CDアルバムのプレス国や年代、リマスタに因る看過出来ない音質の違いについて【後編】

どうして僕がフィジカルメディアに執着するのか?たぶんきっと見えてくる話
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ノーマライズの弊害について

これもなんだかなぁと思うのですが、特に作曲家別や楽器別の企画盤BOXで状態化しているように感じますが、音質クオリティや年代がバラバラの録音を一つの企画としてまとめるために、音量をノーマライズ(音量正規化、平均化)しつつ、一定のキャラクターを加えて音色と音質を均質化する手法です。円盤蒐集家のクラヲタがこういった企画箱を買うと、大抵は既に所有しているオリジナル盤や他の企画モノに含まれる音源と中にある数枚が重複してしまうのですけれど、これらの同一音源を比較したとき、ノーマライズされたBOXセットの音質は往々にして単売のオリジナル盤に比べて鮮度が落ちているのです。

DECCA Piano Masterworks 50CD BOX set

或いは箱の全アルバム通してトーンが偏った変な付帯音がしたり、音量を揃えるためか、オリジナルアルバムのメリハリが感じられなくなっていたりすることも。こうなるともう、まさしく安物買いのなんとやらで、コレクションとしては2級品のサンプル音源くらいの意味しか無くなってしまい、聴いて気に入った盤については、別途、単品発売されたオリジナルの中古盤を態々探してこないといけません・゜・(ノД`;)・゜・

この手のBOX企画でも例外はあったりして、僕が気に入っているのがDECCA PIANO Masterworks。中に入っているものはDECCAのみならずDGやPHILIPSも含めた50枚のごった煮企画なのですけれども、DGやPHILIPSの音源が硬質でクールなDECCAサウンドに統一均質化リファインされていて、DGやPHILIPSの、特にアナログ録音時代のオリジナル音源ではボケていてパッとしなかったものが、あくまで好みはあるのですが、均質化リマスタでクリアになり、ある意味では良くなっているようにも感じられる当たりBOXでした。例えばDGで録音したアルゲリッチによるショパン前奏曲集が、まるでDECCAでデジタル録音されたかのようにリマスタリング?されていて、オリジナル盤と敢えて両方を持っていたくなる的な(但しDGのリマスタ箱はなんですかこれ?)。ただこれもあくまでOIBPリマスタの影響を感じる音質ではありますし、そもそもDECCAの硬質で冷たく青光りした音作りが苦手な御仁は、ショックのあまり窓から放り投げたくなるかも知れませぬ!?

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そんな感じで、BOX企画化のノーマライズで良くなる?事もありますが、その反面、均質化のための変なキャラクタが付加されてしまい、そうなるとほんと余計なコトをしてくれるなという結果になってしまい、是非ともBOX化する際には過剰なお仕事はしなくても構わないので、元のアルバムのデジタルデータを一切弄らず、な~んも加工しないでそのまま手抜きで箱詰めにしつつ再販して欲しいと思うのでした♪

out96bit-music:録音レベルが低い音源をノーマライズで解決してはいけない理由

ピュアオーディオ再生での影響

こうやって低ビットのデジタルデータをベースにオーバーサンプリングやリサンプリングによって仮想的にハイビット化した音質について、僕のように苦手とする人が居る反面、良いと感じる方々も実はそれ以上に多く居る?からビジネスとして成立する技術でもある訳です。90年代以降は民生用のオーディオに於けるCDプレーヤー、D/Aコンバータ等のコンポーネントでも、機器側で再生時に高度なリサンプリングや高次オーバーサンプリングを加えて再演算することを売り物にしたモデルが数多く現れ、2000-2010年代はハイエンドオーディオ界隈を中心にそういった仮想演算技術の高度化と高精度化を競うような時代に突入しています。ただこれはあくまで再生用コンシューマー向けオーディオ機器に於いて、機材を選んだユーザー側が任意の選択肢として後付けで施すものですので本質的な問題ではありません。聴いて好みで無いのでしたらその機器を選ばなければ良いからです。とは云え、20年前はなんとかProcessingとかレガートリンクコンバージョンとか、ユーザー側もある意味判っててレタッチてんこ盛りの仮想演算の音色って面白いよね~♪って感じでしたが、シンプルな比較対象が消えてしまった昨今は、高次演算で高音質がガチ!みたいになっているのか、あんまり異論反論ありきで迂闊に触れられない話題になってしまったような気もします(苦笑)

ちなみに僕個人の立ち位置は、録音された当時の機材に近い、その時代のA/D D/A変換方式のDACで聴くのが聴感上一番しっくり来るのが本音です。古いものは古いDACで、新しい音源は新しいDACで、DSD録音は当然DSD直で、みたいな。

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そんな現代でも、この手の高次のデジタル演算が醸し出す、ある意味で仮想現実的な付帯音?がてんこ盛り的なサウンドに違和感を感じる音楽愛好家やオーディオマニアが一部にはいて、今の時代に敢えて、時代に逆行するNOS(ノンオーバーサンプリング)や、デジタルフィルーレスや、80年代に設計された低速演算マルチビットチップを積んだ古いDACチップを搭載した、旧型のCDプレーヤーD/Aコンバータを今更探し求めたりする方もいたりします。更には当時使われていた16~24ビットフォーマットに忠実な旧世代のDACチップのストック品を、敢えて新規採用したニッチな機種に辿り着いたりされる、奇特・・・w じゃなくて感性が鋭く、良い耳をお持ちの方が少なからずいらっしゃるのは、音楽愛好家にとってある種の救いと云えるのかも知れません。現代のデジタルトレンドもある意味では日進月歩の途上にある過渡期の技術に過ぎませんので、今後、更にデジタル変換の方式が変わったり、より精度が向上ですることで、こういった現行のデジタル演算方式で生成された音質に対する生理的違和感から開放される時代が来るかもしれませんし、来ないかも知れませんし、それは神のみぞ知るセカイ・・・みたいな(謎)

サブスクリプション、デジタルストリーミング音楽配信の問題について

ここにきて、サブスクリクション(定額制音楽配信、聴き放題のストリーミングサービス)に課金することで、24時間好きなときに好きな音源を聴く事の出来る音楽配信サービスのシェアが急激に伸び始め、世界では既にCD、LP等のフィジカルメデイアの合計売り上げを上回る状況になって来ました。日本ではサブスクリプションの普及速度が遅く、まだまだフィジカルメディアがかなり強かったりするのですけれど、それでも近い将来、並ばれ追い越される可能性は高いと思います。まぁこの話、あくまで総売り上げの話なので、聴き手がアルバム単位でどれだけ音楽を聴いているか?という量的実態とは乖離しているようにも感じていますけれど・・・。

管理人のように同一音源のマスタリング違いやプレス違いで一喜一憂するレベルで音質にこだわりがある場合、ストリーミングサービスによる配信音源では、同一アルバムでデジタルデータレベルで複数の音質バージョンが存在する場合に、この種の配信サービスでは任意の音質バージョンを選べないと云う問題が出てきます。サブスクリプションでは、課金を続ける事で音楽を聴く権利を買うことが出来ますが、配信元のデジタルデータの元品質まで細かくユーザー側が選ぶことは出来ません。音源のマスタリングの世代や元データの品質について、配信元が仕様を変更したり最新リマスタで上書きしてしまえば、現状はリスナーがそれを丸呑みするしか無いからです。

例えば僕は今、漫画や書籍についてはなるべく電子書籍で購入するようにしていますが、これは僕がビブリオマニアの道を選ばなかったことと、自宅の限られたスペースと本棚がCDなどの音楽メディアのコレクションで埋められているため、もうこれ以上書籍を並べる余裕が無く、音楽のために紙の書籍を並べることを諦めたのが理由です。趣味人としてこれが良い選択だとは正直なところ思っていませんが、物理空間の制約上致し方ありません。とは云え、電子書籍で漫画を読むようになって気になっているのが、紙媒体の漫画に比べてデジタルの画質が実はそんなに良くない点です。しかも、電子書籍の配信元でも画質が違ったりします。一律同じ金額を出しているのにもかかわらず・・・(苦笑)

これはデジタルストリーミング音楽の場合でもある意味同じで、多くの場合は最新リマスタされた音楽データによって配信されていて、古いオリジナル盤の音質や、或いはどこかの世代のリマスタ盤の音質を、聴きたくても聴けないことがままあるというのが実情のようです。しかも、新しいリマスタが出る度に、アルバムの音源が自動的にそちらへアップデートされているなんて事も起こりそう(サブスクに課金していないので良く知らない)。現行のサブスクリプションサービスって、同一アルバムに於けるデジタルデータの世代違いを、それぞれ別物として配信し続けてくれるほど親切だったりするのでしょうか?

リマスターの匙加減一つで、演奏の本質、魂が伝わらなくなるなんて日常茶飯事なのに、データのクオリティを本質的にユーザー側でコントロール出来ないとか、こんなのヤダ~(≧◇≦)って思ってしまう訳で。。。こんな状況にもかかわらず、トレンドの定額音楽配信サービスに乗ってフィジカルメディアを処分する方に舵を切るか、あくまで昔ながらの皿回しに拘るのか?という話、実は音楽の深い部分への理解度や、執着の深さの違いだとも云えるのでは無いでしょうか?それは真のビブリオマニアが、決して電子書籍に手を出さない事と、ある意味同じ事なのではと思ってみたりするのです。

out件の事件の是非について・・・

19/3/15追記:更にタイムリーな話ではありますが、先日の電気グルーブ、ピエール瀧氏逮捕の件で、某ストリーミングサービスが楽曲の国内配信を止めてしまうなど、アーティスト等が関わる社会的な事件を切っ掛けに、ある日突然個々人にとっての大切な音源を聴く事が出来なくなるかも判りませんし、配信元とアーティスト間の契約問題から楽曲がいつの間にやら配信リストから消えている・・・なんて事も、実はサブスクリプションサービスではしばしば起こり得る事です。家庭内で音楽を聴く体験をプライベートな権利と捉えるか、あくまで他者からシェアされた権利の貸与と捉えるか?このように考えただけでも、12cm回転光学式円盤規格のCDや、ヴァイナルレコード等々のフィジカルメディアは、再生装置含め今後とも決して無くならないと、個人的には割と楽観的に捉えていたりします♪

internal【CD・LP】やっぱり音盤・・・光学ディスクメディアとレコード盤が好き♪【SACD】

~まとめ~

要するに、アルバムの再販をする際に、古い技術の枠で低ビット録音されたものはそのまま素直に余計な加工をせず、当時のオリジナル盤のまま何もせずに再販して欲しいというのが僕のささやかな願い。実際、再販廉価BOXのなかにはレーベル側に良い意味でやる気がなさ過ぎるのか、当時のオリジナル盤のデータ、プレスマスターが加工されずにそのまま流用されたと思われる廉価盤もそこそこあります。厳密にはオリジナル盤とプレス機が違うためにCDプレーヤーで再生した際に聴感上の微妙な違いは感じられるにしても、それくらいは(安いので)まぁ許容しなくてはと思っていますし、データレベルでの変調が加えられていないように聴こえるものであれば、わざわざ初期盤を探して重複購入する手間も殆ど不要になります。しかし現実には、廉価BOX企画は安価にまとめて沢山のCDを所有出来る反面、変な音に改悪されてしまった地雷箱もそこそこ沢山混ざっていますので、クラシックな音盤コレクターからするとなかなかの博打だったりする訳です。ていうか、安価でも失敗したときに枚数が多いと心理的なダメージが大きいのですよっ(^-^;)

実際のところ、リマスタ盤がどれもこれも全て全滅という訳では無く、耳の良いエンジニアが関わることで、むしろオリジナルより良いんじゃないか!?となるケースも無くは無いです。確率的にはやや低めなのが残念なところですけれども。。。それでも、書斎に歴史を感じる音盤と、高価では無いけど味わいのあるオーディオ機器に囲まれて埋もれていたい皿回し派のフィジカル音源蒐集家としての理想を云わして貰うと、全ての音源を欧州及びUSオリジナル盤か、それに準じるデータレベルでの改変が無い再販もので揃えることだったりするのは、きっと今も昔も変わらないのだと思います。

そしてこれらはあくまでCDの話です。LPと違ってCDは、デジタルリマスタリングを施されたり、企画に合わせてデータレベルでノーマライズやローカライズ加工されていない限り、盤に傷や劣化が無ければデジタルデータそのものは基本的に変わりません。今のところCDの初期プレスの大半はレコード盤のオリジナル初期盤ほど入手困難ではなく、コンディションの格差がある訳では無いのがデジタルメデイアの救いではあります♪

o-greenCDをより良い音で楽しむ方法

まぁ・・・あれです。。。これらは全て管理人のようなパラノイアの戯れ言ではありますけれども、細かな違いがわか・・・あまり気にされない方々が、リッピングした原盤をあっさり手放したり、音楽配信に頼ったり、箱買いした音源で重複したオリジナル盤をせっせと捨て値で手放してくれますし、世界的に配信がトレンドになりつつの今の時代だからこそ、中古CDが屡々タダ同然で回収出来てとてもお得ですし。今の時期、粛々とそれらを落ち穂拾いし続けた円盤蒐集家が勝ち・・・ではないかと、この時代に敢えてCD蒐集を楽しみつつ、内心ふふふと思っているので御座いますd(^_-)

どうして僕がフィジカルメディアに執着するのか?たぶんきっと見えてくる話
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