ONKYO A-1VL/audiopro Image12のサブシステムを補完するDACとしてPro-Ject Head Box DS(工事中)を導入して以降、ふと気付いたら、エントリークラスの適当な同軸デジタルケーブルの数が手元に足りない!という状況に陥ってしまいました。そこで色々と検討した結果、新たに同軸デジタルケーブルとしてイギリスQED(キューイーディー)のReference Digital Coaxial Audio Cableを導入する事にしました。
イギリスQEDのケーブル導入は何だかんだと久々です。最初に購入したのは20年くらい前のスピーカーケーブルQUDOS。最近では暫く前に、QED Microを1年弱くらいの間、カーオーディオのトゥイーター「FOCAL TIS1.5」で使っていました (現在は別のケーブルです)。今回のデジタルケーブルの選択理由ですが、いつものようにバジェットHi-Fi指向でなるべくお安く、予算は数千円~1万円台・・・
イギリスのショップから個人輸入してみました。
しかし音質的に僕が許容できる水準にあり、出来れば海外製品らしい空気感を感じるサウンドで、なるべく長く使えそうなシロモノ・・・といった条件で物色していたのですが、色々探していて目に留まったのがfutureshop.co.ukで51%offの型落ち半額セールになっていたQED Reference Digital Coaxial Audio Cableでした。プラグの形状からたぶん2000年代後半にリリースされたモデルかと思いますが、その後、QED Digilocと呼ばれるコレクトチャック式の純銅プラグを採用した新製品のREFERENCE Digital Audio 40に置き換わり、旧モデルの売れ残りが在庫処分に陥ったのではと推測。。。
この先代モデル、英国の各オーディオ誌のレビューで積極的に取り上げられていた形跡が薄く、アワードを色々と獲得している現行40シリーズと比べるとなんだか影が薄い存在です。現在、本国ではほぼ同価格でWHAT Hi-Fiの5つ星を獲得した新型40シリーズの下位モデル、QED Performance Digital Coaxial Audio Cableが購入できますが、こちらはメッキ無しのOFC線。新しい下位モデルよりも、銀メッキで太いケーブル径の旧型上位モデルが同じ価格・・・と云う状況でしたので、流石にグレード差を超えられないのでは?という希望的観測から、敢えて旧モデルを選んでしまった感じでございます・・・(滝汗)。
こちらは同軸ではなくQEDの光デジタルケーブル
管理人のセッティングでは最短配線がメインシステムで70㎝。複数組んでいるコンパクトサブシステムのCDプレーヤー&DAC間では全て50㎝でこと足りるため、なるべく最短配線を心掛けるポリシーの元で50cmを選びたいところなのですが、あわよくば、メインシステムでも使えたら?という目論見の元、今回は75cmの長さをチョイス。
届いた物はなんとパッケージ無しのバルク品でした。
商品説明にバルク品とは書いてありませんでしたから、てっきり輸送で傷んでほんのり潰れたQED箱に入ってくるのかと思ってたので少々ガッカリ。あと、お店の写真や商品説明でDigilocって書いてあるけどこれは旧型のRCAプラグでDigiloc違うし~(^-^;)。
今まであんまり考えたこと無かったのですが、futureshop.co.ukってもしかかして敢えてCustom Lengthのページから購入した場合、バルク品が来るのかしら? ちなみに届いたケーブルを測ってみるとなんと82cmもありました。サービスとしては嬉しいのですけど、ありがた迷惑というか、そこまでの長さは不要でしたので余裕持たせすぎだぜぇ~みたいな(^^;) また実物は英国式インテリアに馴染まないテカテカした今風の外観。紫の色使いの奇抜さはともかく、まるで日本製みたいな素材感なのは、僕が求めているヨーロピアントラッドで地味な方向の堅実感とは少しばかり違うかも。。。
それと・・・なんだかケミカル臭い。。。密閉空間に長期保存したゴムとか樹脂のメンマみたいな体に悪そうな匂いがして、触ると手にべっとり匂いがつくという・・・(≧◇≦)。最初、配線した書斎が臭くなってしまい閉口しましたが、一旦エタノールで良く拭き取り、二週間くらい我慢したらおおよそ匂いは揮発して取れました。尚、ケーブルに方向性の指定は無し・・・・・あるのかも知れないですが、外箱は無いので子細が不明(苦笑)。試すと文字の逆接続のがクッキリした音質になるので敢えて逆接続を採用しました。ちなみにこの世代のQEDケーブルはコレクトチャック方式のDigilocではありません。差し込み加減はきつくも緩くも無く程々といった感じです。※
QED Reference Digital Coaxial Audio Cable 音質レビュー♪
それでは音出しテストです。接続は採用予定のONKYO A-1VL/audiopro Image12のサブシステムA。CREEK Evolution CDプレーヤーとDACのPro-Ject Head Box DS(工事中)間で。元々光デジタル側にWireworld Supernova7(工事中)が入ってますので、そちらとA/B切替え比較も出来ます。繋げて当初は音が固まりでほぐれずなかなかに酷い音でしたが、丸1日通電したら何とかまともになってきました。※そういや、futureshop.co.ukではこの新品ケーブルの初期の悲惨な音を回避するための、Nordostのシステムを使用したバーンインオプションがあるのですが、あんまりお安いケーブルでは選択できないみたい。
まず当初の印象は、同じくイギリスの伝統的なヨーロピアンサウンドを持ち味とするIXOSに傾向が似てるな~と。QED Reference Digital Coaxial Audio Cableの基本的な音質傾向としては、暖かみのある空気感で耳当たりがマイルド、まとまりが良く一貫した濃いめのトーンが支配的。音像はやや太め。俗に云うPHILIPSトーンのイメージがとても近いです。特に弦楽器との相性が良く、とてもリアルて色彩感豊か。手持ちのQEDのいくつかのスピーカーケーブルと比べると、撚り線的でディテールが粒子状にモワッとしている点は共通していますが、より音が肉厚且つウォームで濃厚です。そこに銀メッキ線特有の中高域~高域方向への輝き感と明るさが少し加わって解像度と輪郭が上乗せされる感じですが、時間経過とともにこの点は直ぐに落ち着いてきますので、最終的には中域重視のややナローで中庸なバランスに落ち着きそうな雰囲気。ここまでヨーロピアントーンの音質傾向となると、WHAT Hi-Fiで5つ星を獲得した非メッキタイプのQED Performance Coaxialでは、まったり感が強すぎて垢抜けない印象になりそうな・・・? これ、同じく90年代に台湾で製造されていたIXOSのケーブルも同様でしたが、このQEDで採用されている5N多芯OFC線は、かなりウォームでまったりとした傾向なのかも知れません。
音楽表現力の面では、WHAT Hi-Fiでパンチとアタックに優れると書かれていますが、程々に動的で、前に向かってくる陽性の音楽性が支配的。マイナス方向の表現が出にくいので非常に音楽性が高いとまでは云えませんが、程々に血の通った闊達さを持ち合わせている印象。そして、国産製品では得がたい、いかにもヨーロッパ的な雰囲気の濃い空気感が得られます。ちなみに色で例えると赤系統で濃いワインレッド。ケーブルの見た目もパープルなので共感覚的に一致しているのですが、更に音色の赤みが強くて、だがしかし、ケーブルの見た目程のテカテカした艶感は無い感じかな。。。QEDの白いスピーカーケーブルは音色も白いので、もしかすると作り手に色聴の方がいるのかも?
音質的にいくつか気になった点
弱点も書きましょう。同軸デジタルケーブルというとVVFケーブルのような単線が使われる事も多いのですが、これは銀メッキされた5NOFCの多芯撚り線。この多芯線材の音はかなり滲み感があるというか、音場空間はパウダリーでS/Nと透明度が優れてるとは言い難く、まったり気味でもっと音がほぐれて欲しい印象はあります。中域から高域方向へは銀メッキで表面的な解像感を補ってはいるものの、フォーカスもタイトというよりはやや大きめ。低域は快活ですが沈み込みは浅め。動的な音楽性は高めなのにイマイチ音に深みが出にくいのは、銀メッキの輝きに引っ張られるイメージで中高域の華やかさが目立ち、バランスが少し腰高だからかも。
なんというか、悪く云えば90年代のケーブルを想わせる今となっては時代遅れのサウンドです。今時の音の良いケーブルが持つ3次元空間に正確に展開する音像を期待すると、空間がナローで立体感と広がりに乏しく、根本的に透明感が足りません。セッティングがコンパクトなサブシステムではあまり気になりませんが、空間のあるメインシステムに繋いだ場合、ナローバランスでステージの広さも出ず、如何ともし難い古めかしさを感じます。僕自身は古い音源にマッチするこの伝統的な欧州サウンドが懐かしくて好みなのですが、クオリティの面ではAcoustic Revive DIGITAL-1.0R-TripleC-FMに比べて軽く2クラスくらいは劣る印象で、残念ながらメインシステムで使えるレベルの音質ではありませんでした。まぁ、賞賛された現行40シリーズとは異なり、WHAT Hi-Fiで微妙にスルーされたというのには訳があるのかもという結論に。今回、旧型75cmを半額£45(37.5)で購入しましたが、定価でのコスパがそれほど良いとは思えないので、当時プロパー£86.2(13000円)で購入しなくてたぶん良かったのかも・・・みたいな。
ONKYO/audioproのサブシステムにQED Reference Digital Coaxial Audio Cableを戻します。積極的な音楽表現を聴かせるという点では魅力があるものの、透明感と解像感重視の現代的なサウンドにどうにもマッチせず。TOS側に繋いでいるWireworld Supernova7(工事中)と比べ、同軸の優位性から中高域方向はクッキリしているものの、音が中央に固まってしまう感じで、音場の広さや音離れ、間接音の透明度、低域の沈み込み、情報量などで、箱庭サイズのコンパクトシステムでも、音質的グレードでは明確に劣る印象。TOS/同軸2本同時使用で、切替えでの音色変化を求めて併用する意義を感じられず。
CREEK CLASSIC CD×Musical Fidelity V90 DACとの相性
わ~無駄な買い物してしまったか~とちょっぴり怪訝な感じだったのですが、そういえばCREEK/EPOSのサブシステムCで使っているMusical Fidelity V90 DAC。CDプレーヤーARCAM CD72TとプリメインアンプのCREEK/EMF Sequel2間を繋げているのですが、そういやMusical Fidelity V90 DACとCREEK CLASSIC CDの間はデジタルで繋げてませんでした。
CREEK CLASSIC CDはドライブメカがPCドライブの転用品でトランスポートとしての音質がぱっとしませんし、S/PDIF光デジタル出力が無く同軸デジタル出力のみですので、(グラウンドループやノイズループを避けて)無視していたというのもあります。(※ARCAM CD72Tとの間はTOSのAUDIOTRAK GlassBlack2+で繋がっています)。
試しにこちらにQED Reference Digital Coaxialを繋いでみると・・・これがなかなか予想外の好印象♪ 元々明るいレンガ色チックな色つきの音がするCDプレーヤーですので、暖色系の色が更に濃くなりますが、妙に艶と高級感が増す感じ。こちらの組み合わせでは不思議と残響の透明感が増し、また、銀線のメリットとしての輪郭感や高域の輝きがほんのり加味されて良いスパイスになります。CREEKのサブシステムCは元々音場型のシステムでは無いですので、レンジ感の乏しさと凝集感も大きな問題にならず。滲み感についても、そもそもザックリと滲んでる方が其れっぽい雰囲気に感じるレトロサウンドを追求したシステムですので、案外デメリットにならず。CREEK CLASSIC CDプレーヤー直でのレトロ調の明るい出音とも、ARCAM CD72T CD72T⇒Musical Fidelity V90の素直ながらやや翳りのある深い音ともと異なる、しかしそれぞれに濃厚なヨーロピアントーンがこの繋ぎ方で3パターン得られますので、これはなんだか得した感じに♪ ・・・オーディオの組み合わせとは恐ろしいもので、こちらのシステムでは前出のAcoustic ReviveのデジタルケーブルDIGITAL-1.0R-TripleC-FMよりも、QEDの方が明らかに相性が良く、よりスケールが大きく闊達な音楽表現を楽しむことが出来ます♪
~まとめ~
そんな感じで、QED Reference Digital Coaxial Audio Cableは予定外ではありますが、サブシステムCに収まることになりました。音質面で多少なりとも妥協があったとしても、音楽再生用途なのですから、音楽性が高ければ何だかんだと使いようはあるのですよね。サブシステムAのPro-Ject Head Box DS(工事中)向けデジタルケーブル選びはまだ続きそうですが、とりあえず今回はここまででございます。。。