イタリアの伊達男?ジュリアーノ・カルミニョーラ”Giuliano Carmignola”とVenice Baroque Orchestraの演奏会。日本に何度か来日して収録放送されてますので今更~っ感じかもですが、今回のは2010年12月1日の新しい録音です。
なんといいますか、これは見事に私の苦手なタイプのヴァイオリン演奏。何しろ見た目からしてカルミニョーラ怖っ!見た目だけじゃなくて音楽的にも、まるでスピーカーからナイフが飛んでくるようなシャープで切れ味鋭い演奏。バロック・バイオリンでピリオド奏法だからとか関係ないです。なんつか気取ったマフィアって感じだわ…。 ヴィヴァルディって所詮演歌なんだからもっとお気楽に楽しくないと~とか思っちゃう。
とは云えpastel_pianoと好みがまるで合わないって方々には逆にお薦めできる演奏かもですね。カルミニョーラの演奏は素晴らしい超絶技巧で隙がありません。極めて大人で辛口のクラシック。なんかこう、クラシックを背筋を伸ばしてツンと聴きたい人にはウケると思います。
Amazon.co.jpやHMVで見るとレビューで絶賛されているのにびっくり。それと尼はすっごくカルミニョーラのUS輸入盤CDが安くなっています(2001年7月5日現在)。カルミニョーラはヴィヴァルディの世界初録音がいっぱいありますので、古典回帰的奏法も含め、学術的資料としても価値があります。ただ演奏は当時の貴族社会でこんなに速くシャキシャキ演奏をしたとは思えないし、むしろ斬新で知的で現代的な解釈?新古典解釈?っぽく聞こえるのは私だけかしら?
でもイタリア人ってイタリア的でオペラチック明るくアバウトに歌う音楽家がいるかと思えば、マウリツィオ・ポリーニ等もそうですが、論理的で隙の無いテクニカルな演奏をする人も存外多いですよね。かといってテクニックだけの浅薄演奏と切り捨てるには完成度が高いし、音楽的にも充実してたりする。なんだろう・・・やっぱり音楽に対する文化的バックボーンの深さの違いなのかも。。。カルミニョーラの演奏にビビリながらそんな事を逡巡しつつ、以前に書いたヴィヴァルディ四季についてのぷちエントリはこちら↓。
サンブル音源はハイスピード&ワイドレンジで音良いですね。NHKのライブ収録に比べて低域に厚みや勢いがあって聴き応えがあります。むしろSACDで聴きたくなる演奏かも。国内盤はDSDマスタリング ルビジウム・クロック・カッティングと書かれていますがSACDは出てないのですね~。
▽J.カルミニョーラ&ベニス・バロック・オーケストラ演奏会
- ジュリアーノ・カルミニョーラ & ベニス・バロック・オーケストラ演奏会 -
「バイオリン協奏曲 変ロ長調 作品8第10“狩り”」
「バイオリン協奏曲 変ホ長調 作品8第5“海の嵐”」
「バイオリン協奏曲 ハ長調 作品8第6“喜び”」
「バイオリン協奏曲 ト短調 作品8第8」
「バイオリン協奏曲 ニ長調 作品8第11」
ヴィヴァルディ作曲
(バイオリン)ジュリアーノ・カルミニョーラ
(演奏)ベニス・バロック・オーケストラ ~ 東京・紀尾井ホールで収録~ <収録:2010年12月1日(水)>