ONKYO C-S5VL レビューその2 SACDの音質編

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本題のONKYO C-S5VLレビューその2です。C-S5VLをまずはメインシステムの中央へセッティング。本当はサブシステムAONKYO A-1VLと組み合わせる目論見で、そちらにあるCREEK EVOLUTION CDをメインシステム側へ移動させるつもりだったりしますが、音質評価にはスケールが大きく音数が圧倒的に多いリビングルームの方が向いていますので、まずはとりあえず実力チェックなのであります♪

ONKYO C-S5VL + TAG McLaren 60i -+ firestone Spitfire 24bit DAC

今回ONKYO C-S5VLを繋げたメインシステムの構成はこんな感じです。

■壁コンセント Purist Audio Design PAD CRYO-L2

■電源ケーブル PS Audio XPD/1.8mk2

■電源タップ J1 PROJECT PT-4

■電源ケーブル C-S5VLの付属品  注:A-1VLと同じ2.0SQの川崎電工製キャブタイヤケーブル。

ONKYO C-S5VL SACDプレーヤー

■RCAケーブル MIT Terminator4(工事中)

■プリメインアンプ TAG McLaren 60i(工事中)

■スピーカーケーブル SILTECH FT-12G3

■スピーカー Vienna Acoustics MOZART T-2

以下、基本的にSACD再生はDIRECTモード(DSD FILTER無し)DIGITAL OUT OFFの設定で切り替え試聴してみました。

アーティスト: Eisenstadt Haydn Trio
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手元にある聞き慣れたHybrid SACD盤として、今回はオーストリアのアイゼンシュタット ハイドントリオによるモーツァルト・ピアノトリオ集をセレクト。いざ恐る恐る音出ししてみますと・・・おお~!予想以上に透明感のある爽やか系です♪。響きの粒子がキラキラとスパークリングワインのような耳触りで、デジタル音源のクリアネスを素直に際立たせた感じ。音像はスリムでシャープ。細身で視覚的にも判りやすく定位感良好。管理人は普段ウォームで濃厚な音のCDPばかり使って来ましたので、これはかなり新鮮。

うちにあるプレーヤーではサブシステムCARCAM CD72Tに比較的近い方向性ですが、C-S5VLは更にクリアで音数も多いです。良い意味で若々しく親しみやすくニュアンス豊かでチャーミングな音質です。価格.comのレビューで拝見した、「貝山先生曰くスリムでクールな美少女」との事ですがw、更に付け加えると可愛くて性格が良い♪ ほんのりと薄化粧された清楚な佇まいが、耳にとても心地良い印象を与えてくれます。加えて明るく動的で快活、基本的に音楽性の高い音です→これ超重要♪

聴感F特的にはフラット特性。特にSACD盤では顕著。 (注:CDはフィルター如何でかなり変わります) 裏を返すと相対的に低域の量感は程々、バランス的には少し腰高で高域寄りの印象。中~高域にあっさりとした輝きが乗っていて僅かに甲高いのですが、中域は細身でピアノの一音一音がひらひらと舞う感じ。低域方向は明瞭でハイスピード。通奏低音やチェロ、コントラバスの空気感やボウイングはクッキリ明瞭で気持ちが良いです。これはスイッチング電源のスピード感が効いているのかも。ただ、全体的には本機は爽やかな軽快感が持ち味ですので、筐体重量のある高級機のような落ち着きや風格がご所望な場合には物足りないかも知れません

ポッジャーの演奏も良いですが、何より音質が素晴らしいのでした♪

C-S5VLによるSACD再生音は音場に満ちる音の微粒子感が繊細で低歪み。ディティールの消え際がフェザータッチで、音量を爆音まで上げても全く聴き疲れしない音。表現にも奥ゆかしさがあり上品。アタリが柔らかくCDに比べてより女性的な雰囲気になります。温度感はニュートラル~仄かにクール。これは本機だけかもですが、聴感上CDレイヤーと比べてSACDの音量が少し下がる傾向があるみたいですので、CDレイヤーと1:1で比較する場合、SACDではアンプのボリュームを僅かに上げた方がフェアな感じ。優しい感触で癒やし系サウンドが空間を満たしてくれますので、長時間音楽に浸りたいという気にさせにられます。脳内に直接語りかけてくるサウンドです。

中にはオーケストラの大音量のトゥッティでC-S5VLは苦しいというような意見もありますが、どうでしょう? 基本的にオーケストラの解像度は高く、オケはSACDじゃないと駄目だと思わせる位の描写力は備わっています。ただプレーヤーの性格的に厚みのあるボリューミーなサウンドでは無く、フラットでスリムなさわやか系の音質ですので、確かにフルオケの力感という面ではやや食い足りない部分はある。迫り来る迫力や重量感では無く、適度なスピード感と誠実さで聴かせるタイプ。ジンマン/マーラー交響曲全集だろうがロストロポーヴィチ指揮ショスタコービッチ交響曲第5番だろうが、爆音の金管ですらキツさはありません。シャープに伸びているのに歪みが少ない・・・というか歪みが無い。

先日発売されたデビッド・ジンマン指揮 マーラー交響曲全集です。CDレイヤーで聴いていた際は薄味のスキムミルクみたいで何だこりゃ???地雷掴まされたかっ・・・て感じでしたけれど、C-S5VLのSACDレイヤー側で聴いたら切れ味良くて別物の快演でした。

Rca
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アーティスト:MSTISLAV ROSTROPOVICH
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3次元的な音場スケールにはクラスの限界を垣間見る部分があって、重低音のボリューム不足からか少々箱庭的です。上方向への広がりは出ているのですが、左右の広がり感は程々。特に前後方向はやや平面的。但し手前に出てくるような誇張された音場では無いですので定位感の乱れはありません。むしろ位相はかなり良く揃っている印象。しかし、これはそもそもスペースの取れるセッティングでハイエンドオーディオを追求してなければ些末な問題になると思います。フルオケばかり聴く人でも無ければ音楽の本質とは関係ありませんから。

数年前にJazzaudiofan氏のお薦めで買ったSACDですがやっと出番が来ました♪

作曲:George Frideric Handel, 指揮:Harry Bicket, オーケストラ:Orchestra of the Age of Enlightenment, Soprano:Renée Fleming
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更に小編成のコンチェルトや弦楽アンサンブルはこれくらい端正で清潔感がある方が良いといいますか、むしろSACDに於ける弦楽器の倍音表現の見事さは、CDの量子化ビット数では到達できないサウンドではないかと再認識。弦楽器の軽さは生演奏をイメージする場合これで正解でしょう。むしろ高級機ほどオーディオ的に作られた高音質に走ってしまい、嘘くさくなりますから。

管理人には珍しいJAZZのSACDですが相当に爽やかに鳴ります

Linn
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まとめると、従来のCDプレーヤーとしての実用性を高めつつつ、SACDの良さについては余計な色付けをせずに素直に引き出しているプレーヤーという印象です。実売数万円クラスのSACDプレーヤーは本当に難しい。プレーヤーとしての基本能力が低いとSACDフォーマットのアドバンテージが霞んで無意味になってしまいますし、マルチチャンネル対応機はコストが分散してしまい、2chステレオ再生の品位では微妙なのが多い。MARANTZDENONSONY等々のエントリークラスでは、メーカー毎の音質的なキャラクターが強すぎたり、物によっては音楽性が???だったりして、結局SACDの醍醐味を味わうにはより上位のモデルを買わないと駄目だ!という気にどうしてもさせられたりして、結局買い換えのループに嵌まってしまう事に・・・。

ONKYO C-S5VL フロントパネル

オーディオをビジネス的に観た場合、安い機種の出来がそんなに良かったら、ユーザーに上級モデルを買わせる必要はなくなってしまいます。ところがオンキヨーの場合、今のところそういった制約がありません。C-S5VLが現時点で唯一無二の”ピュアオーディオクラス”のSACD再生機ですから、直ぐ上にある自社の上位モデルに下手な遠慮をする必要が無いんです。もちろん、実売4~5万円のピュアオーディオとしては最安クラスのCDプレーヤーですから、原価的制約から、10万円クラスの物量を投入することや、高価な回路部品を多用することは出来ません。スイッチング電源もそんな部分かも知れないし、筐体にはかなりコストダウンの影響が垣間見られます。それでも、意図的に態々音を悪くする必要なく開発できた自由さと開放感がC-S5VLの音質に現れているように感じます。

オンキヨー(Onkyo)
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この価格でC-S5VLがSACDのアドバンテージをまともに再生できるのか一抹の不安がありましたが、どうやら大丈夫みたいです。低価格帯の他機でも皆がそう出来ているとはとても云えませんので、 5.1対応Multi Channel SACDではなく2ch SACD専用機として、少ないコストを2ch専用に絞れるところがポイントなのかも知れません。あと、次回エントリで詳しく書きますが、巷のSACDプレーヤーには、SACDのアドバンテージを誇張したいのか、CDの再生音が何故か???になっている機種があったり無かったりしますが、C-S5VLについてはその心配も全くの杞憂でした。というよりCDプレーヤーとしての音質がむしろかなり良い・・・と云う事で、次回は通常CDの再生音についてレビューを書いてみます♪

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