JVC Victor”ウッドコーン”驚異の音楽性を誇る国産小型スピーカー&ミニコンポ

【JVC Victor ウッドコーンスピーカー】
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近年、小型スピーカーのマーケットは海外製の独壇場といった感じですけれど、実は国産メーカー製にも優れたスピーカーはいくつもあります。その中でもピュアオーディオスピーカー作りに於いて、個人的に昔からとても評価しているのがJVC/Victorのスピーカーです。最近のJVC/VictorはDENON(デノン)Marantz(マランツ)ほどオーディオブランドとしてメジャーではなく、Accuphase(アキュフェーズ)LUXMAN(ラックスマン)程、玄人好みの高級機を一貫して作ってきた訳でもなく、SONY(ソニー)ほど先進的でも無く、ONKYO(オンキヨー)ほど普及価格帯のピュアオーディオではっきりとした方向性を認知されている訳でも無く。。。

JVC Victor  ウッドコーン EX-A5

なんとなく、商品構成が中途半端でマーケットに占めるブランド力が弱い印象が拭えません。しかしJVC/Victorには一般の方には余り知られていない、他の国産大手メーカーとは一味も二味も違う優れたスピーカー製造技術があります。※むしろ日本の他の大手メーカーはまともなスピーカー作りが元々出来ないか、かなり前に辞めてしまっています。現在でもまともに評価出来るのはVictor JVCとONKYOYAMAHAくらいかも。

そして、箱庭ピュアオーディオ管理人が何よりも評価しているのが、JVC/Victorのオーディオ製品の多くが、伝統的に「音楽性が高い」点にあります。「音質」と云う判りやすい評価軸に於いて、日本の大手電気メーカーが作るオーディオ機器は、世界トップクラスの品質を長年に渡りリードして来ました。にもかかわらず「音楽性・・・音楽のハート、生命、精神性を伝える力」と云う官能的評価軸になった場合、残念ながら国産は相対的に海外製品と比べて一歩も二歩も劣っているケースが多かったと云わざるを得ないのもまた事実です(※個別の例外はもちろん沢山あります)。これが音楽愛好家の皆さんに、上質なオーディオ機器を通して「音質」ではなく「音楽」を聴いて欲しい管理人が、箱庭オーディオでこれまで海外製品を中心に推して来たいちばんの理由です。

XM-R1

しかし、JVC/Victorについては、音質至上主義的な傾向にある国内大手オーディオメーカーの中でも、音楽性に於いて海外製に匹敵・・・どころか、十分にトップクラスの音楽性を備えていると云える数少ないメーカーだと感じます。これは、JVCが傘下にその名の通りビクター音楽産業(現ビクターエンターテインメント)という、国内レーベル屈指の録音品位を備えたレコード会社を抱え、その中の優秀なレコーディングエンジニアが、オーディオ機器作りにまで深く関わってきた事が理由の一つに挙げられそうです。誰かは判りませんが、伝統的にビクター/JVCには感覚的に音楽を良く知っている凄い耳の持ち主がいるのではないか?と思っています。

XV-D9000

JVC/Victorのオーディオ機器のキャラクターは、90年代以降、透明で柔らかく躍動感溢れるアコースティックなトーンでキャラクターが一貫していました。例えば管理人の所有するポータブルMDプレーヤー ビクターXM-R1(当時は単品コンポ並の音質と評され、このポータブル機がなければ自分はMDなど到底聴く気になれなかった。)から、高品位なのに後が続かなかったSX-V1等のHMVシリーズ、ハイエンドDVDオーディオプレーヤーXV-D9000(ずば抜けて音質が良いのに、DVD-A規格の問題であまり売れないまま最後は叩き売られて消えた・・・)まで、心に残る製品は枚挙にいとまがありません。なぜか市場の評価が伴わない状態が続いていたにもかかわらず、ビクターが変わらずに生きた音楽が伝わるオーディオ機器を作り続けて来た点を、日本のオーディオファイルの人々はもっと高く評価してしかるべきだと感じます。

outビクター、世界初の木製コーンスピーカー採用DVDミニコンポ-DVDオーディオ再生も可能、単品スピーカーは来春発売

そのビクターから2003末に発売され、最近になり各所で高く評価され話題となっているのが、スピーカーがピュアオーディオ単品でも発売されているコンパクトコンポーネントシステム Victor EX-A1です。箱庭ピュアオーディオ管理人、このミニコンポから独立した単品スピーカーSX-WD5の音を先日たまたま聴くまでは、巷の高評価を横目にしつつ、内心は何寝言を云ってるんだろう???と完全にスルーしていました。

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新しいウッドコーンSX-WD5を聴いた最初の印象は、Victor SX-A103の音が戻ってきた!というものです(注:実際に比べるとかなり違います)。当時感じたビクター特有の美しく磨かれた明るい音色、躍動感溢れる表現力・・・もう中古でしか再び手に入れることは出来ないと半ば諦めていた音が、再びそこに蘇って活き活きと再現されていたのです。そもそもSX-A103のこういった美点は、ウーファーユニットを供給していたドイツ、クルトミューラーに依存しているものだとばかり思ってまいした。しかしどうやらそれだけでは無く、Victorのスピーカー開発陣が受け継ぐ優れた感性の成せる技だと云う事を、クルトミューラーとは全く異なる新開発のウッドコーン・ユニットとツイーターを搭載するSX-WD5によって理解出来ました。

あくまで組み合わせるアンプがSX-WD5にマッチしている事が絶対条件ですけれども、とにかく聴いていてとても楽しい音なのです♪小口径ユニットの小さなスピーカーですから低域の量感は望むべくもありませんが、音質云々のリアリティではなく、音楽を血の通った音楽として鳴らす力については、国産でウッドコーンスピーカーの右に出るものが果たしてあるのでしょうか?といった感じです。

ウッドコーンスピーカーは、文字通りウッド素材をユニット振動板に採用し、楽器作りにも通じる面倒な制作行程を経て製造されています。そこから想像出来るように、スピーカー自体が共鳴して楽器のように豊かに鳴るタイプの音作り。即ち、色付けを廃し無響室的なアキュレートさを身上とした、高分解能で高精度なモニタースピーカーの類とは全くキャラクターが異なります。海外製で方向性が似たものがあるとするとDALI、FOCAL/JmLab、Vienna AcousticsKharma KPL Reference/1a、OLS(Kharma)、Acustik-lab等々でしょうか。ウッドコーンスピーカーは、これらの「美音系」スピーカーと共通する、アコースティックで暖かみのある音色が特徴と云えます。

正直に云うと、ウッドコーンスピーカーの音色は抑も色付け・・・脚色と感じる事で、好みに合わない方もいらっしゃるかと思います。ただ、モニター的では無いにしてもリアルで無い訳ではありません。それどころか、録音の段階で失われてしまった声の温もり、楽器の質感、ピアノや弦楽器などのアコースティック要素を、スピーカーの響きが蘇らせてくれる様にも聴こえます。

この意味で、SX-WD5から出てくる音の質感のリアルさは、そこらの無個性なスピーカーやモニタースピーカーを軽く凌駕する生々しいサウンドだと云えます。音にこだわる余りに、色々と音楽の大切な要素が失われたつまらないモニターサウンドをそのまま聴くよりも、ウッドコーンスピーカーを通してあらためて生気が蘇った音を聴く方が、実生活においてずっと楽しい音楽ライフになると云えるのでは無いでしょうか?

このアコースティックな音色感は、生楽器のリアルな音に良く触れているサウンドエンジニアにしか掴めないのではと感じます。オーディオスペック的な高音質を追求する以前に、音楽をリアルに聴きたい、音楽そのものに近しくありたいという意志がなければ、オーディオ機器と云う余計な介在物を飛び越したような「リアリティが伴う質感」は絶対に生み出せないでしょう。

【JVC Victor ウッドコーンスピーカー】
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internalJVC/Victor ETERNO EX-A5 vs EX-A1 DEUSアンプとの相性についてに続く。

categoryJVC Victor(ビクター・ウッドコーン)
categorycategory:スピーカー 箱庭”AUDIO STYLE”

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コメント一覧 (5件)

  • N響の根津さんが音楽再生について面白いことをかかれています。ちょっと長いですが引用しますね。
    「今までオーディオの世界では音は基音の上に成り立つ倍音列で出来ているというのがごく普通の考え方です。(特にディジタルのオーディオの世界では…….)ですが今の結合音を考えると実際に弾いている音の下側にも音が鳴っているのです。2つの音程が近いほどその差の周波数は低くなるので、結合音は低音域に移ります。いずれにしても実際の演奏ではEとcisの重音しか弾いていないのに、Eの完全5度下のAの音が実際に鳴っているのです。オーケストラでたくさんの楽器が鳴っている時の結合音って一体どうなるのでしょう……」以下略
    私思わず目から鱗が落ちました。

  • わぁ、この話題は私などよりEddieさんの方がずっと詳しそうです(滝汗) 私が普段使っているデジピはそんな感じです。サンプリングの問題だと思うのですが、弾いた音より低い方の響きが出てません。本来ピアノはそれ以外にも色々ゴチャゴチャと倍音やら雑音やらが絡まりますので、低い方の弦も色々と共鳴している筈なのですが、それが再現されていないので、デジピが薄っぺらい音色に聞こえるのかもです。最新のモデルは良く知らないのでどうか知りませんが。
    あ、出来ましたら根津氏お話のの全文を読んでみたいです。。。

  • ねえ、こういう事も当たり前ですよね、考えてみれば。だから良質な低音の再生能力も大事なんですよね。なるほどでした。
    根津さんのひとりごとは面白いです。URLはhttp://www.nezu.ms/tubuyaki.htmlです。

  • こちらのリンク、既にブックマークに入ってました…。
    この方、オーディオにも凄くこだわりを持っていらっしゃるんですよね。
    たしか、MYRYADのハイエンドCDP”MCD600″とグッドマンのポータブルをCDPをお使いだと、
    以前の日記で読んだことがあります。MYRYADは羨ましいなぁ…、とても奇麗な音場の出るCDPです。
    低音…大口径ウーハーを使ってドスドス、ボコボコと量を出すのは簡単なのですが、
    十分な質を伴った低音はオーディオでなかなか聴くことが出来ないですよね。
    低音が出ていても音が生と比べて変に重すぎたりして、この辺が難しいところです。
    私がリンクを貼ってる手のひらサイズのスピーカーは、
    サブウーハーでも追加しない限り、どれも低域の沈み込み、
    臨場感は割り切って諦めている部分があります。
    ただ、若者や都心部の日本人に多いマンション・アパート住まいの場合、
    大きな音量や充実した低音は環境的に無理だったりするので、
    その辺りも含め、うさぎ小屋に住むアンダー居住区住人達の為の
    箱庭的バジェットHi-Fiを推奨するのがより皆さんの為にはなるかなと。

  • >うさぎ小屋に住むアンダー居住区住人達
    これは勿論団地住まいのpastel_piano自身のことでもあります。

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