけたか潰れたか、国内代理店を持っていない店が多いので部品持った・購入ルートを持った修理屋さんを押さえることが最重要になっています。

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