DisplayPortケーブルが抜けないので簡単に抜けるように工夫しました【解決編】

【PCのスリム&スマート配線ノウハウを公開してみる】
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PCもオーディオも常々配線に拘りまくりで常軌を逸した箱庭ピュアオーディオ管理人。パソコンのマルチディスプレイ配線周りについては、モニタ側にHDMI入力が無にもかかわらず敢えて極細HDMIケーブルを多用している話を以前に書きました。けれど此処で新たに現れた難敵がDisplayPortケーブルです。

DisplayPortスリムケーブル HDMIスリムケーブル
《左 DisplayPort|HDMI 右》

年末にマルチディスプレイ3台をEIZO L695/L685からDELL P1914Sに入れ替えたところ、DELL P1914SにはHDMI入力が1つも無く、代わりにDisplayPort端子+DVI+VGA仕様。更に最近追加したサブPCに至っては、デジタル映像出力の2系統が共にDisplayPort仕様(+アナログVGA)でHDMI出力無し。必然的に最低2系統はDisplayPortケーブルでの接続を余儀なくされてしまうことに。。。

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DisplayPortケーブルの選択肢はとても少ない

ここで問題点なのが、スマート且つお洒落な極細DisplayPortケーブルが2021年になっても尚全く存在しない事実です。そもそもDisplayPortケーブルは転送レートや対ノイズ性能など要求スペックがとても高く、製造が未だ難しいのか市場の選択肢が非常に少ない。そしてHDMIやDVI、VGA、USBなど他規格のディスプレイケーブルに比べるとお値段もややお高めです。

DisplayPort VGA USB端子

現在入手可能なDPケーブルの選択肢となると、機器付属品及びその同等品以外では、何故か赤/シルバーの2色展開ばかりの中華ブランド品かAmazonベーシック DisplayPortケーブルくらい。DisplayPortケーブルは基本的に直径が太い、やたらと硬くて曲がらない、取り回しが悪いの三重苦みたいな製品ばかり。登場10年以上経っても未だに状況が変わらないままですので、そもそも問題のある規格ではないかと感じています。

脱落防止機構のラッチがDisplayPort規格の実用性を下げている

しかも多くの製品でコネクタ部分に脱落防止の為のラッチ(三角の尖った鍵爪)が付いていることが更に選択肢を狭めてしまっています。

DisplayPortケーブル ラッチ ノッチ 抜け止め

この抜け防止の為にあるロック機構の爪がかなりのくせもので、一旦挿すととにかく抜けません。コネクタ側面の浅いバネを押したまま抜く・・・これが思いのほか難しい。。。背面クリアランスが狭かったり角度的な問題から、指先に上手く力が入らず往々にして簡単には抜けないのです。他のケーブルを全て外した上で落ち着いて気合いを入れて抜くか、繋げたPCやモニタをDisplayPortケーブルが抜きやすい位置まで移動するしかありません。無理をして格闘した挙げ句、機器のDisplayPort端子 or DisplayPortケーブルのコネクタを破損した!なん~て泣くに泣けない話は枚挙にいとまが無く。。。

そもそもこのロック機構、何の必要性があるの?と思うのですが、重くて硬いDisplayPortケーブルは脱落しやすく、業務上のトラブル(医療機器などでの)を回避する為・・・というのが一応本来の意図だとは思うのです。しかしだ・・・そんなの家庭用やデスクワーク用のPCでは正直余計なお世話です。そもそもHDMIだってUSBだって抜け止め機能が無くてもそれで全く問題無いですし、このロック機構のお陰でケーブルを引っかけた時にモニタとPCを道連れにひっくり返して大惨事・・・な~んて要因になる方がむしろハイリスクですよね。

優れたDisplayPortケーブルの条件は?

0 VESA規格正規認証品(準拠では無い)で表示が安定している ※認証品は意外と少ない
1 なるべく細くて柔らかく軽い ※クリアランスが狭い場所でも配線可能&曲げて視界の外へ
2 ロック機構が無い ※軽いケーブルはそもそも自重では抜けない
3 端子が小さい ※隣接ポートと干渉する原因、端子の奥行きも短い方が良い
4 長さ、特に短尺の選択肢が多い ※無駄に引き回すとごちゃごちゃに
5 色のバリエーションとデザイン ※ホワイトやブルー系統も欲しい


管理人的にはこんなところだろうと考えますが、この5つの条件を備えたDisplayPortケーブルは今のところ存在しません。「0 VESA規格正規認証」に加えて「1 なるべく細くて柔らかく軽い」については、かろうじでサンワサプライのKC-DP◯Kシリーズのみが該当する為、現状実用性でベターな製品を選ぶとすれば、消去法でサンワサプライ KC-DP◯Kシリーズだけが残ります。2~5は犠牲になりますが様々な条件での汎用性から完全にこれ一択です。

2と5を満たすロック機構が無いタイプについては中華ブランドの製品の一部に存在するにはするのですけれど、ケーブルとしては太くて異様に硬く取り回しが良くありません。見た目と信頼性どちらを選ぶか?みたいな話になってしまいます。どの中華製品もデザインは浮くほど派手ですが、カラーバリエーションは何故か赤とグレーばかり。そしてディスプレイポートケーブルの規格的問題から生じる相性や不具合の多さを鑑みると、万が一のことを考えて不具合を避けるためにも、ここは日本メーカーのVESA規格認証モデルで信頼性を確保したいところです。

簡単にDisplayPortケーブルの抜け止めラッチを使えなくする方法

ところでこのサンワサプライ KC-DP◯Kシリーズ、国産優良製品にありがちな規格遵守で当然のように抜け防止のロック機構が搭載されています。管理人は機材弄りやデスクのお掃除含めてそれなりに抜き差しを繰り返しますので、買って使ってみた結果、抜くのが辛くてうんざりしました。ロック機構付きとしてはラッチのバネ部分が硬くない方だとは思いますが、それでも指が痛くなるレベルです。どうにかならないか色々調べてみたのですけれど、破壊しないと分解が出来ませんので、コネクタの先端から飛び出した金属のラッチ・・・三角のカギ爪を電動ヤスリで切り取った!みたいな荒技くらいしか見当たりません。そこで少し考えてみました。。。

爪を引っ込めた状態を維持するように、コネクタ側面のラッチ部分をずっと押したままにしておけば良いって事だよね?・・・であれば、テープでぐるぐる巻きにしてしまおう

DisplayPortケーブルのラッチを使えなくする方法

こんな感じです。使ったのはデスク周りの手持ちのテープで一番伸縮性が無さそうなScotchのメンディングテープ。ラッチを上手い塩梅に押しながらテープを強く引っ張るようにぐるぐると巻き付けます。それもかなりの力で。15-20cmくらいずつ切って3~4回くらいに分けると巻きやすいです。最終的に触っても全くラッチが硬く動かないくらいにカチコチに仕上げます。セロハンテープは後で剥がす時に苦労しそうですし、ビニールテープのような伸縮性のあるテープは経時変化で伸びて膨らんでしまいますので、メンディングテープでなくても構いませんが、後で伸びないタイプの素材を使うのがポイントです。

DisplayPortケーブルの脱落防止ラッチを塞ぐ

正直見た目はそこそこアレな感じですけれども、まあ普段そんなに目に入る場所でもないので・・・白いコネクタだったら目立たないのに。これでこの先何年持つかは未知数ですけれども、この状態であれば爪が引っ込んだままになりますので、HDMIケーブルやUSBケーブルのように、狭い場所やブラインド状態でも容易に抜き差しが出来るようになります。無加工でケーブル自体も損傷しませんので機材にもケーブルにも優しい方法です。ただコネクタが曲線的な形状の場合はテープ巻き巻きも難しそうですので、ここはコネクタが四角形のサンワサプライKC-DP◯Kシリーズで良かったなと。

1つだけ注意点。このテープぐるぐる巻き手法は、指で押す部分がコネクタ面より上に浮いているタイプでは効果がありますが、構造的にコネクタ表面の更に↓に押し込まないといけない製品があり、その場合はテープを巻いてもラッチのカギ爪が引っ込みません。残念ながら以前この記事で紹介したMacLab. Displayport→HDMI変換アダプタでは使えない手法でした。

管理人一押し!極細HDMIケーブルとサンワサプライのDisplayPortケーブルを比べてみる

現在DisplayPortケーブルで唯一の細径タイプがサンワサプライKC-DP◯Kシリーズになるのですが、これも細いと云ってもΦ4.5mm。極細とまでは云えない印象です。コネクタも地味な長方形デザインの光沢黒で、コードも中途半端な細さの黒い線。正直地味過ぎて見た目的なカタルシスは全く感じません。派手で豪華な見た目の中華ケーブルを選ぶか?性能と配線の汎用性重視で地味な外観のサンワサプライを選ぶべきか?なかなか悩ましいかも知れません。

DisplayPort極細スーパースリムHDMI 1

Φ3.2mmの極細スーパースリムHDMIケーブルと比べてしまうと、4.5mm径+コネクタの違いがある為、写真で見る以上に質量差を感じます。

DisplayPort極細スーパースリムHDMI 3

ディスプレイポート接続は、モニタの省電力モードからの復帰が微妙に遅かったり、マルチディスプレイでの挙動がおかしくなったり、画面がちらつきを起こしたり等、しょうもないトラブルが結構あるので個人的にはあまり好きではありません。箱庭オーディオ管理人の場合、母艦の唯一のDisplayPort出力に関してはわざわざHDMIに変換し、さらにDVI-Dに2段階変換した上でモニタにつなげています。前後に変換コネクタを2回咬ますことでリスクが増えそうですが、管理の環境下ではDisplayPortケーブルを直接つなげるよりもこちらがはるかに安定しています。

DVI→HDMIに続き、DisplayPortは4K~8K時代に向け今後普及する主流規格のように言われつつ、実機では中途半端な採用率のまま10年以上過ぎました。そしてこのまま行くと近い将来的には「DisplayPort over USB Type-C」としてUSB Type-C規格へ集約され、端子が大きく動作の不安定な既存のDisplayPort規格は既にフェードアウトする未来になっているようです。

サンワサプライ製にはKC-DP◯Kシリーズと同じ4.5Mmm導体の白いタイプKC-DPM1W/KC-DPM2Wもありますが、何故か片側ミニDisplayPort規格のみ。両端普通のDisplayPort端子で白いタイプも作って欲しいところ。

4K DisplayPort1.2(Ver.1.2認証)と8K DisplayPort1.4(Ver.1.4認証)どちらを選ぶべき?

今回紹介しているサンワサプライKC-DP◯Kシリーズは4K DisplayPort1.2対応品。同製品で8K/60pの解像度/レートが必要な場合はKC-DP14○○シリーズがあります。コネクタの形状が少し違いますが導体は4.5mmで同じ細さ。どちらを選ぶべきか?についてはユーザーの環境次第ですけれど、現状は未だ高価な8K解像度のモニタを使われている方は少ないですので、4K以下のディスプレイでしたら DisplayPort1.2(Ver.1.2認証)でも十分と云えます。管理人のマルチディスプレイは所詮SXGA×3台ですからDisplayPort1.2でも完全にオーバースペックになります。

近い将来的に8Kモニタへの交換を予定されている方は先回りしてDisplayPort1.4(Ver.1.4認証)タイプを購入されるのも良いと思いますが、現時点ではDisplayPort1.2対応品に比べ価格が少々お高くなりますのでそこは思案のしどころです。また前述したように数年後は全てUSB Type-Cに集約されていく未来を考えると、正直あまり将来性のある投資にはならないかも知れません。ただ現行のDisplayPort ver1.2製品は相性等で動作が怪しい製品も多く、上位互換であるDisplayPort ver1.4でVESA正規認証を受けた製品であれば、高周波ノイズ耐性も上がってDisplayPortケーブル由来のトラブル発生率を下げられるメリットはあると思います。特に長く引き回す環境下では、4K解像度であっても保険のために敢えてDisplayPort ver1.4正規認証品を選ばれるのも、選択肢としてじゅうぶん検討に値するのではないかと。

スリムケーブルでDisplayPort1.4(Ver.1.4認証)8K/60p対応品については、サンワサプライKC-DP14○○シリーズ以外にもELECOMからCAC-DP14BKシリーズが発売されていて、こちらも1mと2mモデルについてはΦ4.5mmの細径導体になっています(3mでは7.5mm)。※残念ながら現行のELECOM製 Ver1.2対応製品については6mm径のようです。ただどう云う訳かELECOM CAC-DP14はサンワサプライKC-DP14と比べるとお値段が少々高め。この価格差をどう捉えるかはユーザーさん次第でしょうか。

~まとめ~

以上抜け難いディスプレイポートケーブルを抜き差ししやすくするプチアイディアでした。特にコストもかかりませんし、他の種類のディスプレイポートケーブルでも出来る思いますので、抜き差しで困っている方は試してみて下さい。サンワサプライのKC-DP◯Kシリーズについては、派手な外観よりも実質的な性能と信頼性を重視される皆さんにお薦めしたいと思います。4Kディスプレイ迄でしたらVer 1.2対応のKC-DP◯Kシリーズ。8Kの場合はVer1.4対応のKC-DP14○○シリーズを使われることで、ディスプレイポートにまつわる様々な不安定さからもある程度開放されるのでは思います。

+For
 細めで柔らかく機器背面に於いて自由な配線が可能な唯一のDisplayPortケーブル
 VESA規格正規認証品で信頼性抜群
 DisplayPort1.2対応モデルについては手頃な価格

-Against
 そのままでは抜け止め機構の存在が鬱陶しい
 中身の高品質が伝わりにくい地味な外観
 カラーバリエーションが黒のみ
 長さのバリエーションが少ない

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