FURUTECH e-TP60 電源ボックスの音質レビュー♪

今日紹介するのはFURUTECHの最廉価電源ボックスe-TP60です。数年前にフルテックさんからしばらく試聴機をお借りしたことがあり、その際にとても印象が良かったこともあって、その後にムラウチ楽天市場店であらためて新品購入たものです。尚、2019年初春の時点でFURUTECH e-TP60は、箱ピュアメインシステムの副系統として、壁コンセントのPAD CRYO-L2(2口の上側)に、PS AUDIOの電源ケーブルXPD MK2 Preludeを介して繋がってています。

FURUTECH e-TP60 b

オーディオで電源タップに投資する意味が果たしてあるのか?それは実際にある程度良い製品を使ってみると一聴了然だったりしますけれども、今回紹介するe-TP60/e-TP66系については、価格帯も含め、脱初心者されたオーディオ中級者さんくらいまでに広くお薦め出来る、汎用性の高い電源ボックスの筆頭候補ではないかと思います。

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FURUTECH e-TP60 本体の外観

アルミの筐体ですが、トップパネル以外はやや薄めの筐体という事もあって、この手の高級電源ボックスの中では比較的軽量な部類です。外観は写真で見るよりも品が良く、高級感があってなかなか美しいです。アルミ一枚板のトップパネルが斜めに湾曲傾斜しているため、電源ケーブルを挿した際にコードが手前に斜めに迫り出してアンバランスにならないか?これが実は一番気がかりでしたが、実物の傾斜度は大したことなく、太い電源ケーブルをいくつか挿しても見た目での違和感や圧迫感は殆どありません。

FURUTECH e-TP60

ただ、部屋の電源配線の関係で左側側面から入力電源ケーブルを配線する場合に、筐体が後ろ向きになってしまうのが弱点ですね。e-TP60に限らずフルテックの傾斜デザインの電源ボックスはこの点に問題があると思います。正直、インレットが左右逆のバージョンがあっても良いのにと思いました。

使われているオーディオグレードコンセントについて

e-TP60に内蔵されている壁コンセントは透明ボディで導通部が金メッキのFURUTECH FP-15A(G)が3個。色違いですがJ1 project PT-4(初代)でOEM採用されていたものと同じです。ちなみにJ1ではボディが半透明のグレー。他に単品で当時市販されていたFP-15AではFP-15A-N1というホワイトのモデルもあります。廃盤になる前の単品価格は確か1個で6825円ですので、それが3つ入っていることを考えると、e-TP60のシャーシ+内部配線+インレットはなかなかお買い得ですよね。ちなみに単品発売されていたFP-15Aには他に(R)ロジウムメッキと(CU)無メッキバージョンがありました。

FURUTECH FP-15A(G)

FP-15A(G)そのものはかなり以前にディスコンになっており、現在では後継モデルのFPX(G)金メッキ/FPX(R)ロジウムメッキ/FPX(CU)無メッキが発売されていて、17年に発売された縦長タイプの電源ボックスFURUTECH e-TP66では新型FPX(G)金メッキが採用されています。e-TP60もマイナーチェンナジでFPX化してくれたら良かったのですが、僕が購入した17年製造のロットでは見た感じFP-15A(G)みたいです。※見た目が透明でFPXにも見えたので問い合わせたのですが、FP-15Aとの回答でした。公式サイトにもFPXとは書かれていませんので、何か旧型に拘る理由があるのかも知れません。PSE認証絡みで変更出来ないのかも。。。

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壁コンセントのFP-15A系と後継モデルのFPX系は外観的には殆ど違いがありませんが、20A仕様のFPX(厳密にはFP-20Aの後継)では良く見るとコールド側の端子が(IL型端子用に)横向きのT字型になっていますが、15A仕様のFP-15A系は縦穴2本です。内部構造等も15Aと20A対応品で異なるそうで、その為に音質にも違いがあります。内部配線は単線のFURUTECH μ-14ワイヤ(14AWG≒2mm)。残念ながら部品としては販売されていません。底面には電磁波吸収材FURUTECH GC-303が敷き詰められています。見た感じは粉砕された緑色の綺麗な鉱石で、トルマリンっぽい印象。フルテック製品らしく全ての金属部品はα(Alpha)Process処理が施されています ※-196℃での超低温処理と特殊電磁界処理をするクライオ処理っぽいやつです。

FURUTECH GC-303 μ-14

尚、e-pt60の底面はシンプルな硬めの四角いゴム足4点支持ですので、適宜インシュレーターを介在させることで音質に変化を出すことが出来ると思います。管理人はとりあえず御影石ボードにそのままポン乗せしていますけれども、ここを例えば響きの良い上質な木材ボードや木曽アコースティックのfo.Q 電源ボックス用ボード IP22等にしてみると、それぞれまた違った味わいの更に良い響きを引き出せるそうでちょっと興味があったり。。。

FURUTECH e-TP60 音質レビュー♪

ここからは肝心の音質についてです。FURUTECH e-TP60の傾向を一言でくくると、清涼感と透明感のある繊細で非常に綺麗な音色の電源タップです。ハイスピードがつ音像描写の線が細めで、スッキリとフラットに広がる帯域、間接音の分離も良く、解像度はかなり高い傾向。ボーカルやセリフの音抜けはすばらしいの一言。素直で音色に変な色付けが少ないのがとても好印象です。例えるならやや浅めのコントラストで描かれるパステルカラーで透明水彩の筆致に近いのですけれど、温度感はほのかにクール。薄味でおとなしい方向性ですけれど、高域方向は爽やかに良く伸びます。

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美音系で、艶と明るさと潤いがあり、音楽の流れが素直でスムーズ。細部の描写に優れていてレンジ感も広く、この音質はハイレゾ音源に極めて向いている印象。低域方向も解像度が高く、膨らまずにスリムで明瞭感がありますが、自分の手持ちのオーディオ用高級電源タップの中では量感の面でいちばんあっさりした傾向。この辺は低域側のよく出る電源ケーブルと組み合わせることで、全体としてのバランスが取れると思います。ハイスピードな電子音楽から洋楽ポップス、ピンポイント定位しつつ空間が広がるためアニソンの女性ボーカルも魅力的ですし、上品な傾向ですのでクラシック音楽にも向いた美音系です。裏を返せば下品で太い音や汚れた音は出にくいイメージです。家のシステムではe-TP60側にLUXMAN 真空管ハーモナイザーMARANTZ CDR630、PHILIPS FT930、そしてHDD/BDレコーダーのSONY BDZ-EW1100を繋げていますが、映像も音声と同様に線が細かく描かれ、キレイめの発色で爽やかさと透明感が際立つ傾向になりますし、アニメの背景効果音の分離や立体感も素晴らしく向上します。

組み合わせるべき電源ケーブルについて

手持ちのフルテックの電源ケーブル、Absolute Power ll-18The Astoriaとの相性はさすがに良く、敢えて不満を感じる方が難しそうな印象。但しThe AstoriaよりもたぶんきっとThe Empire方が合いそうな気がする・・・。ワイドレンジで高域方向への広がりが魅力ですので、自作や他社製電源ケーブルとの組み合わせによってはやや聴き疲れする傾向が出るかも知れません。基本的に癖が少なく、低域方向の厚みをある程度補えるタイプの電源ケーブルが向いていると思います。また、ノイズフィルターは内蔵していませんので、背景のS/N感や沈み込みについてはe-TP60以外の要素次第で左右される印象。清楚な佇まいの出音でノイジーではないのですけれど、管理人のシステムのようにピュアオーディオとAVが混在している場合などは、何となく空きコンセントにノイズフィルターを1つ追加してみたくなるところではあります。

管理人の場合、電源ケーブルそのものが双方向にノイズフィルター的な聴感S/N改善効果を持ち合わせるPS AUDIO XPD Prelude MK2と組み合わせてそこそこ納得できる音質になっていると思いますが、XPDがベストの選択と云うよりは、手持ちのフルテックの電源ケーブルが他の箇所で使われているのでe-TP60側に使いたくても回せないというのが理由だったりします。

e-TP60

そういえば、以前にフルテックさんよりお借りしたキズだらけで何度抜き差しされたのか判らない年季の入った試聴機よりも、自前で新品購入したものは明らかに音質が良く、よりワイドレンジで音抜けが良く、高解像度且つフレッシュな音質でした。当時お借りした試聴機は、良く云えば角が取れては居ましたが、自機に比べて上下の伸びが甘くて音色に僅かなくすみがあり、ここまでハッとさせる美音ではありませんでしたので、経年劣化によって本来のe-TP60の魅力の8割くらいしか出ていなかったのだなぁと。。。特に壁コンセントは抜き差しを繰り返すことで接点が汚れ、傷が入り、勘合が緩んできます。汚れは綿棒とクリーナーで落とせますけれども、勘合が緩んでしまう(新品時はかなり固い)のは避けられず、抜き差しを繰り返す環境で初期のタイトな音質と音抜けを維持し続けるのは困難だと思います。

※尚、2021年現在、e-TP60と壁コンセントを繋げる電源ケーブルはカナダ XLO Electric Reference 3 R3-10 AC Power Cableに置き換わっています。そちらの音質については後日別途詳細レビューする予定。※記事が出来ましたらここにリンクします。

あらためてe-TP60の内部について

今回、ブログで紹介するために自機の上トップパネルを外してみたのですが、新品状態では特に四隅のトルクスネジが特にかな~り固く取り付けられていました。壁コン固定用のプラスねじネジもそこそこしっかりです。ネジの種類は4隅がT20 ヘクスローブ、3つのコンセントはセンターのプラスネジのみで止められています。ネジそのものは非磁性体です。尚、電源タップの分解は1年間のメーカー保証から外れますので自己責任でお願いします(ブログ主としては非推奨です)

フルテック e-TP60 inside

開けて見ると中身も上質且つなかなか繊細な構造で、壁コンの入れ替え等も可能ではありますが、そこまで簡単ではない印象。というか知ってる人からすると構造そのものが難しくはないのですが、筐体精度の高さと空中配線の複雑さから、ただ開けて元に戻すだけでも意外と細かなコツがいりますので、不器用な人が下手に触るとたぶんきっと壊しそうな感じ・・・。この辺りは単純明快で内部部品の換装が容易な構造のJ1 project PT-4とは違って少々気を遣いますね。パネルの精度も高いので、少しでもズレると綺麗に嵌まらなくなります。ネジを外す時と戻す際には、応力が均等に分散するように対角線上に少しずつ丁寧に回していく繊細さが要求されます。

あいにくトルク管理が可能な精密トルクドライバーを持ち合わせていないため、ネジを戻す際には記憶と手の感覚で締めることになりましたが、たぶんセンターの+ネジ(大きな2番ドライバー)が元々より僅かにキツめに締めたっぽく、組み直してからの音質が以前よりタイトなものに変わってしまいました。元々はもっとふわっとした響きが出ていたのですが、それが少し抑えられた代わりに映画やアニメ視聴時などのセリフ帯域の密度感が上がってタイトになり、今までよりも聞き取りやすくなった感じです(^^;)

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今回、とりあえず内部の壁コンセントFP-15Aを分解交換できることは判りました。後継コンセントのFPXシリーズも入りますし、J1 project PT-4のようにコンセント本体の横幅制限もありませんので、使おうと思えば使おうと思えば現在最高の音質と名高いFURUTECHのGTX系壁コンセントを入れることも可能と云えば可能っぽい・・・GTXに3個まるっと入れ替えたりするとお値段的に色々おかしな事にはなりますれども(滝汗) 他社のUL規格2口壁コンセントに換装することも可能だとは思いますが、奥行きのクリアランスがあまりありませんので、FPXの28.2mm(H)を超える壁コンセントは物によって入らない可能性がありますので注意しましょう。

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とは云え、もしe-TP60の音質に明確な不満が在れば将来的な壁コンセントの換装も考えるところですが、正直に云うとFP-15A(G)からわざわざ交換する意味を見いだせないくらいには完成度が高く、たぶんこれ、縦長タイプの新型e-TP66に採用されているFPX(G)でもそうだろうと思います。e-TP60もあくまでFP-15Aを前提に音作りが為されているものですから、交換したから劇的に良くなるか?については希望的観測の域を出ませんし。中古品などで既に使い込んでいて、内臓コンセントの勘合が緩んだり傷んでしまっているものについては、自己責任で新品のFPX系に入れ替えるのはアリだと思いますが、もうほんと敢えて繰り返し書きますが自己責任ですので公式には非推奨です。

※同価格帯のe-TP60と後発e-TP66の違いですけれども、内部のコンセントがFP-15A(G)かFPX(G)の違いに加え、インレット前後にe-TP60には無いポリカーボネート樹脂パーツが使われている点で音に違いが出ると思います。構造的に筒状のe-TP66の方がアルミニウムシャーシの剛性を稼ぎやすいのですが、重量はe-TP66が100g程軽くなっている模様です。加えて内部の電磁波吸収材FURUTECH GC-303が無くなり、e-TP66では代わりに特殊震動吸収剤が敷かれているようです。管理人は置き場所の問題からe-TP66の全長(416mm)が長すぎて入らないため見送りましたが、置ける場合にはe-TP66も選択肢に入ると思います。

毎度のことですけれどFURUTECH製品の偽物に注意

FURUTECH e-TP60はこの手のオーディオ製品の中では比較的低価格にもかかわらず、かなり以前から中国製とおぼしき偽物が数多く出回っています。ヤフオク!や海外オークション通販、フリマアプリ、マーケットプレイス等で購入される際には注意を払いましょう。

製造元OEMなどとまことしやかに囁かれることがありますが、正規品と偽物の両方の外観と音質を直接比較した方が全く違うものと述べている以上、デマでしょう。正規品を聴けば判りますが、単に寸法や外観をそっくりにコピーしたところで(低純度な安部品の組み合わせで)e-TP60の洗練され澄み切った音質に辿り着くことは無いと断言できます。また、中古品についても、壁コンセントの性質上、本来の良さが新品でないと享受しにくい(中古品はコンセントの劣化度合いが不明)ものですので、新品で入手が出来る間は、個人的には国内の正規取扱店から新品で購入されることをお薦めします。コンセント部分だけを後から新品に換装するとむしろ逆に高くつきますし・・・(^^;)

~まとめ~

管理人の場合、メインシステムサブシステム共に、電源ボックスについては従来もう少し上位クラスの製品を複数使っていましたので、エントリークラスのFURUTECH e-TP60やe-TP66では結局満足できないのではないか?という一抹不安があったのですけれども、実際に導入して使ってみると、どこでも素直で使いやすいバーサタイルな音質傾向である上に、システムのHi-Fi的な音質をかなり大きく底上げしてくれますので、むしろこれ以上のクオリティの電源ボックスってば、そんなには要らないのでは?と思ってしまいました。要するに欠点の少ない製品だと思います。管理人が愛用しているCSE CX-63AJ1 project PT-4×2台については、音質的にe-TP60やe-TP66を上回っていると云うよりは、より癖と個性が強く、それを組み合わせ等々で手なずけられるか?みたいな部分もありますから。。。

あとこういった電源ボックスで忘れてはいけないのは、タップそのものに直列に繋げられている機器のみならず、大元の壁コンセントを通して並列に繋がっているJ1 project PT-4側に連なる主力オーディオ機器の方にも、何故かe-TP60×PS AUDIO XPD Preludeの音質傾向が、お互いに干渉してかなり乗ってくる点です。今回の場合はe-TP60を並列に使うことではっきりと良くなりました。即ち、積極的にフィルターを内蔵していなくても、並列型ノイズフィルターのような役割をしているように感じるのです。裏を返せば屋内配線の電源ラインに並列接続されている要素全ての音が良くも悪くも乗ってくる訳ですから、各部屋の壁コンセントの質も含め、特にメインのオーディオ機器に近い側に連なる電源機器や家電製品ほど優先的に、なるべく聴感上高音質なものを充てがうのが望ましいというのが僕の持論です。

FURUTECH e-TP60の場合、総額数百万クラス以上のハイエンドシステムでは流石に重低音域の軽さが気になるとは思いますが、箱ピュアで紹介しているエントリークラス~ミドルクラスのオーディオシステムをお使いで、電源タップ関係にまだそれほど投資されていない、或いはCLASSIC PRO PDS8FURMAN SS-6Bあたりでとりあえず済ませられている場合、ステップアップとしてFURUTECH e-TP60やe-TP66を導入されると、一気にパースペクティブ広い音場と空間定位、洗練された美音空間を得ることが出来ると思います。オーディオ的には更にストイックな音を出す製品も他にありますけれども、音質的な癖の少なさと音楽性の自然さを鑑みるに、音楽愛好家さんでしたらこれで上がりでほぼ問題ないと思いますd(^_-)

+For
癖がなく素直で洗練された高解像度系のフラットサウンド
細やかなグラデーションと透明感を感じる明るく繊細で美しい音色
オーディオ的にも音楽的にも完成度が高くウェルバランス
品質に対して安価

-Against
音の太さ、押し出し、濃厚な表現、陰影の「影」を求めるには不向き
重低音域の沈み込み
左側から配線すると後ろ向きになるデザイン

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コメント一覧 (2件)

  • ケーブル類は殆ど自作で(懐具合の関係)いろんな物を作りましたが電源関係はあまり関心がもてませんでした。
    数年前、地元公民館のPA一式を任され購入した時のポイントが2万円近くもらえたのでこの際と思い聞き覚えのあったオヤイデのブラックマンバをもらったのですが届いた現物は名前のとおりで使わずに数か月放置後、友人にあげようと思い一応音を聞いておこうと接続してびっくり
    足を滑らせ電源の泥沼に入ってしまいました その後いろいろやりましたが私にとって一番効果の見られたのが
    アメリカン電気製埋め込みコンセント・サブゼロ処理の製品でした
    オーディオって不思議なものですね

  • そうですね。色々なアクセサリの中でも相対的に電源関係が一番変化が大きく、コスパが良い部類に入るのではと感じてます。

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