CREEK EVOLUTION CDを導入してみたものの、音質は良いけれど聴き疲れする云々と、ここ数日悩んでいたところですが、これ、実は電源ケーブルの交換であっさり解決してしまいました\(^o^)/。
今日久しぶりに地元のヨドバシカメラにあるオーディオコーナーにふら~っと立ち寄ったのですけれど、ショーウィンドウの中で目に入ったのが、最近気になっているゾノトーンの新型電源ケーブル6NPS-3.5 Meister 1.8mと、以前から欲しかったけど何故か使っていなかったOrtofonのPSC-3500XG Silver・・・こちらは人気ある定番ロングラン製品でいっつも品薄らしいです。。。
高域方向の歪み感を抑えつつ、音質クオリティを落とさない普及価格帯の電源ケーブルとなると、まず目に付く候補はこのあたりになると思うのですが、さてこの二つの電源ケーブル、色違いなだけで見た目が全く一緒…(*゜∀゜*)。導体は同じ3.5スケアで被覆の太さ12mm、ロジウムメッキを施されたモールド一体型のプラグも全く同じ。但し中の導体の構造と種類はそれぞれ異なり、PSC-3500XGは銀コート4N無酸素銅の多芯線。後発のZonotone 6NPS-3.5Meisterは、銀メッキHigher-OFCと高純度無酸素銅(メッキ無しのOFC)、6N高純度銅の異なる3種ハイブリッド導体が採用されています。
Zonotoneブランドはオーディオマニアの間で知らない人は居ない、前園俊彦氏(前オルトフォンジャパン社長 注:PDFファイル)が昨年オルトフォンジャパン退社後に立ち上げた前園サウンドラボのブランド。従来のオルトフォン製品(線材の精製元が同和鉱業、ケーブル製造はヒサゴ電線。)と製造元が一緒という事もあり、ゾノトーンのケーブル類は既存のオルトフォン製品と殆ど同じ質感と見た目。ジャケットカラーが赤か青かの違いです。現行のOrtofonブランドのケーブルもその多くは前園氏が手掛けたもので–しょうから、ゾノトーン製品は旧来のオルトフォン製品の正常進化であり、実質的な後継モデルと云えるかも知れません。
今でも時々勘違いをされている方がいらっしゃいますが、「Ortofon」というブランド名はデンマーク発祥ではありますが、それは遥か昔の話であって、伝統的なアナログカートリッジを別にして、現在では実質的に日本側で企画開発された製品が多く占める国産メーカーでもあります。これは日本マランツ(ブランド名の由来は今はオールドマランツ等と呼ばれるアメリカの真空管アンプメーカー)等と一緒ですね。→(Ortofonケーブルの開発と技術)
本来でしたらより高音質化されたであろう新しいZonotoneのケーブル類を試してみたいところですけれども、既存のオルトフォン製電源ケーブルもロングセラーで定評がありますし、以前にCREEK 4240で使っていた電源ケーブル「Ortofon 7N-PSC2.0」のウォームで闊達な音質も印象的でしたので、結局は店頭の6000円の価格差に負けて今回はPSC-3500XG Silverを購入してみる事に。今回は高域のきつさに加えて低域不足も悩みですので、中級モデルのPSC-4500XG Silverにしようかとも悩んだのですが、こっちは被覆が16mmとかなり太くてCDプレーヤーよりもプリメインアンプやパワーアンプ用の印象。
中級モデルPSC-4500XG Silverの構造は2スケア×2のスタッカード構造で4スケア・・・(が3本なのでアース入れて6芯)。単純に太い訳ではないみたい。導体を太くすれば低域方向は豊かになりますが、過ぎると高域が不明瞭になりスピード感が失われます。スタッカード構造はその対策なのかも知れません。
フラッグシップの7NX PSC-5500XGは、7N銅/5N銅/PCOCC銅の3種ハイブリッド導体による5.5スケアで、下位モデルの銀コート線とは異なって(ある意味Zonotoneに近い構造?)になります。上位モデル・・・特にPSC-4500XG Silverが欲しかったのが本音だったりもしますが、消費電力が小さいプリアンプやCDプレーヤー用途には3.5スケアの方で十分かな~(本音は単に1万円の価格差は痛いなぁ)みたいな感じで、結局候補の中で一番安かったPSC-3500XGになったのでした。これで低域不足が解消しなければガーン!( ゜Д゜)となる訳です。
帰宅後さっそく、CREEK EVO-CDへ繋がれていたオランダ製のKharma KPL Reference/1aを外し、PSC-3500XG Silverへ交換してみます。1.5mの長さがギリギリでやや焦りました…。。EVO-CDのACインレットが向かって右側で助かりました・・・。左側にあるCEC TL5100Zだったら無理に曲げないと届かなかったかも。。。。ちなみにPSC3500XGの価格はKPL Reference/1aの半額以下ですが、作りと仕上げの高級感や太さはオルトフォンの方が上。中身の導体は両方とも銀コートOFC線です。
まず、変化が判りやすいバロック音楽のCDをかけてみます。いきなり音の出方がなかなかダイナミック…( ੭ ・ᴗ・ )੭♡。Kharma KPL Reference/1aの音が女性的でナヨナヨしているのもありますが、ヴァイオリンもチェロもボウイングに力が出て、尚かつ切れがよくなります。高域に特徴が出やすい銀コート線ですので低域方向はどうかと思ったのですが、見た目からイメージする以上にふくよかなボリュームあります。加えて音楽に活気が出てリズムの切れ味が向上し、音楽性の面でも暖かみと陽性の方向へ血が通う印象。そして音が相当に明るい。テラテラ光が反射するかの如く艶やかで、強烈に銀メッキ臭いキャラクターに一目惚れしてしまいました!(ぇ。
リーズナブルな製品でも銀コート線のメリットを味わえるのがOrtofonの良い所です♪
高域方向は音色が派手な割に気になる歪み感は大幅に減退。カンカン癇に障る付帯音的なエコー感がスパッと減るぶん、高さ方向への残響感は少々スポイルされますが、その代わりに、直接音の方に意識が向く感じで、ふくよかな音像に響きがタップリまとわりつくような潤いのあるリバーブ表現がなかなか魅惑的。解像度は特に良くも悪くもなく中庸。ただ音色が派手で明るい分、混濁しているようには聞こえません。このあたりは混濁感が強かったOrtofon 7N-PSC2.0からは大幅にクオリティアップしています。とはいえ実際には微小情報がわりかし響きにとろけてしまっているのですが、音楽的な時間軸方向の流れがスムーズで、彫りの深いダイナミックな表現力もあり、余り細かい事が気にならない快活な音作りです。
音像は大きめ。箱庭と云うよりも下手をすると等身大のイメージ。音の立ち上がりはなんだろう?立ち上がりの丸さとシャキッとした切れ味が両立していて、楽器によって丸みを感じたり、鮮度感が上回っていたり。どちらにしろ歪み感が少ないので大音量にしても全く問題なし。強いて云えば音場トータルではソフト気味の音質。弦楽器の立ち上がりやドラムのアタックに切れ味はありますが、ピアノや声は余韻を伴って丸みを帯び、硬質感の伴う音ではありません。かといってソフト感が支配的なぶん、低音質で混濁gdgdって訳でもなく、中の上くらいのHi-Fi性と耳当たりのマイルドさが適度に調和している印象。高音質を追求したモニター的な正統派の音質ではなく、かなり再生芸術に振ったイロモノ系の電源ケーブルではないかな?なんてね~゜゜(´□`。)°゜。
PSC-3500 XG Silverと同じ3.5スケアですが、銀メッキのないOFC(無酸素銅)135本からなるタイプがOrtofon PSC-1500XG。Ortofonらしいウォームな音質はむしろこちらかも。
弱点は・・・・・・う~ん。まず銀コート線のキャラクターを前面に押し出した音ですので、このテラテラ艶々感が嫌いな人は速攻で手放しそう。独特の音色ですので聴き続けると耳に残ります。あと音のサーフェスがテカテカ輝いているのに、つるつるはしていないというか、響きのディティールに粗めの撚り線的な大雑把な滲み感があって、なんかこう、潤いはあるけれど明瞭度は程々みたいな…( ³△³ ).。o
聴感f特バランスは低域方向のボリューム感が加わり、中域も後方展開よりは前に繰り出される感じで、聴感f特がフラットにはならず、やや樽型収差のレンズ越しみたいな音場展開になります。PSC-3500XGの音質にシステム全体が化粧されてしまう感じで、モニター的で高精度な描写力やシックな落ち着き、細かな情報量を求めるとなると不満も。香水とクラシックレーベルで無理矢理喩える?とw、トップノートはNAXOSレーベルの録音のように明るく煌びやかですけれども、ミドルノート以下は旧PHILIPSレーベルのホットでもわっとしたサウンドが顔を出してくる感じ・・・…( ̄▽ ̄) 。とにかく派手目の音色でシステムへの影響力がかなり大きな部類の電源ケーブルだと云えそうです。
こういった銀線や銀コート線特有の音色傾向は、大抵は初期状態で一番強く感じられ、バーンインが進むとマイルドで地味な方向へ収束されると思いますので、暫く使うことで上記で書いたファーストインプレッションよりは真っ当な方向へシフトする可能性が高いです。数百時間が経過したときにどんなバランスになるのかは今のところ全く不明ですが、とにかくCREEK EVO-CDへ新品のPSC-3500XG Silverを繋げた状態では、高域方向への歪み感や硬さが9割くらい取り除かれ、キツさが気にならずに問題無く聴ける音になりました。音質クオリティ的にもベストとまでは行きませんが、付属品ケーブルとは明らかに別次元のベターな水準が確保されています。
一昨日のアクセサリーレビューみたいに音を丸めすぎてCDプレーヤーの足を引っ張る事はありません。付帯音的な余韻やふくよかさが過剰なわりに、相反するキレとハイスピード感もあって不思議な音質です。ただしCDプレーヤーの持ち味をストレートに生かした音質と云うよりは、全く異なる別の音色を加えてブレンドしつつ芸術性を昇華したイメージですので、CDプレーヤー本来の持ち味であるリアルな聞こえ方や絶対的な音質クオリティではKharma KPL Reference/1aにやや軍配が上がります。(注:Kharmaの音も決してモニター系では無くかなりのイロモノ系です。)
以上、QUAD 11LではありませんがCREEK EVO-CDのキンキン問題はほぼ解決♪ なんとな~く無メッキOFCのPSC-1500XGかZonotone 6NPS-3.5 Meisterにしていたら、更に高音質になりつつ銀線独特のテカリ感はPSC-3500XG Silverよりもずっと少ない音調で問題解決出来たような気がしますが、それはまた別の機会があれば試したいと思います。あとは残り10%の詰めの部分。RCAケーブルにRed Rose Music1934を使うことによって時折感じるピアノのアタックのノイズ感までも奇麗に消し去りつつ、それを超える深い情報量とリアリティあ~んど芸術性を求めたいところ。。。となるとかなりグレードの高いハイエンド向けのRCAピンケーブルが必要になりそうで、これまたどうしたものやら・・・(苦笑) ちなみにいま頭の中にあるラインケーブルは、イギリスTHE CHORD COMPANY /英IXOS/オランダクリスタルケーブルの三種類だったりします。国産では引き続きZonotoneの各種ケーブルに興味津々だったりしますので、もしも手に入ったらまた箱ピュアでレビューしてみますね♪d(^_-)