Styleaudio CARAT UD-1 USB-DAC

箱ピュア”AUDIO STYLE”ではなくて韓国Styleaudio社の初代USB-DAC兼ヘッドフォンアンプCARAT UD-1です。ちなみに名前については2005年初創業のうちのBlogの方がたぶん歴史は古い(・・・少なくとも日本では)と思うのですが、どうなんでしょ?じつはこれ、以前(09年頃かな)にStyleaudioの中の人のご好意で譲って頂いたものなのですが、例によって私の方が長期休養モードに入ってしまい、長らく仕舞い込んでいて紹介出来ずにいたものです。

carat_ud-1_front

作りと音から逆算してこれって2万円くらいのするものかと思っていたのですが、定価9800円だったのですね。中のDACチップが近年のハイレゾには対応しない16bit/32-48kHzのバーブラウンPCM2704というエントリークラスである事を除けば、上位モデルと共通化された非分割型オールアルミシャーシの作りの良さ、その他部品の品質、OSコンやヴィマのキャパシタ、イギリス・リアン製のボリュームなど、とても数千円で購入できる安価なUSB DACとは思えない良心的な作りです。少なくとも同価格帯にあまたある玩具臭い中華DACと比べると、まともなピュアオーディオクオリティの超小型DACとして、歴然とした高品質感があります。

CARAT UD-1 背面

さて肝心の音質です。これがまた今まであんまり聴いた事の無いようなタイプの音で、USBバスパワーということもあって電源部別体モデルのような厚みは無く、かなりふわっとした軽めの音色なのですが、それが弱点と言うよりもむしろ得がたい魅力になっていて、とても軽妙でチャーミングな、なんというか明るく朗らかでとっても可愛いらしい音がします。麦畑に佇むワンピースに麦わら帽子を被った美少女みたいな?…。 音場はやや箱庭的ですが、線の細さが功を奏して定位は立体的でなかなかの奥行きも感じさせます。PCオーディオに組み込んだときのミニチュア3次元的な展開は見事。解像度もぱっと聴きではPCM2704とは思えないくらいの情報量と解像度です。

carat_ud-1_inside
基板を取り出したかったのですが上下非分割のアルミケースに硬くはめ込まれていたので分解は断念しました。

少々ドライタッチ気味な傾向が功を奏して特に弦楽器の質感がリアル。粒子状の倍音とふわりとしたエアリーな空間表現が相まって、このクラスではちょっとありえないような弦のリアリティを感じさせます。決してワイドレンジなDACでは無いと思うのですけれど、中域の音像が眼前にふわっと浮き上がるような質感があって、肌触りの細かな音も響きに埋もれず描き分けられるし、超安価なエントリーモデルでこれだけの音がするなら、より高音質なチップを採用した上位モデル(・・・といっても概ね2~4万円の間くらい)では、更にどんだけクオリティアップするのか?と驚きを禁じ得ません。

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ヘッドホンアンプとしての音質も同様で、基本はほがらかな軽妙、軽快な描写で音場を間接音は控えめに、音像の粒子情報量で聞かせるイメージです。耳当たりが軽く仄かな暖かみがあり、長時間のリスニングにも聴き疲れない優しさがあります。但しUSBバスパワーということもあって単体ヘッドホンアンプとしてはドライブ力が足りなませんので、能率の低いヘッドフォンには向かないと思います。個人的にはヘッドフォンアンプとして以上に、ハイレゾ非対応ながらもPCオーディオ用のDACとして優れていると感じています。箱ピュアPCオーディオののELAC CINEMA 2SATと組み合わせた場合にも、何故か音にちょっとケブラーコーンみたいな風味が乗るので、StyleAudio社がB&Wノーチラスのモニターシステムで製品開発している事が、なんかしら音の個性に影響を与えてるのかも。

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このご時世、韓国製品というと脊髄反射で嫌がる御仁が少なからずいますけれども、私は昔から日本でははぐれメタル扱いの異世界人で、愛国心何それ美味しいの?的なコスモポリタンですので、人種とかブランドの国籍とかしょ~じきどうでもいいというか、日本製でも台湾製でも韓国製でも香港製でも中国製でも、好きなものは好きだし、駄目なものは興味なし、というオープンスタンスです。韓国にはチョン・ミュンフン、チョン・キョンファ兄弟など昔から優れたクラシックの演奏家が色々居ますので、クラシック音楽界隈の人間ってのはあんまりそういうの違和感ないんですよね。演奏家はとにもかくにも実力が全てですので。

オーディオ界隈でもStyleaudio以外にエイプリルミュージック&オーラデザインAUDIOTRAKなど、少ないながらも、日本製品と比べても品質的に全く遜色ない、むしろ日本ではなかなか実現しなかったであろうコンセプトのオーディオ機器が色々あって面白いと感じます。そうそう、あちらの販売店のWebサイトを見ると、イギリスとかアメリカからの輸入オーディオが日本に比べて随分安価に売られている気がするのですけれども、ハングル読めないし行った事も無いからとても怖くて個人輸入は出来ませんが、これ、端から見てると韓国のオーディオエンスージストの皆さんってすっごい恵まれてますよねぇ。。。?なんて韓国人が見たらどう思うのかはわからないですけど(^_^;)

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