【QUAD L-ite2 英国製超小型ブックシェルフスピーカーのレビュー】
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前述のTweeter側シングルワイヤング接続の音質に気をよくしたものの、やはり付属ジャンパープレートの呪縛からは逃れたい。ですのでとにかく、先ずはスピーカーの持つポテンシャルを正しく把握するためにも、バイワイヤリング接続での音を知っておく必要があります。といっても今現在手元にある安いスピーカーケーブルの切れ端を取っ替え引っ替えして、とりあえず満足できる組み合わせを探そうって安直な話であります\(^o^)/
Tweeter側 SUPRA CLASSIC 2.5H+Woofer側 Tara Labs Omni 8N
残念ながら今なぜか手持ちに同じスピーカーケーブル×2ペアの持ち合わせがありません。よって高域側にはそのまま錫メッキ極細多芯撚り線のスープラCLASSIC 2.5Hを流用。ショートバーを外し、低域側にはTara Labs Omni 8Nを接続します。タララボのオムニは純度8Nの硬い単線を7本撚ったシールド線で、音調傾向も単線のそれです。アンプ側のスピーカー端子は1系統しかありませんが、1ヶ所2本ずつは物理的に刺さりませんので、こんな感じで低域用(PRISM)を直接配線、高域用(CLASSIC 2.5H)にはバナナプラグを使用しました。尚、基本的なセオリーとしては音質が多少悪くなってたとしても耳に付きにくい低域側にバナナプラグを使う方がベター(環境で違いますので要検証)だと思いますが、ここはテストなんで悪しからず。
この組み合わせでバイワイヤリング接続した場合の音は、シングルワイヤリングと比べて一聴して静かなサウンド。落ち着いた音でフラット。下から上まで先程までよりもずっとワイドレンジ。シングルワイヤーではf特の狭いカマボコサウンドで、如何にも小型スピーカーが一生懸命頑張ってますって絞り出した感じの音の出方でしたが、バイワイヤーでは普通にワイドレンジ。これでしたら大きなQUAD 11L2や12L2と比べても、音場スケールがコンパクトになるだけで品位の面では遜色なくなるかも知れません。まだ完璧ではありませんが、気になっていた高域の歪み感も半減して真っ当な音の出方になります。響きの量は大幅に整理されてスッキリした印象。低域はTara Labs Omni 8Nのキャラクターで情報量が整理されたウォームでモノトーンな感じになります。
Tweeter側 QED Silver Anniversary-XT+Woofer側 Tara Labs Omni 8N
上の組み合わせも当初はそれほど悪くなかったのですけれど、数日このままバーンインをして馴染ませていたら、割と微妙な音質になってしまいました。落ち着いた後は接続当初の歪みから来る鮮度感が失われて、ごくごく地味な音質になってしまい、尚かつ高域方向は多芯線独特のザワザワとしたザラザラ感だけが残るつまらない結果に。。。
QED Silver Anniversary-XT(シルバーアニバーサリーXT)レビュー
QED Signature Genesis Silver Spiral 音質レビュー♪
QED Silver Anniversary-XT(シルバーアニバーサリーXT)はシルバーコーディングケーブルだけあり、中域から上の音色の視覚的な色付けがグッと少なくなります。煉瓦色が淡雪色になる感じです。レンジ感は程々で、特に中域中心にカマボコ状に張り出すイメージ。柔らかいが芯のある音像で屈託のない快活な描写。高域のホールトーンはどっかへ行方不明。Hi-Fiと云うよりは、良くも悪くもイギリスのスピーカーらしい親しみやすいサウンドテイストになります。高域の歪み感は明確に減ります。問題は、QUAD L-ite2の芯のある中域の張りだし感と、シルバーアニバーサリーXTの持つ中域の張りだし感が良い感じにマリアージュしてしまい、ミッドレンジがこれまで以上に押しつけがましい音になること。UKロックにはこれくらい厚かましくないと!などと云う兄貴がいるかもですけれど・・・\(^o^;)/。音楽性の面では適度に動的且つ朗らかで魅力的ですけれども、このスピーカーケーブルを使うと「光と陰」の「影」の部分が消えてしまうんですよね。良い人なんだけど深みが足りないみたいな。。。(謎) ⇒2003年、UKロックをめぐる証言集
バイワイヤリング接続のメリットとデメリット
取っ替え引っ替えを総括すると、やっぱり傾向の好き嫌いは別にして、ピュアオーディオの方向性としてはバイワイヤリグ接続が正しい接続方法なのだと感じます。録音、演奏の素の特性を最もデフォルメせずに正確に伝えています。この差を体感してしまうと、バイワイヤリング対応スピーカーは、間違いなくバイワイヤリング接続の音を前提に設計しているとしか思わざるを得ません。そしてまた、バイワイヤリング接続を試す事でやっと上流にCREEKのシステムを繋いでいるな~と云う事が良く判ります。接続機器やソースのディテールが、シングルワイヤリングのようにスピーカーとジャンパープレートのキャラクターでマスキングされなくなりました。
しかし、正しいバイワイヤリング接続と云えどもメリットばかりでは無いのかも知れません。ココで敢えてバイワイヤーのデメリットを挙げると、全体的にはスッキリしすぎてつまらない音質傾向になる点です。どうもパッションというかエネルギーが削がれ気味で落ち着きすぎていると云いますか、客観的で大人しい冷めた音なのです。アンプのドライブ力が僅かに足りなくなる気がすると云いますか、ウーファーとツイーターの電気的距離を離して並列接続した所でインピーダンス低下の影響は軽微だと思うのですが、聴感上は不思議とアンダーパワー傾向になります。逆に今回使用しているEMF Sequel2と違い、スピーカーに対してオーバードライブ気味で窮屈な音になってしまうパワフルなアンプでしたら、逆にドライブ力のバランスが取れ、音場の広がりが出て良い感じになるかも知れません。
Category:インテグレーテッドアンプ(プリメインアンプ)
Category:スピーカーケーブル
また、バイワイヤリング接続に於ける上下スピーカーケーブルの銘柄違いですが、これも有り体に云ってしまうとかなり問題がありそう。今回のように全く音傾向が異なる2種類を使う場合、ピアノなどは右手方向と左手方向で結構無視できないくらい音色が違います。左手低域方向や中音域はウォームでアタックの丸いTara Labsの音、右手のパッセージは響きが多く繊細で鮮度の高いSUPRAの音。但しどちらがトータルで支配力が強いかと云えば、高域側のケーブルのキャラクターがより強くオーバーラップして耳に残る印象にはなります。なんかこれでも暫く聴き続けていると、こんなもんか~と耳の方が慣れてしまいそうではありますが、本質的な意味でのピュアオーディオを正しく追求する場合、あんまり宜しくない接続方法かも知れません。⇒【バイワイヤリング対応スピーカーケーブルを楽天市場で探す】
バイワイヤリング接続にトライする場合、なるべくバイワイヤー対応の4芯スピーカーケーブル、若しくは2本の同じスピーカーケーブルで。次に同一設計の線経違いでツイーター側を細く、低域側を太くする方法。最後に音色や音場の位相に違和感が出ない範囲で違う種類のケーブルをトライアンドエラーする。教科書的なセオリーからするとこうなるのかなぁ。。。異なる銘柄のケーブルで自己満足の範疇を超えた正しい位相の組み合わせを見つけるのはものすごく大変な気がします。異種混合であっても、せめて音調が類似した同一メーカーのケーブル同士に限定した方が成功率が高まりそう。
あと、昔からピュアオーディオ界隈で言われるセオリーとして、音場のタイムアライメント?的には上下左右±8本の長さを揃えることも大切です。長さが多少違うからと云って音があからさまにズレたりはしないでしょうが、上下左右で質量が違うとそれぞれの共振点がずれますし、抵抗値の違いや逆起電流のずれ、ノイズシールドの具合等々、ありとあらゆる種々雑多な影響から来る上下L/Rの音色の僅かな偏差から、どちらかの音が濁ったり音場感に違和感を生じる元になりますので。。。(もし違いが無いのであれば、オーディオ機器そのもののL/Rのパーツ精度を徹底して揃えたり、内部配線や回路の引き回しをなるべくシンメトリカル構成に工夫する必要も無い訳で。。。)
~まとめ~
そしてここで問題。QUAD L-ite2を良い音でならす方法としては客観的な評価を踏まえたセオリーとしてはバイワイヤリング接続があるべき姿な訳ですが、例によって個人的な好みを加味すると、実はツイーター側のシングルワイヤーも捨てがたかったりします。特に高域の残響音は付帯音込みで「ツイーター側のシングルワイヤー接続」の方により豊かな音場感がありました。ただ、シングルワイヤリングで敢えて行く場合は、付属のジャンパープレートが色々と音質的なボトルネックになってアレっぽいですので、スピーカーケーブルの被覆を長~く剥いて、芯線の導体を上下で貫通させるか、何らかの「※音質が良い」ジャンパーケーブルを適宜用意する必要が出てきます。※市販のジャンパーケーブルにちょっとだけ疑問符?に続く。
ORB INNOVA TS7 YYS2.5 スピーカーケーブル購入レビュー♪
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