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メインシステムのDAC強化電源CI AUIDO VAC1でテスト vs ORB HC-150ACW
サブシステムAとMに続き、普段はORB HC-150ACW(工事中)を繋げているDACの強化電源ユニットで試してみます。SUNSHINE SAC REFERENCE1.8に置き換えるとフラット且つワイドレンジ。エレクトロスタティック的で繊細な分解能が際立ちます。高S/Nで仄かにクール傾向。とてもリアルでキレの良いヴァイオリン。ピアノは輪郭線が繊細に描写されます。特に左手方向よは良く沈みこみ、解像度が高く、細やかな表情が良く出ます。
オーソドックスな傾向ですが全体的にトーンは暗め。こちらでもオーケストラの分解能はすばらしい。ハイレゾチックな性格の詳細なサウンドですので、SAC REFERENCE 1.8は大電流を束ねる場所よりは、どちらかと云うと個別の小電力機器に充てる方が向いているのかも。サブシステムの大元ではそれほど相性が良くなかったのですけれど、メインシステムをD/AコンバーターCI AUDIO VDA2+VAC1(工事中)とはそれなりに相性が良い印象です。但し音楽表現的にはこちらも静的でやや大人しい傾向にあり、良く云えば上品、悪く云えば何か物足りない感じはあります。
ORB HC-150ACWに戻す
こらちは音の密度感や実在感が全然違います。元々ワイドレンジな電源ケーブルではありませんのでSAC REFERENCE 1.8に比べて上下の広がりが圧縮され、詳細な情報量については整理される反面、温度感が上がり、弦やピアノには独特のしっとりした質感と艶が乗ります。コンサートホールの照明のように、沈んだ背景とスポットライトを浴びて浮き上がる楽器のコントラストが美しく、音楽表現の深みとニュアンスが克明に描かれ、極めてエレガントでリッチな雰囲気に♪ SAC REFERENCE 1.8とどちらを取るかは、オーディオシステムが目指す方向性次第で完全に変わってくると云えそう。
vs Ortofon PSC-3500XG Silver / Micromega Variodac
再びサブシステムAに戻します。Micromega Variodacは90年代初頭に造られた古めかしいフランス製のDAC。電源ケーブルOrtofon PSC-3500XG Silverから交換してみます。audioproの超小型スピーカーで元々低域がまともに出ないシステムに使う場合、SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8そのものはフラット系で中低域に厚みが出るタイプではないため、中低域が薄くなった結果として相対的にハイ上がり傾向になります。高域の歪み感が改善するかと思いきや、むしろOrtofon PSC-3500XG Silverの方が低歪み。全体的に線が細くクールで大人しくモニターライクな傾向になりますが、スッキリし過ぎて寂しい印象になってしまいゴージャスなサウンドのOrtofonに軍配。ここは合うかと思ったのですがハズレでした。
vs Chikuma Wisdom AC / サブシステムC
CREEKのサブシステムです。そういやここには昔からクリーム色のサンシャイン ABA 超薄型制振シートA-30を敷いてあったりします。A-30(工事中も)についても後日レビューしないとですね。暖色のCREEKと寒色のABA SAC REFERENCE 1.8では絶対に合わないだろうと踏んでいたのですが、一番バランスが取れて好感触なのが実はこのシステムでした。アンプ側に普段使っているChikuma Wisdom AC(工事中)と置き換えると、クール且つ詳細で高解像なハイスピード系サウンドに。う~む・・・電源ケーブルを単に替えるだけでここまで現代的でクールな音が、時代遅れのMOS-FETアンプCREEK Sequel2からでも出せるようになりますですか・・・(゜ワ゜)。Chikuma Wisdom ACで得られるナチュラルなパワー感や空間を満たす粒子情報量は減退するのですが、引き換えに輪郭明瞭で透明度の高いモニター系のキレキレサウンドになり、レンジもフラットに広がります。SNが改善したことで今までこのシステムではまともに聴こえ無かった暗騒音やダンパーペダルのノイズが聞こえてきます・・・(@_@;)
このシステムはクラシック音楽重視の他システムと違い、ジャズが再生出来るようにチューニングしているシステムでもあるのですが、SUNSHINE SAC REFERE1.8では中高域、特に女性ボーカルに加えてピアノやサックスの音抜けが非常に良くなり、セッションにリアルなキレと透明感が生まれます。ドラムはパルシブ。クラシック音源では時に気になるスタティックな滲み感もシンバルやハイハットのリアリティに繋がりますし、定位感もピンポイントに決まり、低い温度感(これは好み次第)以外には殆ど欠点が見当たらないかも。
再びChikuma Wisdom ACに戻すと、聴き慣れたナチュラルな温度感としなやかな表情が戻ってきますが、空間の透明度がかなり落ちてしまう為、これについては一長一短かなと。なんと云うか、イメージ的には煙草でもわもわのジャズセッションに・・・。こうやって比べると、S/N改善のために今後Wisdom ACにはプラグ内部に中村製作所のアモルメットコアを咬ます必要があるかも・・・。とは云えWisdom ACは長時間聴き疲れしない自然さが魅力でもありますので、あくまで使い方次第みたいな。
CREEK CLASSIC CD (CD50 mk2) CDプレーヤーの紹介です♪
今度はCREEK CLASSIC CD側のORB HC-150ACWと、SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8を入れ替えてみます。この場合、アンプ側のChikuma Wisdom ACに拠る粒子情報のもわもわ感と、CDP側のABA SAC REFERENCE 1.8の高分解能が上手くマッチせず、なんだかS/N感の悪化した粉っぽい中途半端なサウンド傾向に・・・。元通りORB HC-150ACWに戻すとスッキリと滑らかになり、音楽表現の闊達さも戻ってきます。
結局CDプレーヤー側はORBに戻した方がバランス良いのですが、プリメインアンプ側は高い分解能と透明度、抜けの良いシャープな輪郭やスピード感などのオーディオ的な音質の良さを優先してABA SAC REFERENCE 1.8にすべきか? それとも耳当たりの穏やかさとナチュラルなおおらかさを取って、やや空間透明度が低めのChikuma Wisdom ACを取るか?正直かなり悩ましいところですが、ジャズや洋楽をメインで聴くのでしたら、ここはSUNSHINE SAC REFERE1.8の方が優れていそうな感じです♪
後継モデル SAC-GRANDE1.8 が発売されました。
2019年に発売されたSAC REFERENCE1.8ですが、2022年末に早くも改良後継モデルのSAC-GRANDE1.8がリリースされました。基本的にピュアオーディオ界隈では一つの製品が長期間販売され続けるのが常ですので、3年はこの界隈では異例の高速モデルチェンジかなと。
改良ポイントは、元々のディップフォーミング無酸素銅に加えてH.S.E. Grande処理、シース素材の変更等ですが、見た目には前作と殆ど同じもの。機器付属ケーブルと大差無い相変わらずの地味なモールドケーブルで、良く見ると印字に「Grande」の文字が入っているかどうかだけの違い。SAC REFERENCE1.8に施されていたH.S.E. 処理を更に高めるべく、3台のマシンで高域、中域、低域、それぞれに最適化したH.S.E.トリートメントもとい「H.S.E. Grande処理」を加えることで、更なる高音質化を目指しているとのこと。オーディオアクセサリー誌面の商業レビューで音質は従来モデルの3倍、限界レベルのS/N等々書かれていますけれど、まぁこれは商業誌特有の誇張表現と読むにしても、元々のSAC REFERENCE1.8で食い足りない部分が解消しているとしたらそれなりに期待が出来そう。
近年の社会情勢もあってメーカー希望小売価格が¥18,480(税込み)から¥24,200(税込み)に上がってしまいましたけれど、元々のSAC REFERENCE1.8の音質がお好みでしたら、今後はSAC-GRANDE1.8を選択されることでよりハイレベルな高解像度系サウンドを手に入れることが出来そうです。※管理人はいまのところ未購入で様子見です。
まとめ♪ 奇跡は舞い降りた??
初期のバーンインに思いのほか時間が必要で、新品当初は正直とても一万円を越えるような音質には聞こえませんでしたが、100時間を超えた頃から一気にレンジと透明度の向上が感じられるようになりました。普通、新品当初は歪みっぽい音が時間経過と共にマイルドになる事が多いのですが、このケーブルについては、新品当初は耳当たりが穏やかで仄かにマイルドだった傾向が、時間経過と共にクリアなワイドレンジ方向に急速に伸張していく印象でした。
サンシャイン:SAC REFERENCE 1.8 ~ 下剋上なるか ~
SAEC PL-3800やSAEC PL-8000との比較を含むオーディオユニオンお茶の水アクセサリー館さんのレビューですが、使ってみて確かにな~る程、おっしゃるとおりでした。
SUNSHINE ABA SAC REFERENCE 1.8は日本的な美意識を感じる誠実な描写で、メッキの多用による明るさや付帯音が無い事もあってトーンそのものは少々暗めですし、ややひんやりとしたモニターライクな音傾向に感じます。一瞬当たりがマイルドそうでいて、本質的にはシャープ且つクールで何処か緊張感を感じる辛口な描写です。繊細且つ情報量が多く、オーディオ的な意味での音質については見た目を覆す製品に仕上がっていて、高い透明感と解像度を維持しつつも上下にフラットにレンジが広がり、加えてドンシャリ的な誇張感が無いため、ハイレゾ音源などでその実力が際立つタイプとも云えそう。
メーカーがこの様に謳っていますので、今回手持ちの(といってもせいぜい1本1~4万円台)の国産電源ケーブルと置き換えが可能かどうかを色々と検証してみましたが、これについて管理人の環境下では、YESでもあり、NOでもあるみたいな。KharmaやNordostなど、更に上位クラスの海外製品との比較では残念ながら勝負にならなかったので割愛します。裏を返せば、ハイエンドオーディオ的に色々と脚色を加え過ぎた出音をニュートラルに引き戻すのに向いていそうなタイプのケーブルではありますので、オーディオ上級者がシステムの組み合わせに混乱した際に、敢えて引き算をするためにSUNSHINE SAC REFERENCE 1.8を1ヶ所組み込むような使い方であれば、なかなか有効なツールになりそうな予感はします。
ちなみに一般論としてこのクラスの電源ケーブルを購入するであろう、ローエンドからミドルクラスのユーザーの場合には、目指している音質傾向やシステム次第で、大絶賛するか、肩透かしになるかは評価が変わって来るかも知れません。どちらかと云うと直球ど真ん中のモニターライクでオーディオ的な音質の良さを追求した真面目な音質ですので、ハイレゾ音源派、機器選びでもスペックや最新の音質傾向、S/Nが高く詳細で高精度な音を追求されている皆さんに向いていると思います。冒頭でも触れましたが、特に機器付属ケーブルと大差ない外観のキャブタイヤ電源ケーブルの中から、更なる良品を探されている御仁にとっては、新たに強力な選択肢が生まれてしまいました\(*^o^*)/みたいな感じで、またまた電源ケーブル選びが悩ましくなってしまったのではないかと♪
逆に高級オーディオケーブルならではの色気や演出については、SUNSHINESAC REFERENCE 1.8の場合は綺麗さっぱりそぎ落とされています。特に管理人みたいなメッキジャンキーで、誰がどう見てもまともな判断力なんぞ持ち合わせていないイロモノ系底辺オーディオプロレタリアには、攻める方向性がストレート過ぎてしまい、少々音楽的な意味での魔法が足りないかな?みたいな感じがしなくもなかったり。ただそこはまぁ、結局のところオーディオに何を求めているかの違いでしかありませんから、どちらに高いプライオリティを置かれるかは、あくまでユーザーさんそれぞれの価値観次第になると云うことで、今回のレビューはここで終わりにしたいと思います(^^)ゝ
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