2006年モーツァルトイヤーに合わせて企画された、アンネ・ゾフィー・ムターのヴァイオリンとランバート・オーキスのピアノ伴奏による、モーツァルトのヴァイオリンソナタ集4枚組。紙ジャケの中は美貌を売りにしているムターらしく奇麗なグラビアもあってなかなかゴージャス。ピアノ三重奏曲のCDは今のところ未聴。
管理人のは例によって輸入盤ですが、うーん。評価は難しいカナ。好きでも嫌いでもなく、可もなく不可もなく。客観的には水準を超えて割と万人向けする演奏だろうと思います。なぜかアットホームなリラックスした感じでピアノはタッチが見えて面白い♪ ただ、なんと云いますか、モーツァルトの音楽は良い演奏に当たるとほんの十数秒で頭がスッキリして来るのですが、この盤にはそういった爽やかさはあまり感じないと云いますか、なんとなくベートーヴェンを聴かされている様な脳波状態になるのが不思議。キュートですけれど、ヴァイオリンと伴奏のテンポに僅かな作為的ギクシャク感があり、音楽的な流れがナチュラルではない気がするのです。
ウィーンアコースティック T-2のメインシステムで聴くと、高域が多少控えめで少しアナログ風味の音色。五月蝿くないし耳当たりは良いのですが、高音質盤か?と問われれば、そこそこ?といったところ。聴感上の帯域バランスは悪くないのですけれど、ステージが箱庭的。欲を云えばヴァイオリンの音の伸びやかさと鮮度感がもっと欲しい。個人的にはもう少し透明感が高くて間接音が多い録音が好みです♪ audiopro Image11ではトゥイーターが鮮度感を演出してくれて良好。こちらで聴く分には軽快感が増すので★4つ。
ソナタ集を聴いた後に後述する協奏曲全集を聴き返すと、やはりコンチェルトの方がずっと魅力的です。演奏はムターの弾き振りによるオーケストラが快活で、録音もソナタ集と比較するとスッキリ抜けが良くウェルバランス。ロンドンフィルのお陰で音楽的な流れはずっとスムーズですし、ムター単独のゴツくて人工的な部分が程よく中和されて、良い意味での快活なタッチと明るさが際立っている様に感じます。しかし、アマゾンのレビューに協奏曲全集の方は絶賛コメントが沢山あるのに、ソナタの批評が殆ど無いのは何でかしら~???
↓07/1~3月にそれぞれのDVD盤が出るみたいです。
アンネ・ゾフィー・ムター モーツァルト : ヴァイオリン協奏曲全集
こちらはアンネ・ゾフィー・ムターの弾き振りによる、モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲全集。2枚組。録音は多少のバラツキは有りますが概ね良好。近年のDGらしいデジタル的なクリアで明るく立体的なサウンド。少々突っ張ったような感じでナチュラルさが足りないのはご愛嬌。演奏もちょいごついけどまぁまぁ。音楽の抑揚や流れのスムーズさよりも、生命力溢れる力感と立体的な構築力が魅力です。
解釈は時々個性的ですが、概ね普通の範疇かな・・・。特にヴィオラのユーリ・バシュメットとの共演になる協奏交響曲変ホ長調K.364は演奏/録音共に非常に素晴らしい出来だと感じます。この曲のためだけでも買う価値は十二分にあります。とは云え、個人的には同じDGのオーギュスタン・デュメイ盤の方がよりエキセントリックな解釈で好みではありますけれども。